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10から日記  作者: さんちゃん
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第9話 「ミサラ家の朝」

第二章 「秘めた力」

「このランプ直るかな~??」


「見てみんとわからんわい。ちーと、まっとれ。」


机の上に置かれたランプを手に取り一回ししてぐるりと見ると、クミじいはそのまま奥へ入っていった。私はそれを見届けるとクルリと振り返り、マコト兄ちゃんの座るベンチへ足を運び、隣へ腰をかける。マコト兄ちゃんはここに来てからひたすらに本を読んでいた。何の本かはわからないけど、難しい本だということは表紙とお兄ちゃんの顔から分かった。もうひとつ、唯一私にも分かったのは、誰も私の相手もしてくれず、つまらない時間になるということだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ミサラー!!起きなさい、朝よー!!」


「う……う~ん。お母さん、あと5分………。」


「ダメよ~。今日は工房にいくんでしょ?もう、マコトさんも来てるわよ~。」


窓の外を見るとすでに明るくなっていて、差し込む朝日がとても眩しかった。重たい身体をベットから起こすと、チトチトと居間へと向かう。キッチンからパンの焼けるいい匂いがしていた。居間に入ると、テーブルにはハルくんとお父さんが座り、すでに朝ごはんを食べ始めていた。いつも私が座る席の隣ではマコト兄ちゃんが座っていた。ん?マコト兄ちゃんが座っている……?


「あ、ミサラちゃんおはよう。お邪魔しているよ。」


「お、お母さん?マコト兄ちゃんがいるなら言ってよ!!」


「あらぁ~、言ったわよ~。さっ、早く着替えてちゃっちゃと食べちゃいなさい。」


私はあわてて部屋へと戻る。部屋へと戻ると、いつも枕元に用意している着替えを手に取りすぐに着替える。パジャマからお出掛けよう用の服へと着替え、鏡の前で今日の服装を改めて確認する。とは言ったものの、服装はいつもとあまり変わらない。フードの付いたワンピースの中に、半ズボン。いつもの組み合わせだ。この服装が好きなので、選ぶのは持っている色違いの同じようなものから、季節に合わせてズボンの長さを決めるくらいで、選ぶ必要がなく迷わなくていい。今日は桃色のワンピースだ。一通り確認すると、前髪をかきあげカチューシャをして、身支度が整うともう一度居間へと向かう。居間に戻ると、すでにお父さんはいなかった。ハルくんはいつもどおりゆっくりと朝ごはんを食べている。お母さんはさっきまでお父さんの座っていた椅子に座り、朝ごはんを食べ始めていた。マコト兄ちゃんはさっきと同じように、お茶を片手に本を読んでくつろいでいた。私も椅子につき、いただきますと大きな声で挨拶をして食べ始める。


「今日はマコトさんと、一緒に出掛けるんでしょ。ちゃっちゃと済ませてマコトさんを待たせちゃダメよ~。」


「いえいえ、僕が来るのが早すぎてしまっただけなのでお気になさらず。」


わはっへるほ。だはら(わかってるよ。だから)いほいでぬでほ(いそいでるでしょ)!」


「おねぇーちゃん………口に物………入ってる。」


「あらぁ、弟に言われちゃしょうがないわね、お・ね・え・ちゃん~。」


いつも通りの朝だ。最近はじめておつかいに行ったあの日以来、家族のみんなは気を使ってばかりで、何か素っ気なかった日が続いたが、やっといつものように戻ってきていた。マコト兄ちゃんは、そんな私たちを気にすることなく本を読んでいた。あの日以来、一人で出かけることを避けるように言われていた。何やら普通の事ではないみたいで、マコト兄ちゃんが解決してくれるまでそうするようにと、お母さんと村長さんが相談したそうだ。だから今日も光らなくなってしまったランプを直すために、村の外れの森の中にあるクミじいの工房へ行くのに、マコト兄ちゃんが一緒について来てくれるのだ。だから、迎えに来てくれたマコト兄ちゃんがここにいるというわけである。いつも通りの家族の輪の中にマコト兄ちゃんは違和感なく馴染んでいる。通常営業している家族を尻目に本を読み、必要な時に会話に入ってる姿はいつもそこにいるような雰囲気をかもしだしていた。




朝ごはんを食べ終えて食器を台所へと片付けると、そのままお出でかけの準備をしに玄関へと向かう。下駄箱から靴を取り出し準備を始めようとすると、ハルくんが台所へと顔を出した。顔を出したハルくんはこちらにやってくる。


「おねえちゃん……また、どこかにいくの?」


「まぁね。お母さんからもらったランプがつかなくなっちゃったから、直しに行ってくるの。」


答えを聞いたハルくんは、下を向いてしまった。私が支度に戻ろうと目線を離そうとした時、ハルくんが服の裾を掴みながら口を開いた。


「だって………お外…………。危ないよ…………!」


「ーーーーーっ!!」


私はその言葉に反論出来なかった。返す言葉すら見つからなかった。私が魔物に襲われてからハルくんは私と距離をおいて過ごしていたように感じていた。ハルくんなりに、私に心配したところを見られたくなかったのかもしれない。ハルくんの優しい所がそうさせたのだと思う。言葉を見つけることが出来ない私に、ハルくんはさらに言った。


「森に………いくんでしょ………。また……!………襲われたら………」


今にも泣き出しそうなハルくんの目には涙が溜まっていた。私もハルくんの顔をしっかりと見ることが出来なかった。私のせいで、ハルくんは心配してしまっている。どうにかしようと頭をフル回転させていると、マコト兄ちゃんが本を片手に台所から出てきているが見えた。私はそれを見ると、


「大丈夫だよハルくん!今日はね、マコト兄ちゃんも一緒だから。きっとマコト兄ちゃんが守ってくれるから。マコト兄ちゃんは強いんだよ~。ね!お兄ちゃん!」


玄関へと向かって来ているマコト兄ちゃんは、急に話を振られて少し戸惑いを見せたがハルくんを見ると状況を察したらしく、一度ため息をつき、ハルくんを抱き抱える。


「ハルくん。今日はね、僕がちゃんとお姉ちゃんと一緒にいるから安心してほしい。何があってもお姉ちゃんを怖い目に合わせたりしない。どうかなハルくん?約束しよう。僕はお姉ちゃんを全力で守る。だからハルくんはお姉ちゃんを信じてあげて。」


そう言って、小指を立ててハルくんの前に持っていく。差し出された指を見てハルくんは言った。


「やくそく………。ずっとだよ……………?ちゃんとおねえちゃんを守ってよ………!」


「ハルくん?ずっとって!?」


「いいよ。約束しよう。僕がお姉ちゃんを見ている間、ずっと守る。約束だ!」


ーーーーーーーーカァァァァァ………


不意なハルくんとマコト兄ちゃんの会話に恥ずかしくなって、顔が赤くなり、顔をあげられなくなってしまった。恥ずかしさと嬉しさからうつむく私に、マコト兄ちゃんは一息ため息をつきながら言った。


「さぁ、そろそろ行こうかミサラちゃん。」


「う…………ん…………。」


今日は心がもつかわからないなぁ……………。

久しぶりの投稿になってしまいました………。遅れてしまってごめんなさい。忙しいのに加えて、ノートを無くすと言うアクシデントがあってwwwまぁ、この調子でぼちぼちあげていきたいと思います。頑張りますよ~ww

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