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青い百合  作者: はこ
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まだ知らない気持ち。


ゆりの花言葉って色によっては怖いんだって。

通学路の途中、赤い屋根の花屋に立ち寄った時に

君が何気なく言った。

オレンジ色に透けて金色に見える君の髪に、

消えてしまいそうな感覚を得た。


いつも通りの朝をみる。

でも少し今日は違う。

母が出してくれる、胡椒の効いたスクランブルエッグと、カリカリに焼けているベーコン、薄くきった黄金色のバターを昨日あの子と遠出して買った良い食パンにつけてたべた。お気に入りのマグカップにいれたコーヒーと一緒に。

私はあまり早起きする性分ではないが、

今日の朝をとびきり良いものにしたかった。

今日はあの子の誕生日だから。

デートプランを勝手に考えながら、足を進める。

運命の人との出会いなんて、あまり信じられないけれど、運命の物と出会う瞬間は1年に1回以上必ず訪れると、私は思う。今、その瞬間がまさに訪れたわけで

心より先に体がうごいていた。

あの店の赤い屋根に負けずに咲いていた花を買わずには居られなかったのだ、葵いゆりを。

物珍しいものを手に入れてしまった感動は、あの子にも伝わってくれるだろう。

そうだ、この花に似合う花瓶を買いに行くのもいい、水族館、海まで行って君の写真を撮るのもいい。バイトをして貯めたお金でかったいいカメラが私にはついている。もとより写真を撮るのは趣味ではなかったけれど、君に出会ってから額におさめたい瞬間にいっぱい出会ってきたから。

そんなことを考えるうちに学校に着いていた。


青いゆりの花言葉はない、でもこれだけ綺麗なのだから私は君みたいな素敵な花言葉を付けたくなってしまう。他の百合には申し訳ないけれど。

君と私だけの花言葉を考えれたらなんて、幸せなのだろうか。あの子はきっといい花言葉をつけてくれるだろう。


あの子は朝が早い。

本当は君、朝弱いくせに。

「2人だけの朝の時間を一緒に過ごすためだもの大切なことでしょう?」

君はいつも笑って言う。

お互い朝は苦手だけれど。

そんなことを毎日笑いながら話して、些細な行事も楽しむのが私の幸せだ。


あの子が朝日に包まれて待つ場所のドアを開けると景色に馴染むように座っていた。

ふと、あの子は夕焼けに当たっているかのような頬で私に告げる。

「恋人ができたよ」と。

もちろん祝った、君の幸せは私の幸せだから、

祝わずには居られないよって白々しい私に、

赤い頬で私に抱きつくきみ。

青白い肌と赤白い肌が吸い付き触れ合う。

私は、花を送ったそれとお揃いのイヤリング。君がピアスの穴を開けるのを怖がるから。

恋って難しいですよね。

それでもそんな所が好きです。

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