第40話「ぶっ生き返す」
2019年9月某日。数年ぶりに4人がヴィベックス社内で揃う。
「ミヲタ、偉そうに座ってサマになるようになったな?」
「一応は本社役員の一人だからねぇ。ふはは」
「ねぇ! みて! 絶景だよ! 都内の高層ビルってこんなにスゲェのねぇ!」
「なんかデジャブやなぁ。この光景」
4人が和気あいあいと話すなかで華崎と諸伏が入室する。
「貴女達の再結成を心から喜びます。これからまた一緒に活動をしてゆける事をとても楽しみにしております」
今もV‐Bex代表を務める華崎鮎美が深く一礼をして再び契約交渉に。その具体的な説明は現在本部長となった諸伏がおこなう。
何のこじれもなく彼女達は契約書にサインした。
「アーティスト活動のパートナーとして私が皆さんのプロデュースを担います」
「ムギが今はマネージャーじゃなくてお偉いさんなのか。時代は変わるモンだ」
「ヘヘへ。高校時代は御迷惑おかけしましたけど」
「昔話だよ。私の記憶じゃマネージャーをやっていた時のアナタの姿しかないよ」
「ムギがバックに入るなら、俺らも安心して活動できるな」
「それで貴女たちのマネージャーを任せたい人材がいてね。ただ如何せん新人なもので。何か不満があったら私か諸伏さんに報告をお願いできるかしら?」
「何ですか? それ?」
「つまりマネージャーに使用期間を設けるって話ですか?」
「ええ。今回この仕事ができなかったら、解雇する予定よ」
「社長、鬼ですね。今に始まった事じゃないけど」
「うふふっ。褒め言葉と受け取るわね。山田さん」
「社長、怖いです」
華崎が「入っておいで!」と大声で呼び込むとその男がモゾモゾと入室した。
「うげっ」
思わず律は声にだす。
歌ウ蟲ケラにとって、その男は忌まわしい存在に他ならない者だった。
「このたびヴィベックスの新入社員となりました。山里と申します。頑張ります。宜しくお願いします」
軽く一礼して彼女達と顔を合わせる。全員が彼を睨んでいた。
「あの、お願いします……」
何か気まずいものを感じた山里は再び軽く一礼する。
しかし要はそんな事ではなかった。
「どんな奴かと思うたら、お前かよ? 挨拶の前にやる事があるやろうが?」
「は、はい?」
「土下座しろ」
「土下座!?」
「そうや。俺らだけやない。後ろにいるムギにも。できないのか?」
山里は冷や汗をかきだした。生まれてこのかた土下座なんてした事なんてない。それがあるからなのか、それとも彼女達の事を今も蔑んでいる自分がいるからか。彼はなかなか膝をつけずにいた。
「うっ……ぐっ……ぐっ……ぐっ……」
華崎は腕を組みながらも溜息をつく。「やめるの?」と業を煮やして彼に問うが「やめ……やめません」と小声で返事をするばかり。歌ウ蟲ケラたちはただ彼を睨む。ヤジも飛ばさず。ただじっと。
華崎が目を閉じて首を横に振る。諸伏に「連れていけ」と合図をだす。
「早くしろ!!!!! 小童!!!!!」
諸伏の怒鳴り声が部屋中に響く。その勢いに押される形で山里は遂に膝をつき、大声で謝罪をした。
「今まで馬鹿にしてきてごめんなさい! ごめんなさい!! ゴメンナサイイイィィイイィイ!!!」
その人生で人に謝った事がない男が初めて人に謝った瞬間だった。彼は鼻水と涙を恥ずかしさからか、悔しさからか押さえられずにいた。
顔をあげると、厳しい顔をしつつもそこに手を差し伸べる唯がいた。
「もういいよ。過去じゃなくて未来をみよう」
彼と彼女は手と手を取り合う。
かくして歌ウ蟲ケラの第三幕が始まる。
世間は伝説のロックバンドの正真正銘の再結成に湧いた。しかし間もなくしてその世間も歌ウ蟲ケラも驚異のウイルス災害に見舞われる事となる――
∀・)読了ありがとうございます♪♪♪半沢直樹はいってましたね(笑)池井戸潤スタイルでしたわ(笑)歌ウ蟲ケラ、活動再開しますが――
∀・)また明日☆☆☆彡
∀・)また次号☆☆☆彡




