表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

魔女の夜に想い出したよ、たった一つ大切なものを。

「起きて、起きるのよ・・・まどか!!!」

<<<<パアッッッッツツツツ>>>>>っと白い光。

瞼が重くてしっかり開かない。

白い光に黒い斑点。

芸術的なコントラスト、、、違う、目が見えないだけ。

「まどか、まどか・・・」と繰り返す女の子の声。

清らかで伸びやかな声。

だけど切羽詰まった調子だ。

何かが大変なのかな?

やっと目が慣れてきた。

あたりは薄暗い。

夜空に浮かんだ水球のような世界。

細かな砂のような星たち。

そのとき、、、

<<<ひゅゅゅゅうううゆゆーーーーーー>>

ん?と私。

<<<るるるるるりゅりゅりゅりゅーーーーーー>>>

奇妙な音。

そして少し離れてところに巨大な「影」が仁王立ちしていた!!!

威圧的なほどの巨大さ。

そいつは私たちをにらみつけている。

「やばっ」と女の子が構えるけど、もう遅い。

ミイツケタ、と言わんばかりにそいつはノソノソ近づいてくる。

動作はのろいけど、巨漢なのですぐに私たちの目前までやってきた。

近くで見るとさらにでかい。

「円、シールド張るから」

早口で女の子が言い、刹那、「影」が強靭で闇のような腕を振り下ろす。

[[[[[ dddddっどおおお!!!!!!! ]]]]]

[[[[ どどどどどどどおどどおどおおおdddd!!!!!!! ]]]]

「相手の『魔力』が強すぎるわ!」と女の子と叫んで踏ん張る。

しかし言い難い圧力みたいなものが私たちを襲う。

ゴホっと呼吸を詰まらせる私。

そして身体がなくなる感覚。

落ちる・・・

廻る星・・・

ひっくり返る世界・・・

女の子から引き離される。

((いやだ・・・))

((もう二度と離れたくないよ・・・))

((悲しい運命を繰り返したくない・・・))

しかし私の身体は猛スピードで降下していく。

「まd・・・」と女の子は私同様に落下しながら言いかけ、そして叫ぶ。

「लोके जरारुग्भयमृत्युनाशं दातारमीशं विविधौषधीनाम् !!!!!!!!!!!!!」

その瞬間、また光が私の視界いっぱいに満たされた。

<<パアッッッ>>っと!

ふっ^^^ふっ^^^と、私の身体は無重力状態にいるみたいになった。

そして固い地面に、ゆっくりのスピードで背中から着地した。

思わずため息。

はーーーっ。

助かった。

あの子が助けてくれたんだ。

おかげでケガはないけど、腰が抜けて動けない。

「大丈夫!!??」と取り乱しながら、女の子が着地。

(見事に足から着地した。かっこいい)

そして駆け寄ってくる。

仰向けに横たわる私を、のしかかるようにして観察する。

「意識ははっきりしてる?めまいとか頭痛は??」と必死に問いかける。

しかし私はその子のぱっちりした目と視線が合って、思わず顔をそむけてしまう。

え、この子、なんだろう。

初対面なはずなのに、不思議な魅力を感じる。

私なんかのために目にうるうるうるうる涙を溜めてくれている。

マンガのヒロインみたいな純粋さ。

というか顔近すぎない?!

落下の衝撃のせいでふんふんと荒い鼻息が、この子にばれてしまいそうで恥ずい。

「円、いけそう?」と訊きながら、肩を貸して私を起こしてくれる。

女の子の腰まである髪がさらさら私をなでる。

くすぐったい。

でも相変わらず状況が呑み込めない。

・・・そもそも私は誰だっけ?

「まさか、また『リセット』?」

「リセットって?私そんなのしてないよ」

「その答えを聞く限り、また『リセット』ね・・・」と女の子は唇をかむ。

「もう347回目よ・・・」と嘆いている。

せっかくのふわふわピンクの唇なのに、痛そうな歯形がついて歪む。

軽く前髪がかかってる眉間に、辛そうな皺が寄る。

ああ、こんなにもかわいいのに・・・

どうしてこんなにも苦しそうなんだろう・・・

ぎゅっと、確かに、私はいつの間にか女の子を抱きしめていた。

女の子は一度だけ大きく鼻をすすり、

大きくて柔らかい胸が私の胸に押し付けられる。

だけど女の子の心臓の早鐘は収まっていない。

・・・この子が苦しそうにしているのを見ているだけで、胸がぎりぎりする・・・

私は決心した。

「安心して、あなたは私が守るもの。」と呪文のように言い聞かせてあげる。

女の子は私の肩に顎を載せて、うんと応えて抱きしめ返してくれた。

多少は落ち着いてくれたはずだ。

[[[[ ・・・・・・・・・っっっっzzzzずうううんんんんんnnnnnnn ]]]]

そんな轟音とともに「影」が追い付いてきた。

私は女の子をその場に座らせ、頬に、

(かなり照れるし、この子以外には絶対にそんなのしないんだけど、、、)

頬にちょん、とキスをした。

女の子の反応が心配だったけど、笑ってくれた。

「気をつけてね」と言ってくれた。

そして私は立ち上がり、「影」に対峙した。

私は自分のことすらわからない。

記憶がない。

ここがどこかもわからない。

けれどこの子をいとしく思う気持ちだけは本当だ。

それだけわかれば十分だ。

十分戦える。

全身が幸せなビリビリ感に満たされる。

そうか、これが『『 魔法 』』なんだ。

そして「影」が一瞬怯む。

私は目いっぱい跳び上がり、心ではあの子の頬の柔らかさを想う。

みなぎる『魔力』だけを頼りに、立ち向かう・・・・・・・・・

角川の児童向けレーベルや、「恋空」前後のケータイ小説は、しかるべき論者によって、改めて評価されるべきだと思います。角川については大塚英志が丁寧に述べていましたし、ケータイ小説もおそらく飯田一史(?誤りだったらスマソ)が研究していました。良くも悪くも生真面目な芥川賞のアンチテーゼとして、やはりこれらが評価されて欲しいものです。。。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ