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10から日記  作者: さんちゃん
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第一話 「隣村へ」

第一章 「はじめてのおつかい」

「いってきま~す!」


かごを持ち、玄関の扉の前でお出かけの準備を終えた私の声が家に響く。

「元気が良くてよろしい!気をつけて行っておいで。」


と、奥で店番をしていたはずのお父さんとお母さんが見送りに来てくれた。私の家は小さな店を営んでいて、今はちょうどお昼すぎなので玄関とは反対にある表側の店があいているはずなのだけど、

「こんな時間にお店空けてて大丈夫?」


「お父さんは心配だよ。忘れ物はないかい?ハンカチもった?ランプは?それから……。」


「親がそんなんでどうするのさ。娘のはじめてのおつかいなんだから、きっちり送り出してあげなきゃ……ホントに一人で大丈夫?」


と、お母さんは私の頭を撫でてくれる。お父さんは後ろでそわそわしているし、結局二人とも、心配が隠せなかったようだった。


「大丈夫!私ももう子供じゃないもん。一人だろうと、暗い道だろうと、どーんとこいだよ!いつもお母さん達についていっているんだから道だって間違えないよ。安心して待ってて。」


何故こんなに心配されているのかと言うと、はじめてのおつかいにいくからなのだ。うちのお店で売っているはずの卵がいつもより売り切れるのが早くて仕入れないいけないのだけど、お母さんもお父さんも今日は村の集まりで動けなかった。この村で唯一の商店なので、無いと村の皆が困ってしまう。と言うわけで、私が隣村まで卵を取りに行くことになったのだ。


「じゃあ、首をなが~くして待っていようかしら。ね、お父さん。」


「そうだね。お父さんもドキドキしながら待ってるよ。行ってらっしゃい。おばちゃんに宜しくね、ミサラ。」


私は、お父さんとお母さんに手を振りまっすぐと歩きだす。まず、目指すは村の馬車乗り場だ。ふと、振り返ると二階の窓から弟のハルタがこちらを心配そうに覗いていた。


「ハルくーん。お姉ちゃんいってくるね~。」


と、大きな声で手を振ると、にっこりと手を振り返してくれた。





私の暮らしている村、アストレアはとても小さな村で周りを森で囲まれている。子供からおじいちゃんおばあちゃんまでと、幅広い年齢層の人々がのんびりと暮らしている。普段は狩りをしたり、山菜を収穫したりと自給自足の生活が主なのだが、足りないものはお父さん達の営む商店で買い揃えるので、店はいつも賑やかだ。しかし最近、魔物と呼ばれる動物たちが森によく現れるようになり、森に入れることが少なくなってきた。なので、皆揃って買いに来るようになったから、在庫がきらしてしまうことが多くなった。卵もその一つなのだ。




村の馬車乗り場を目指して歩いていると、辺りは田んぼと畑が並んでいて緑の色をつけている。緑色の中にぽつぽつと茶色い木の家が建っていて、家の前では子供が遊んでいる。畑では仕事に明け暮れている大人もいれば、田んぼのそばで休憩している大人もいた。そんな見慣れた光景を見ながら歩いていると、馬車乗り場が見えてくる。馬車は隣村だけじゃない、色んなところに連れていってくれるとても便利な乗り物だ。馬車乗り場に着くと、馬車の前で、いつもの馭者(ぎょしゃ)のおじちゃんと村長さんが話しているのがみえた。


「村長さ~ん。馭者のおじちゃ~ん。」


「おぉ、ミサラちゃんか。今日も元気じゃのう。」


手を振りながら足早に駆け寄る私に、村長さんはいつものように返事をしてくれる。


「お、ミサラちゃんか。久しぶり。今日はお父さんとお母さんはいねぇのかい?」


「今日はねぇ、私一人でアミおばちゃんのとこにいくの!おつかい初めてだからドキドキしちゃう。」


辺りをを見回すおじちゃんに、えっへんと胸を張りながら答えると、村長さんは頭をポンポンしながら一言。


「ご両親のお手伝いとは、偉いのう。」

「そりゃ、おじちゃんもいつも以上に頑張らねぇとな。」


と、馭者のおじちゃんは続けて頭をわしゃわしゃしてきた。私はぐしゃぐしゃになった髪の毛を整えながら、いつものお母さんのようにお金を渡し、「隣村まで。」と、おじちゃんに伝える。おじちゃんは「あいよっ!」と、準備を始める。私は準備をはじめたおじちゃんの馬車の後ろにまわり、踏み台に足をかけて荷台へ上がる。荷台の両側面は人が座れるように段ができていて、左の奥が私のいつもの特等席だ。いつもの特等席に座って出発を待っていると、


「ミサラちゃんも、ヤマさんも気をつけてお行きなされ。最近は特に森が騒がしいでのう。」


と、声をかけてくれた。おじちゃんはガッハッハッと笑いながら、


「村長さん、伊達にこの仕事してる訳じゃねぇですぜ。任せてくださいよ。」


と、馭者席に座りながら手綱を握る。


「じゃあ、ちょっくらいってきます。ミサラちゃん走り出すぜ。ちゃんと座っててな。」

「は~い。じゃあ、村長さん行ってくるね。」


手綱のパンッという音と共に馬車がガラガラと走り出す。村長さんは小さく手を振りながらニコニコと、見送ってくれていた。


「いってきまーす!」


少し離れた村長さんに向かって手を振る。馬車は隣村ステムを目指して森の中へと入っていく。

続きを投稿してみました。中々、投稿などがなれなくて大変です。小説を、考えるのも中々一筋縄ではいきませんね。これから定期的に上げて以降と思うので、宜しくお願いします。また、感想やコメントも気が向いたらしてください。誤字脱字の指摘も受け付けております。

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