Numbers
「たす、け、くれ」
ノイズ交じりで聞こえてくる苦痛の声
その奥ではマシンガンのの音がしている、どうやら隠れているのであろう
「う、うあー!」
ノイズが晴れるような大きな声が基地内の一室に響き渡る
「第三中隊どうした!応答せよ!」
無線の通信が途絶えた、そして別の場所から無線が入ってきた
「こちら第八戦車隊、全車両大破、地点Aもう持ちません、指示を」
絶望はいくつも体験していたはずなのにいつになっても慣れることがない
兵が次々に声を上げて倒れていく
「第八戦車隊、急いで撤退せよ」
あの人は兵を大切にする、そう考えて指示をした
だが、その判断は間違っていたのだろう
「第八戦車隊自分残して射殺されました」
指示をしてすぐにこの無線が入った
私は震えが止まらなくなった
命を背負っている司令官の判断が間違っていた、その挙句に全滅した
「少佐、すぐに敵がそちらに行きます、どうか逃げてください」
こんな状況にした私に逃げろと言いている
逃げるわけにはいかないここを死守するように言うべきなのだろうが、声に出したものは全く違った
「総員に告ぐ撤退せよ、繰り返す撤退せよ」
生きたいとどこかで思っていたのだろう