【短編】ひまわり
死んじゃった。
なんでだろ。なんかね、感覚が一気に抜けていくような気がしたんだ。
これって死んじゃったってことだろうね。
なんとなく、分かるんだ。
ぐぅ…
あぁ。おなか、すいたな…。
死んじゃっても、おなかってすくんだね。
あ、れ?明るい場所に足が動いて…。
だめだ!家族の役にも立てなかった僕が一人だけ幸せになるなんて!
まだみんなは頑張っているんだぞ!
足よ止まれ!!止まれ止まれ止まれ!!!!
はぁ。はぁ。
ギリギリ止まった…。やっぱり、僕には真っ暗な所がピッタリさ。
…このまま暗闇に溶けて、消えてしまいたいよ。
だって、僕なんて生きていたって意味がない。
…もう生きてないけど。
姿形さえ、何も無かったようになればいいのに。
『お兄ちゃん、そんなこと、ないよ。』
彩葉…?
『私たちのために、ありがとう。悠真。』
お母さん…。
『お前は正しかったんだ。』
お父さんまで…!
『『『ありがとうね。』』』
ーっ!
彩葉、お母さん、お父さんっ!
ぎゅっ
あぁ。あったかいなぁ。
僕の心も、徐々にあったかく染まっていく。
つー
あれ?僕、泣いてる?
そのとき、みんながにこっと笑いかけてくれた。
ーまるでひまわりのように…
「うわぁーん!」
僕は小さい子供のように泣いた。
泣いて泣いて、泣きまくった。
この日が、人の温もりを感じた、最初で最後の日だった。
2月16日 内容を少し変えました。