第七話 初の魔物 後編
「 「 「はあ!?」 」 」
「何驚いているんだい?キョウ、シュウ、ネス。今は僕達がいる。」
「ま、まぁ父さんと母さんが倒してくれるから問題ないよね」
「そ、そ、そうだよキョウ姉さん僕達は邪魔にならないようにどこかへ避難しておこう」
「待って待って」
俺達が逃げようとすると何故か父さんが止めてくる。俺まだ3歳だぞ。こんな所にいたら間違いなく殺されるって。早く遠くに逃げないと。
「ネスは今回1人でワイバーンを倒してもらう。」
父さんが何を言ってるかよくわかんないな。もう1回聞こうか。
「父さんもう1回言ってもらえる?」
「だからネスはあの3匹のうち1匹を1人で倒すんだよ」
「 「 「はあ!?」 」 」
「父さんいくら全属性の魔法が使えるネスでも・・・」
「そうよ!魔物は初めてなんでしょ!?ネスが残るんだったらまだ魔物を倒したことがある私が残った方が・・・」
「ネスなら大丈夫。やばくなったら僕か母さんが命にかえても守るから」
「ワイバーンって王都にある魔法騎士団の1部隊がかりでぎりぎり倒せるぐらいの魔物なんでしょ!?そんなネスが」
「シュウとキョウはあそこの木の後ろに隠れてなさい。勝手に行動されて居なくなったらいくら僕でも守れない」
「 「はい...」 」
父さんの顔が真剣だった。
「幸い3匹のワイバーンは1匹ずつこちらに向かって来ているから1匹目は父さん2匹目は母さん3匹目をネスという順番で倒そうか」
「うん!」
1匹目を父さんが仕留めるまでに俺はあそこであくびをしている母さんがどのような魔法で倒すか聞いてくるか。
「母さんはどんな魔法でワイバーンを倒すの?」
「母さんはねー氷で串刺しにして倒すつもりよ」
あれ?確か俺は全属性の魔法が使えるとか言ってたけど属性に氷は無かったよな
「8属性以外にも属性があるの?」
「いや。氷は水と風の応用よ。あら、グレンはもう1匹倒しているわね。あの人そうとう鈍ってるわね」
母さんが指をさした方向を見ると父さんが空中でワイバーンを剣で真っ二つにしていた。あれで鈍っているとか全盛期どんだけだったんだよ!
「まあ見ときなさい。ちゃんとネスの分も残しといてあげるから。あとワイバーンの肉って美味しいらしいわよ」
今その情報いるか?
すると母さん周りに2mくらいの槍みたいな氷ができ始めた4、5本くらいある
「アイス・ランス」
母さんが唱えると氷の槍がすごい勢いでとんでいった。頭、胴体、羽、足に当たった。すごい命中率だ。外れがない。
「私も鈍ってるわねー昔はもっと精度がよかったのに。」
母さんも化け物かよ。
なんにせよ次は俺の番だ。どうしよう。
「ネスー。ワイバーンの肉はもう充分だから、もう1匹は跡形もなく消してね!」
「え? う、うん。わかった。」
頼むねーと言い残しワイバーンの所に走っていった。
跡形もなくか・・・。よしあれでいこう。
最後のワイバーンとの距離はあと200メートルくらい。
ぎりぎり巻き込まれないな。手のひらをワイバーンに調整してと、いくぞ・・・
「ダーク・カオス」
そう唱えるとワイバーンの周りから黒い闇のようなものがでてきてワイバーンとその周りの木を
飲み込んだ
あの魔法は下手をすれば自分まで巻き込まれるからな初めてにしてはよくやった方かな。
「何あれ?」
「ワイバーンが消えた」
後ろからシュウ兄とキー姉の声が聞こえてきた。
「シュウ兄!キー姉!」
「ネス!怪我はない?大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ。それよりシュウ兄とキー姉は?」
「僕達は大丈夫だよ。それにしても凄い魔法だね。あのワイバーンを消すなんて。」
「いや正確には 消した のではなく あの闇をゲートにして別空間に送ったんだけどね。初めてだったからね成功してよかった。」
すると向こうから2匹のワイバーンを背負った父さんと話している母さんがこっちへ来た。
「ネス。凄いな!長い間、冒険者をやっているがあの魔法は初めて見たよ。どうやったらあの魔法を発想するんだい?」
まさか前世の知識を参考にしているだけです。なんて言えるわけないな。
「なんとなくだよ。」
こうして俺の初めての魔物との戦闘は、最初こそ魔物がワイバーンで驚いたが実際蓋を開けるとそうでもなくあっけなく幕を閉じた。
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