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第21話 私は別に、面倒見が良いという訳じゃない。



「どうでしょう、ご期待に添えましたか?」


 ローラからそう聞かれ、私は思わず苦笑する。


 

 ご期待に添えたか否かと言われれると、添えた。

 しかし悔しくてならない。


「そんな面白そうな所をまさか見逃してしまうなんて……!」


 惜しい事をしたものだと後悔するが、全てはあとの祭りである。



 だから私は少しだけ悔しがった後にはすぐに、『この先』へと思いを馳せた。

 するとまるでそんな私の感情の動きが見えでもしたかのようなタイミングで、「それにしても、今後はその辺どうなるのでしょうか?」とエレノアが言う。



 彼女が言った『その辺』とは、きっと殿下の処遇だろう。


 彼の当初の希望通りローラとの婚約破棄は成ったが、王と国への裏切りをあんな形で晒したのだ。

 意図的にローラに恥をかかせようとした節もあるし、流石に『何のおとがめも無し』という訳にはいかない筈だ。


 しかし、おそらく。


(腐っても彼は王太子、それほど厳しい罰は多分、与えられないんじゃないかしら)


 軽くて王からの叱責、重くても私室での謹慎という所か。

 陛下には息子が一人しかいないから、もし廃嫡にしてしまうなら後任を別で見繕わなければならなくなる。

 それは多分避けるだろう。



 そう思うが、結局私はエレノアの疑問に答えなかった。

 代わりに答えたのはローラだ。


「殿下に対しては、一部の過激派から『廃嫡に』との声が上がっているそうだけど」


 涼しい顔でローラが言った。

 しかし私は思わずジト目だ。

 だってもしそんな過激派が本当に居るとしたら、それはおそらく王城内の『聖女派』以外の何者でもないだろうから。



 ローラは実はここ5年、殿下の補佐役として王室の執務にも一部携わっていた。


 王家の参加が必要な社交場から、書類仕事まで。

 その内容は多岐に渡るが、それを熟している内に王城内で働く官吏達と交流が数多く出来て、今や彼女の仕事に助けられた事の無い者たちの方が少数派という状態だ。


 彼女が殿下と婚約破棄して最も実害を被っている人が居るならば、おそらくそのあたりの人間で、そう言った人たちが原因を作った殿下に強く当たるのは、当然と言えば当然だ。



 そんな中、彼女が「まぁしかし」と言って笑う。


「どちらにしても、私にはもう関係の無い事ですが」


 そう言った時の彼女の顔は、実に晴れやかなものだった。

 開放感に満ち満ちているお陰だろうか、より一層魅力的になった彼女に、私はぼんやりと「罪作りな人だなぁ」と思う。


 今後はきっとこの笑顔に、独身男性たちが軒並み、魅了される事だろう。

 魅了される方も大変だが、する方も後々引っ張りだこで大変な事になるんじゃないかなと思わなくもないが、その辺はまたローラがどうにはするだろう。



 私は別に、面倒見が良いという訳じゃない。


 今回は偶々手を出さざるを得なかっただけであり、他人のトラブル対処なんてものは勝手にそっちでやっててほしい。

 その考えは、多分今後も変わらないだろう。


 

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<素っ頓狂な私の親友、ホントに手が掛かるんですけど ~私は別に面倒見なんて良くないタイプの令嬢のはず~>




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