第21話「出会いのかけら」
「正気で言っているの?」
「正気です」
「今度の新事業、あなたに託すって話したわよね?」
「ごめんなさい。でも今、私はどうしてもそこに懸けたくて」
「…………わかったわ。でもこれを約束してくれるかしら?」
「何を?」
「仮に何があっても、私達のところには二度と戻ってこないで。これからはただ普通の母と娘よ?」
「うん! わかった! ありがとう!」
「!?」
曄子は驚いた。戸惑いが少しでもあるようならば折らしてやろうと思っていただけに。しかし唯に迷いはなくなっていた――
歌ウ蟲ケラはEP「殺しのメロディー」をネット販売で1000枚完売して、全国ツアーを計画。そして実行しようとしたそのタイミングでメジャーレーベルからの契約オファーが入った。数々の名アーティストらを擁するV‐Bexとの契約だ。
「あなたたちのご活躍は伺っております。これからいっしょに活動をしてゆける事を本当に楽しみにしておりますね」
V‐Bex代表を務める華崎鮎美が直々に契約交渉に来た。
彼女は唯たちが中高生のときに歌姫と謳われた元大物歌手であった。
「それでこれからの芸能活動を進めるにあたり、いま私達が売りだしている彼をあなたたちのパートナーに指名しますね」
「山里桃太郎です。宜しくお願いします」
「よろしくおねがいします!」
バンドを代表して唯が華崎と山里と握手を交わす。そして契約書にサインする。
メンバー全員が緊張する面持ちだったが、華崎と山里が退室次第にその雰囲気は解けた。
「ふわ~緊張したわ。なんやあの赤渕眼鏡。アレがマネージャーに入るゆう事?」
「違うね。マネージャーは同郷の同世代の女性職員って聞いたけど?」
「ミヲタ、それはそんなふうに偉そうに座っていい椅子じゃないよ?」
「ねぇ! みて! 絶景だよ! 都内の高層ビルってこんなにスゲェのねぇ!」
「東京に来てからどうでもイイことに感動しきりやな。リッチャン」
契約後となるとカメラマンの撮影を前にしても彼女たちは自然だった。
しかしそのカメラは決定的瞬間を捉える。
ドアのノックが鳴る。「どうぞ!」と唯が言うと一同は急に姿勢を正した。
「これからお世話になります! マネージャーの諸伏です! よろしく……うげっ! まさか!?」
なんとも奇妙な巡りあわせであった――
∀・)はい。超短いんですけど(笑)今日はここまで(笑)でも驚いてくれたでしょ(笑)
∀・)この展開を予想した御方はいるのかしらね?また次号☆☆☆彡




