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夢で繋がる話

「夢でつながる話」


もぐらくんとひまわりくんは、次の目的地へ向かい山から山へ進んで行きます。


その途中の峠で、一人で暮らす少年に会いました。


少年は家の前の椅子に座り、ため息をしています。


もぐらくんとひまわりくんは、少年に話かけました。


もぐらくんは話しかけました。


「やあ。僕らは旅の途中なんだけど、君はここで何をしているんだい?」


少年は答えました。


「僕はここに住んでいるんだ。」


「本当はお父さんとお母さんと3人で暮らしているんだけど、二人ともお医者さんで、今はボランティアに出てしまって、今は僕一人さ。」


ひまわりくんは聞きます。


「そうか。寂しいね。」


少年は答えます。


「いつものことさ。そしてまた数か月したら二人で戻ってくる。」


「僕は男の子だから一人で留守番しているんだ。」


もぐらくんが聞きました。


「そうかい?」


「でもずいぶん寂しそうにため息をついていたけど。」


そう聞かれると、少年は答えました。

「僕がため息をついていたのは、違うことでだよ。」


ひまわりくんが聞きました。


「何か悩み事でもあるのかい?」


そう聞かれると、少年は答えました。


「毎日、僕が寝ていると夢の中に一人の女の子が現れるんだ。」


「白いワンピースを着て、赤いリボンのついた麦わら帽子を被った、とても可愛らしい子さ。」


「初め会った時、驚いて僕が話しかけると、女の子も驚いた顔をして言うんだ。」


「私も寝ていると僕が出てくるってね。」


「どうやら、僕の夢と女の子の夢が繋がっていて、僕らは毎日夢で逢っているようなんだ。」


話を聞いてもぐらくんは言いました。


「それは不思議な出来事だね。」


少年は答えました。


「そうだろう。」


「女の子は、僕と同じで一人で暮らしていて寂しくしていたんだってさ。」


「僕の知らない町に暮らしていて、夢の中にいる時が一番の幸せな時間なんだってさ。」


「僕とその子とは毎日夢の中でたくさんのお話をしているんだ。すごく仲良しさ。」


ひまわりくんは聞きました。


「じゃあ、何で君はため息をついていたんだい?」


すると少年は照れながら言いました。


「僕はね、毎日女の子と話して笑い合っているうちに、女の子のことが好きになってしまったんだ。」


「それで、夢の中であの子に言ったんだ。」


「夢じゃなくて、起きているときに君に会いたいってさ。」


「でも彼女は無理だと言ったんだ。」


そういうと少年は、深いため息をつきながら言いました。


「ああぁ〜〜〜あ。」


「あの子に、会いたいなあ〜〜。」


もぐらくんは男の子に聞きました。


「現実にあったら君はどうしたいの?」


少年は少し考えて言いました。


「わからないよ。」


「でも、あの子が寂しい思いをしていたり、困っているなら助けてあげたいんだ。」


するとひまわりくんは言いました。


「じゃ、君に僕の種をあげるよ。」


「僕の種は、食べた人の本当の願いごとを一つ叶えるチカラがあるんだ。」


「だから、僕の種を食べて願ったら君の願いはきっと叶うよ。」


少年は驚きながら言いました。


「本当かい?」


「ありがとう。さっそく今夜にもあの子に報告だ。」


少年は、そう言ってと喜びました。


もぐらくんとひまわりくんは、喜ぶ男の子に別れを告げて、先へと進みました。


その日の夜、少年は、ひまわりくんの種を見ながら考えてます。


少年は言いました。


「僕はあの子とあってどうしたいのだろう。」


そして、夜になり男の子は眠りにつきました。


男の子は夢の中で、女の子と会いました。


男の子は喜びながら女の子に報告します。


「今日、不思議な種をもらったんだ。」


「この種を食べて願えば一つだけ願いが叶うらしいんだ。」


そして男の子は、悩みながら言いました。


「僕は君と会いたいし、君を助けたいと思っている。」


「だけど、今の僕が君にしてあげられることは何があるのだろうか?」


すると女の子は悩みながら言いました。


「助けてくれたらすごくうれしいけど、きっと子供の私や君では解決できない問題だと思うわ。」


「もし、私と君が会う運命なら、その不思議な種を使わなくても、きっと巡り合うと思うの。」


「だから、その時まで夢の中で私とお話ししてくれるだけで私は十分幸せなの。」


女の子の話を聞いて、少年は決意したように言いました。


「わかった。」


「僕は、君と巡り会う時までに、君を幸せにできるような大人になるよ。」


「そして、きっと君を探し出すよ。」


「だから、その日まで今までのように夢の中で仲良くしておくれ。」


そう言うと、男の子はニッコリ笑いました。


女の子も、男の子の話を聞いて嬉しそうにニッコリ笑いうなずきました。


けっきょく男の子はひまわりくんの種を食べることはしませんでした。


次の日の朝、男の子は種を見つめながら言いました。


「いつか、あの子を幸せにできるように、今のうちに人を幸せにできるようになろう。」


そういうと、ひまわりの種をすりつぶし粉末にし、肥料と一緒に、お花畑にまきました。


男の子は言いました。


「願いの叶う種で花をたくさん育てて、町に売りに行こう。」


「この不思議な種のチカラで育った花なら、花に気持ちを込めてプレゼントする人の願いも少しは叶えることが出来るかもしれない。」


お花畑の花は、いつもより大きな花をきれいに咲かしました。


それは、男の子が考えた「あの子を幸せにできるようになるため」の第一歩でした。



男の子は、町に花を売りに来ました。


この町は、大道芸が盛んな町で大変にぎやかです。


道で花を売っていると一人の少女は駆け寄ってきました。


男の子は、少女に話しかけます。


「やあ。君はどんな花がほしいんだ?。」


女の子は言いました。


「私は大好きなピエロさんにお花をプレゼントしたいの。」


「最近いなくなって寂かったけど、やっと見つけた。今度こそ私が好きなことをピエロさんに伝えるんだ。」


すると男の子はニッコリしながら言いました。


「それなら、ここにある花がいいよ。」


「ここにある花は、花に込めた願いを叶えるチカラがあるんだ。」


「きっと君の願いも叶えてくれるよ。」


少女はうれしそうに笑いながら、その花を小さな花束にして持っていきました。


男の子は、少女の願いが叶うように願いながら、少女の背中を見送りました。




つづく。


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