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10から日記  作者: さんちゃん
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第4話 「暗い道のり」

第一章 「はじめてのおつかい」

 暗い……とても暗い……。辺りを見回してもランプの明かりと目の前に続く砂利道がうっすらと見えているくらいだ。どのくらい歩いたのだろうか。まだ、村の明かりすら見えてこない。


「森に入った時は明るかったのに……。」


 もう今では、頭の上で月が輝いている。気味の悪いほどに綺麗な満月の月明かりが森に差し込み、道の周りを囲んでいる左右の木々の隙間から差し込んでいた。木々の奥は闇が広がり、所々に光のカーテンが出来ている。不気味だ。私の記憶ではステム村からアストレアまではほぼ一本道で、途中に湖の畔へ向かう分かれ道があるだけのはずだ。


 私は、拓けた砂利道を卵で一杯になったかごを持ち、首からランプをぶら下げて歩いていた。人には誰にでも微弱ながら魔力って言うものがあって、その魔力に反応して光るのがこのランプの仕組みだと馭者のおじちゃんがいっていたから消える心配はない。この母から貰ったランプだけが今の私の心の支えであった。あと村までどれくらいあるのかも私にはわからない。どれくらいの時間歩いているのかもわからない。馬車で一時間なら歩いてすぐ着くだろうなんて思った私に説教をしてやりたかった。ステム村まで引き返してみようと考えたりもしたのだが、いまどこにいるかわからない私はもうすぐ着くと信じて先に進んでしまった。

 

 しばらく歩いているが、夜の森は少し肌寒い。その上ずっと歩いているのでヘトヘトだった。「一度座って休憩したいなぁ」なんて考えながら歩いていると、少し先に岩が見えてきた。そこまで小走りで近寄ると、膝ぐらいの高さで座るのには丁度良い岩だった。手に持っているかごと首にかけてあるランプを置き、その岩の端へちょこんと座り一休みする。空を見ると満月だけでなく、星がキラキラと輝いていた。


「今日は空がきれいだなぁ……。」


早くうちに帰りたい。そんな気持ちで胸が一杯で、涙が込み上げてくる。お母さんの言いつけを守っていれば、こんな暗い森のなかで一人ぼっちにならなかったのだろうと後悔してしまう。

 昔からそうだった。川で遊んでいた時も、深いからそっちにいっちゃダメと言われたのに、向こう岸まで泳ごうとして溺れてしまって助けられたり。屋根に登って遊んでいたときも、登っちゃだめと言われていたのに登って落ちた。たまたま下にいたお父さんがキャッチしてくれなかったら大怪我していたかもしれない。そんなことばっかりだ。でも、今回は周りに誰もいない。助けてくれる人もいない。

 くよくよしていても仕方がないので、私は涙を拭うと置いてあるかごを持ち、首からランプをかけて立ち上がる。「そろそろ行こう」そう思った時だった。


「ーーガサガサッーー。」


背後から音がした。恐る恐る後ろを振り向くと、木と木の間から赤く光る物がこちらを覗いていた。


「何……?」


「グルルルゥゥゥ……」


暗闇から姿を現したのは、魔物と呼ばれているものだろう。鋭い爪を立て、牙を光らせ、喉をならしながら、段々と近づいてくる。白と黒の毛で覆われているその魔物は最初は猫のような動物にも見えたが、違った。私と同じくらい大きい。怖い。私は、後ずさった。それと同様にじりじりと向こうも近寄ってくる。


「グガァァァァ!!」


走り出した私と飛びかかる魔物が同時に動き出す。間一髪だった。飛びかかった魔物は、私がいた所へ爪を突き立てる。私はそのまま走り出した。全力で走り出した。自分の村の方向かも今の私はわからない。そんなこと考えている暇がなかった。魔物は走り出した私を追いかけてくる。段々とその距離は近づいてきている。そのときだった。


ーーーーーーズシャァァァ


私が後ろを見ながら走ったせいだろう。石につまずき転んでしまう。転んだ私は仰向けになりながら後ろを見ようと体を起こす。それを見計らったように、魔物は勢いを増し、私へ飛びかかる。避けられない。


「ーーいやぁぁぁぁぁぁあ!!」


死にたくない。そう思った時だった。手に触れていたランプが強く光を放つ。こんなに強く光るはずがない。ランプは目を閉じていても眩しいほどに光を強めていた。


「ギャァァァァァス!!」


強烈な光を直接見てしまった魔物は、私の頭の上を越え、地面に転がり落ちる。ジタバタして苦しんでいる魔物を、私はただ見ているだけしか出来なかった。恐怖で足がすくんで動けない。


「グルゥゥゥ……」


魔物は四つ足で立ち上がると、赤い目でこちらを睨み付けながらじりじりと近づき始める。寄ってくるのは見えている。逃げなきゃいけないのもわかっている。でも、足に力が入らない。私は座ったまま後ずさるしかなかった。


「怖いよぉ…………お父さん、お母さん……誰か……助けて……」

久しぶりの投稿です。最近、数ヶ月ぶりに剣道をやったのですが、やった次の日は体がバキバキで……。若くても続けることは大事だなぁと改めて思いましたね。

と言うわけで、ちゃんと今後も執筆続けたいと思います!

私なりに頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

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