表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
839/873

834話 金の宝箱?

 天望樹の実のミックスジュースを飲んで戻ってきた俺たちは、探索を再開した。北の島だとセーフティエリアのすぐそばに氷獄熊がいたし、もうボスは近いかもしれない。


「浮遊の効果、すごいな!」

「キキュ!」


 浮遊状態だと、足場がない完全な空中へと飛び出しても一定以上に高度は下がらず、落下してしまうようなことはなかった。


 軽く地面を蹴って跳び上がると、いつもの三倍くらいは跳べる。


 ここのように、足場が狭い落下の危険がある場所では最高の効果と言えるだろう。やはり、天望樹の実は攻略のお助けアイテムだったらしい。


 ただ、空中での動きが非常に遅いので、そこは少し注意が必要そうだった。


 そうしていざ先へと進んでみると、今回の探索では3つ目となる宝箱を発見していた。前の2つは剣と槍だったので、正直うちじゃ使わないんだよね。


 どっちもレア度5で、植物系、飛行系のモンスターに対するダメージ増加能力があったので、このフィールドだと結構強いだろう。売れば多少の儲けにはなるはずだ。


 もしくは、インゴット化して鍛冶に使うっていう手もある。俺も鍛冶を始めたわけだし、そろそろいい素材でレベリングをするのもいいだろう。


 で、問題は今回の宝箱なんだが、ちょっと毛色が違っていた。なんと、光っている。噂に聞く、激レア金宝箱ってやつだ!


 宝箱には通常の物以外に、銀宝箱、金宝箱と呼ばれるレアな存在があるらしい。らしいって言うのは、俺はほとんど出会ったことがないからだ。


 銀は2度見たことがあるけど、金は噂でしか知らないのである。極まれに出現する宝箱で、目撃情報そのものが多くないのだ。


 銀はメタリックな外見ではあっても、ここまで眩しくはなかった。まるで発光しているようなこの輝きは、間違いなく金宝箱だろう。


 これが金の輝きか! 金というか、白金? 白色蛍光灯みたいな色で光ってやがるぜ! しかもちょっと虹色混じり? さすが金!


「どうだ2人とも?」

「キュ!」

「デビ!」


 リックの警戒スキルにも、リリスの魔力感知にも怪しい点はないらしい。俺の罠察知、気配察知も同様だ。


「よし、罠なし! あけるぞ! あけちゃうぞ!」

「デビ!」

「キキュ!」

「お? 一緒に開けるか?」

「デビ」

「キュ」


 リリスとリックも金宝箱に興味津々であるらしい。期待するように俺を見上げている。


 金宝箱なんて激レア存在を開ける機会、もう二度とこないかもしれない。ということで、3人で同時で宝箱を開くことにした。


「じゃ、いくぞ! いっせーの!」

「デビー!」

「キュ!」


 3人で勢いよく宝箱を開く。蓋が思ったよりも軽――。


「シュギャギャァァ!」

「うわぁぁぁぁ⁉」

「デビー!」

「キュー!」


 ミ、ミミックだったぁぁぁ!


 開いた宝箱の縁に鋭い牙がならび、その中からは無数の触手が一斉に溢れ出す。プレイヤーのルンルン気分を最高から最低へと叩き落す、憎いあんちきしょうだ!


 罠感知はミミックだって見破れるはずなのに! なんで! 最前線のミミックには、もっと高レベルのスキルじゃないと通じないってこと?


 名前はミミック・S。なんだSって。普通じゃないのは分かるが、初耳だぞ? あ、もしかして銀宝箱のミミックってことで、シルバーのSか?


「と、とにかく戦う――」

「シュギャギャ!」

「ムム!」


 危な! ミミックの触手攻撃をオルトが防いでくれなかったら、終わってた可能性があるぞ! ガードしたはずのオルトのHPが、ちょっと削れたからね。相当な威力だったのだろう。


 俺は大慌てで蘇生飴を口に入れた。これで死んでも蘇生可能だ。


「デビ!」

「キキュ!」


 リリスとリックが怒っているね。俺が攻撃されたから――じゃなくて、宝箱御開帳に水を差されたからだろう。


 そんな2人を見ていたら、逆に冷静になってきた。そもそも、ミミックは完全な外れ扱いってわけではない。


 強敵ではあるが、かなりのお金と、高い経験値を持っているのだ。


 つまり、倒せばガッポガッポだ。


 しかも、俺にはあれがあるじゃないか!


「経験値超加薬を選択! 使用する!」


 音声入力によって即座に目的のアイテムを選び出し、俺は使用を叫んだ。直後、俺の体を光が包み込み、バフ状態であることを示す表示が出た。


 間違いなく、経験値30倍である。


「これでこいつを倒せば!」

「シュギャ!」


 俺は様子見をしているミミックに対し、水魔術を使用した。水の槍がミミックを直撃だ! だが、喜んでいられたのはそこまでである。


「は? なんで?」


 なんと、ミミックに対してノーダメージだったのだ。ま、間違いなく当たったよな? なんでだ? 絶対魔法防御? それとも水無効?


 その後も樹魔術や弱所看破からの杖攻撃を試みたが、どれもノーダメだった。俺だけじゃない。モンスたちも色々な攻撃を放っているのに、全て効いていないのだ。


 それでいて、ミミックからの攻撃は超威力である。盾役のサクラとヒムカが瀕死に追い込まれていた。なんとか回復して立て直したが、このままだといずれ追いつめられるだろう。


 アコラの覚醒も、リリスの闇魔術も、リックの木実弾も弾かれた。


 弱点に攻撃しなければいけないのかと思い、箱の内側や底、触手の先などを狙ってみたがやはり無駄。そもそも、ダメージ入らない敵にどう勝つっていうんだよ!


「あれ? 経験値ガッポリどころか、大ピンチ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
10分間で倒せるの…?と思いきや、全然だったぁー!(^◇^;) 大ピンチですねえ
某「クリティカルしないとダメージ1」なスライムみたいやな?
ミミックって事は経験値と倒した後も宝箱出る可能性有るよな? 運営ミミックの経験値設定間違えてたら面白いことになりそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ