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第41話「え・い・り・あ・ん」



 歌ウ蟲ケラの活動再開のニュースは綺羅めくるの「うっせぇよ」の大ヒットとさらにメガネアイと美桜を交えた綺羅めくるの「Bang Bang Bang」の続く大ヒットの影響も受け、想像以上の盛り上がりをみせた。



 彼女達は楽曲製作をはじめ、3rdアルバムを明年の春にリリースすることを各所で発表する。美桜もプロデュース稼業からバンドのフロントマンに集中する方向で活動を方向転換するとした。彼女たちの新曲を待ちわびるファン。そして音楽業界だったが――




 その年の冬に中国で発生した新型ウイルスはあっという間に世界に広がって、パンデミックを引き起こした。日本も例外ではなかった。



 その影響はライブ等のイベント収益で多くの収入を賄う音楽アーティストたちにも及ぶ。不要不急の外出は控えるように国は国民へ声明をだした。さらに観客動員をおこなうイベントの数々もそれから数年、続々と中止を発表。



『このコロナ禍におきまして、弊社は弊社の所属するアーティストの面々、また彼らを愛するファンの皆様を想って、暫く休暇期間を持ちます。この疫病災害が一刻も早く収束する事を願い』



 ヴィベックスからインターネット上でこのような文章の公開が為された。



「所属アーティストで結構感染者でているからなぁ」

「よりによって、ユイマールとミオタがかかったし」

「誰だってかかってしまう病気やで。それなのにこんなに叩かれるなんて」

「SNSやめるとか言っていたね」

「俺はもう3カ月ぐらいは更新してないで。今の世の中じゃ何をしたって叩いてくる奴らばかり」

「そうだね。新曲のリリースはどうなるの? コロナが終わってからかな?」

「はて終わるのかね? このパンデミック?」

「山里はどう思う?」

「え?」



 都内のスタジオで律と梓と山里の3人が集まっていた。



 特に目的はなかった。しかし唯と美桜の2人がコロナ感染して騒がれることで確実に歌ウ蟲ケラのイメージダウンはあったように感じられた。その現状を打破したいと集まるに集まったのだが、だからと言って何かができる訳ではなかった。



「何か作るしかないかと……ライブはおろかこうして人が集うことですらも禁止されていますし……」

「ひたすら曲作りか」

「それもユイマールとミオタがいないと何もできないよ?」

「う~ん。俺が貞子の格好をしてベースを弾く動画だすのはどう?」

「何それ?」

「だからそういう動画を作るのはどうかっていう話。作るだけ作って、この疫病騒ぎが収まったぐらいでそういう動画もどんどん出していくみたいな」



 梓の提案に山里は手に汗を滲ませた。自分はかつて彼女達を恥さらしにさせて食いものにしていた事があるからだ。どう反応していいものなのか分からない。しかし当の律と梓はどんどん盛り上がってゆくばかりだ。



「どうした? 浮かばない顔をして?」

「え……いや……そういう事をするのは嫌なのかと思って……」

「させられる訳じゃないからね。自分達でやりたい事だから。でも、何だっけ? コンチキーライス? コンスープライス? の云々で何かいけない事があったら、山里が教えてよ」

「コンプライアンスやで。そうそう。リッチャンの言うとおり、俺らが何かしらやりすぎる事があったら、容赦せずツッコミを入れてちょうだい。それも山里の大事な仕事や」

「はぁ……でも……」

「山里、私らは言うほどアンタの事を憎んでないよ? そりゃ嫌な事をいっぱい経験したかもしれないけど、それがあるから出来るようになった事もあるから」

「芸の肥やしってやつね!」

「アズニャン! うまい!」



 山里はハッとさせられた。これまで自分は歌ウ蟲ケラに対してやましさがあり、どこか彼女たちに怖気づいてしまうところがあったのだ。



 スタジオの密会から帰宅し、山里は改めて歌ウ蟲ケラのアルバムを聴き返す。



 そのときに初めて思った。



挿絵(By みてみん)



 彼女達は現れるべくして現れた天才ロックバンドだと――



∀・)ご一読ありがとうございます♪♪♪物語もだんだん現在に近づいて参りました(笑)感づいている人は感づいていると思うけどホルモンを聴きながら執筆しております(笑)また明日☆また次号☆☆☆彡

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― 新着の感想 ―
[良い点] 山里、再臨。 遂にざまぁが果たされた、イエイ! そしてこの世界でもコロナはあるんですね。 今にして思えば懐かしくは……ないですね。 後、メンバーの山里に対する態度が大物感ありますね。 こう…
[一言]  山里が復活するとは思いませんでした。  音楽しか能がない男が挫折したから、それを機会にチャンスをあげた感じですね。  一度叩き潰されたから、精神も成長している気がしました。  歌ウ蟲ケラた…
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