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PROLOGUE:歌ウ蟲ケラ

挿絵(By みてみん)



 その出会いは偶然だったのか必然だったのか――




 2001年、春、彼女達は私立女子校の進刻高校で出会った。



「唯ちゃん、全部みてまわろうよ!」

「えっ!? 全部?」

「全部よ! 全部!」



 ゆいまーること平澤唯は入学して間もなくリッチャンこと田中律と同じクラスメイトで友人になった。彼女はそれまでの経緯があって、部活なんてしたことがなかった。シャイな雰囲気を醸し出しつつも、胸襟を開けば底抜けに明るい律は「楽しそうな部活へ一緒に入部しよう!」と唯の腕を掴み、放課後の校内を歩きまわる――



「ねぇ! みて! ボールを蹴っているよ! あれがフットベース?」

「蹴り合っているからアレはサッカーだよ。フットベースは稀。というか何でフットベースなんて知っているのよ?」

「私の妹がやっていると聞いているからさ」

「ああ、なるほど。でも珍しいタイプだね」



 初っ端から唯は律に妙なものを感じていた。



「あのう? どっちがバレーでどっちがバスケ?」

「ネット越しにボールを打ち合うのがバレーだよ」

「じゃあさ、あのワッカ目がけてボールを投げているのがバスケでいうアタックっていうヤツ?」

「色々混ざっているね。律のことを考えたら体育会系はやめようか? 実は私もあまりしたくないと思っているし……」

「えっ!? でも楽しそうだけど!?」

「全部みるのでしょ? 文化系いってみよう」



 それから美術部や茶道部、放送部に図書部とありとあらゆる部活をまわったが、律の世間知らずぶりはどこでも見受けられた。部員数が少ないからか、運動部に比べて勧誘に乗り出してくる部活もみられた。しかし律の悪い意味での天真爛漫ぶりを見兼ねて唯は「検討しますね」と口を開かずにはいられなかった。



「ねぇ? なんで『検討します』ばっかりいうの?」

「全部みるのでしょ? 入部は全部をみてから決めるのが良くない?」

「う~ん、そりゃそうだけどさ。いまのところはどこがイイと思う?」

「どこって……」



 律の問題児ぶりを考えたらどの部活に対しても、その部活に凄く迷惑をかけてしまう未来しか思い浮かばなかった。



 そして唯自身に心惹かれるモノがどの部活にもなかった。



「あとひとつか。軽音部。第2音楽室ってあるね」

「第1と第2って何か違いがあるのかな?」

「特にないと思うよ。予備の教室みたいな感じじゃない?」

「じゃあ『軽音部』ってさっき行った『和楽器愛好会』と同じような感じ?」

「ん~アレよりも軽いって言うか何て言うか」

「あ! じゃあ! ウンタン! ウンタン! ウンタンタン! みたいな?」

「どういう感じだよ? それ?」

「私の頭の中ではウサギさんとタヌキさんがカスタネットを叩いていたよ?」



 律は普通の人間と明らかに違う。それはここ数時間で実感するものだったが、その言葉で確信に変わった――



「あ! ここが第2音楽室だね! みて! あそこにリングの貞子がいる!」

「それは失礼だろ! 指さしてまで言うな!」



 しかし唯たちが目にしたその女子生徒は確かに異様な風貌だった。



 モジャモジャの髪をやたらと伸ばしており、目を閉じながらもベースを弾いている彼女もまた異質そのものだった。



「なんや? なにしにきたんや?」



 軽音部の女子は演奏を止めて目を開く。



そのタイミングで唯たちの背後からもう一人の巨漢女子が現れた。その巨大さたるや唯に負けず劣らずの巨躯を誇っていた――



∀・)どうも!「歌手になろうフェス」主催者のいでっちです!ということで「いでっち版けいおん」をこのフェスを開催するにあたって始めました(笑)「歌ウ蟲ケラ」というアーティストがどのように誕生して、どのようなアーティストライフを進んでいくのか?僕のことが好きでも嫌いでも、彼女達のことが好きでも嫌いでも最後までお付き合い頂けたら嬉しく思います――

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― 新着の感想 ―
[良い点] 軽音部を主軸に据えた学園ものヒューマンドラマ! 僭越ながら、以前いでっち51号様がご覧くださった拙作と親近感を感じまして、これからが大いに楽しみです。 [一言] たびたびお世話になっていま…
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