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青い百合  作者: はこ
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君色がきえる。

君のお誕生日計画は朝で終止点を打たれた。

本来そんな気はなかったけれど、あの子の予定は、私で埋まっていなかった。それは私の完全な片思いと証明するには十分だった。

私があげた青いゆりを君は酷く気に入っていた、似合う花瓶を探す隣に私は居ないみたいだけれど。

自分の中に生きていたあの子に対しての愛の感情は、いつの間にかすれ違っていたのかもしれない。

あの子の隣に立つ奴に対しての感情は、

マリーゴールドみたいに一見綺麗なものだ。


帰り道は2人、君は私のイヤリングをつけて笑う。

行きは1人、放課後も1人。

一緒に寄るはずだったパン屋を訪ねて1番美味しそうなパンを買う。自分の幸せの定理に1つでも当てはめていくために。

でも、三角形の定理に辺が必ず入るように私の幸せの定理には君が条件として必ず入っていた。

もう分かりきっていることだが、明日の幸せは、叶いっこない願いなのだろう。

条件が過不足なら定理として成り立たない。


次の日のあの子は、髪を切っていておまけに穴を開けていた。校則違反にバレない程度に小さなピアスをつける君は痛々しくも輝いていた。きっと君が背伸びして無理な靴を履いたからか、踵に剥がれかけた絆創膏がチラついていた。はり変えてあげよう、なんて思わない方が良かったと、後悔は募るばかりだった。君はネイルなんてやるような子じゃなかったのに、大切な指にうっすらピンクがついていた。

まるで透明だった君色がそめあげられたように、

幸せそうな君は私をだんだん優しく傷つけていった。


私はいつの間に未熟な男女の恋愛を見くびっていたのかもしれない。朝までを奪われてしまうなんて思ってもいなかったのだ。

当たり前のように教室に一人の時間が増えた。最初は寝坊だと思ったけれど、私達のお気に入りのベンチに座る男女を見てしまったら現実を見るしかないだろう。

喪失感と嫉妬と嫌われたくない思い。

偽りの応援しか出来なくなっていた。

何より私が恋するのは笑顔のあの子だったから。消してはいけないのだ。


それから1年後の誕生日、君は涙を流していた。

恋人との喧嘩が今日まで長びいた事がその様子から受け取れた。

それが儚くて、美しくて、我慢していた憎しみが溢れ出して、

友達で居続けれられず果実を食べるように

キスをしてしまった。


なんの涙か分からない涙をこぼしながら

逃げ出す君の心に私も共鳴してしまった。

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