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10から日記  作者: さんちゃん
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第2話 「ステム村」

第一章 「はじめてのおつかい」

「おじさん!あと、どれ位で着くの?」


「そうだな~。あと五分もすれば着くと思うぞ。」


馬車はガラガラと音をたてながら、森のなかを進んでいた。いつもお母さん達と一緒に見ている景色も、一人で見ていると少し違って見えてくる気がした。なぜだろう、そんなことを考えながら馬車に揺られていると、


「ミサラちゃん。気持ち悪くなってたりしてないかい?それに、いつも同じ景色ばっかり見ていると飽きちゃうだろ?」


おじさんは、手綱を握りながら、顔を少しこちらに向けていた。おじさんとは、お母さんのお手伝いをするようになってからお世話になっている。お母さん達とおじさんはもっと長い付き合いになる。おじさんはいつも馬車で走っている時は、色んな話をしてくれて、私はそれが馬車に乗るときの楽しみにしている一つでもあった。


「全然!むしろ、お母さん達もいないしドキドキしてるよ。景色も違って見えるんだ。」


「そりゃあ、よかった。しっかし、ミサラちゃんもお使いを一人でするようになるなんてな。大きくなったな~。」


「もう10才なんだから、子供扱いしないで欲しいなぁ~。」


「いやぁ、わりぃわりぃ。ミサラちゃんが、小さいときから知ってとな。もう10才か、時間がたつのは早ぇな。」


おじさんは、手綱を握っているはずの左手で、頭を撫でてくれた。いつもだったら、髪の毛がぐしゃぐしゃになるまで撫で回されるのだか、今回は優しかった。


「おじさんこそ、このお仕事ずっとやってるのに飽きないの?」


おじさんのお父さんも同じように馭者をやっていて、お父さんのお仕事を手伝っている時からそのままこのお仕事をはじめたと昔教えてくれた。それこそ、毎日同じような道を同じように走っているなら、飽きてしまうだろうと思った。


「おれか?そうだな~。」


おじさんは、う~んと顎をさすりながら答える。


「飽きたことはねぇな。そりゃあ、辛かったりしたこともあっけどな。毎日走るっ道は同じかもしれない。でも、馬にだってその日の体調がある。道だって、今日はどんな花が咲いたのか、どんな鳥が鳴いているのかとか、日によって違ってくるからな。それに、今日はミサラちゃんだけど、色んなお客さんが俺の馬車を使ってくれるからな。話すこともひとそれぞれだし、楽しいんだよ。だからこのも好きだし、俺の天職だと思ってるぞ?」


そんなものなのだろうか?私にはわからなかった。私も、空を見上げて考えてみる。


「そんな難しい顔するなって。ミサラちゃんにはちょっと早かったか~。そんなことより、ほら着いたぞ。」


前を見ると、馬車は明るい光の中に入っていく。光を通りすぎると、森を抜けた先に草原が広がる。さらにその先には、私の村より大きな村が見えてくる。馬車に揺られること一時間。隣村ステムに到着した。



 


馬車の停留所に着き、馬車が止まったことを確認すると、私は荷台からピョンと飛び降りる。


「おじさん、お客さんが来なければここにいるからな。」


「わかってるよ~。じゃあ、行ってくるね~。」


おじさんは気をつけてなといいながら手を振っている。私は手を振るおじさんを後にして、村の中へと歩きはじめた。アミおばさんの家は停留所とは反対にあるからだ。


アミおばさんの棲むステム村は私の村より大きいく、ギルドハウスといわれる建物が、村の中心にある。住んでる人もそこそこ多くて、牛や鳥や豚といった「ちくさん」と「らくのう」で栄えている村らしい。(これはお母さんの受け売り)ちなみに、ギルドハウスと呼ばれるところでは、困ってる人がお願いすると助けてくれるところだとアミおばさんに聞いた話だ。今日は、アミおばさんとそのギルドハウスの前で待ち合わせをしていた。


ギルドハウスの前に着くと、入り口の隣で大きく手をふっている人が見えた。


「ミサラちゃ~ん。ここだよ~。」


アミおばさんだ。私から見ると大きいのだが、他の大人と比べると少し小さめのお姉さん。今年で30になるらしい。いつものように白のワンピースに薄茶色のエプロン姿で、ピョンピョンと跳び跳ねて手を振っている。私は小走りで駆け寄る。


「アミおばちゃ~ん。こんにーーー痛いって!」


「ミサラちゃん久しぶり。アミ()()()()だよ~。」


アミおば……もといアミ姉はこめかみをグリグリとしてくる。うっかり禁句をいってしまうと、いつもこうなるのだ。アミ姉の気も晴れたところで、私は一緒にアミ姉の家を目指して歩きはじめる。アミ姉の家の隣には「ようけいじょう」と呼ばれる物があり、そこで沢山の鶏のお世話をしながら卵を取るのがお仕事なのだそうだ。アミ姉とおしゃべりをしながら村の中を歩いていると、目の前に大きな建家が見えてくる。その隣には建家二つ分くらいの家が並んでいた。


「さ~て。じゃあひとまず、お家でお茶にでもしましょうか。お菓子もあるよ。」


「お菓子!?クッキー?それともシフォンケーキ?」


「ざ~んね~ん。正解は……アップルパイでした!」


今日は早く帰れるかわからなくなってしまった。アミ姉のアップルパイはこの村の人なら誰でも知ってる程、絶品なのだ。





一週間ぶりの投稿です。最近忙しくてなにかと困ってしまう次第です。トホホ…。暇がほしい!

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