表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
813/873

808話 シルバーサラマンダー号

 炎海の町を出た俺たちは、そのまま一番近くの溶岩川へと向かった。


 門を出るとすぐに溶岩を渡るための石橋になっているんだが、袂の脇に川へと下りるための階段が付いているのだ。


 メンバーは釣りということでルフレ、ペルカ、火に強いヒムカ、万が一の時に飛べるファウ、アイネ、リリスに変更している。


 サクラやオレアは、溶岩の川に近づくだけでもちょっと怖いしね。


「さて、川べりまで来たけど、メッチャ怖いな」

「ヤー」

「ペーン」


 マジで数メートル先を、グツグツと煮えたぎった溶岩がゆっくりと流れていくのだ。ゲームだから俺は熱く感じないけど、モンスたちは結構熱いらしい。


「みんな、これ使っておけよー」

「フム!」

「デビ!」


 俺たちが使用したのは、町で売っている冷え冷え君という何とも言えないネーミングのアイテムだ。体にペタッと貼り付けると、30分間熱さへの耐性が付与されるという。


 さすがに溶岩に触れればダメージを食らうが、近づく程度なら問題なくなるらしい。


「フマ!」

「アイネ、そこでいいのか?」

「フマー?」

「いや、自分の好きなところでいいけどさ」


 ルフレやヒムカが腕に貼っている中、アイネは額に貼っていた。本当に熱が出た時に貼るアレみたいに見えるのだ。


 邪魔じゃないのか?


「ヤー!」

「まあ、こっちよりはましか」


 ファウは腹にベルトのように巻いている。小さいファウじゃ他に貼れないのは分かるけど、ちょっと腹巻っぽくてユーモラスだ。


「ヤ?」

「なんでもないよ。それよりも、熱くないか?」

「ヤ!」

「デビ!」


 アイテムの効果はバッチリらしく、モンスたちは快適そうな表情だった。これなら溶岩の川に近づけるだろう。


「まずは船を試そうか」

「ヒム!」

「はいはい、浮かべる役は任せるから」

「ヒームー!」


 俺が小型化した船を取り出すと、ヒムカがビシッと手を上げた。あれだけ欲しがっていたわけだし、自分で色々やりたいのだろう。


「では、シルバーサラマンダー号、進水式を行います!」

「ヒム!」


 うん? 溶岩だから。進水じゃない? 進溶岩? 進炎? まあ、船だから進水式でいいか。


「ヒムー!」

「ララー♪」


 なんか式典始まったな。


 ヒムカが小型の船を高々と持ち上げると、ゆっくり川へと近づいていく。そりゃあ、俺もノリで進水式とか言っちゃったけど、ここまで厳粛にせんでも!


 その背後では、ファウが表彰式の時とかに流れるアレに似た曲を演奏している。


 さては、水臨樹の完熟果実を収穫する時の式典ごっこが楽しかったな?


「ペペー」

「デビー」


 モンスたちも整列して、ヒムカを見送る。これ、俺も付き合わなきゃダメ? ダメですか。分かったから、引っ張るなってアイネ!


 仕方なくモンスたちの列に一緒に並び、ヒムカが溶岩の川に船を浮かべ、小型化を解除するまでを見守った。


 橋の上からめっちゃ見られてない? いや、気持ちは分かりますけどね?


 橋の上を歩いていたら、なんか音楽が聞こえて、覗き込んだら妙な式典の最中だ。そりゃあ、見ちゃうよ。


「ヒムムー!」

「おおー!」

「「「おおー!」」」


 ヒムカが船を大きくした瞬間、俺と橋の上の人たちの気持ちがシンクロした。思ったよりもでっかいんだもん。


「2パーティ用って話だったけど、かなり広いな」


 ギュウギュウ詰めじゃなくて、余裕を持って乗る前提であるらしい。形状は流線型で、結構スピードが出そうだ。


 タラップのようなものもしっかりついているので、そこから乗り込む。椅子はないけど、腰を下ろすことが可能なステップが4つ取り付けられていた。


 船首に取り付けられた舵輪で動かすらしい。バックはできないっぽいね。


 さて、いよいよ出航だ! さすがに運転は俺がしなくちゃいけないらしい。足元にはパッドがあり、これを踏むことで加速するようだ。


 だが、俺が何かする前に船が大きく揺れ、そのまま動き出したではないか。


「え? まだアクセル踏んでないぞ?」

「ヒム!」

「ああ、溶岩の流れに乗ったってことか」


 勝手に川下へと向かって流され始める船。しかも、結構速い。これ、ヤバくないか? 岩とか滝とかにぶつかりでもして転覆したら、一瞬で全滅だぞ?


 船首を川上へと向けて、アクセルを踏み込んでみる。


「お、流されなくなったな」


 むしろ、少しずつ川上へと昇り始めた。まだベタ踏みじゃないし、やろうと思えば上流へと移動できるかもしれない。


「これ、ヒムカは運転できるか?」

「ヒム?」


 うむ、無理っぽい。だとすると、俺が釣りできないんだけど。


「とりあえず岸に戻ろう」

「ヒム?」

「溶岩クルーズも楽しいけど、これはまた今度な」

「ヒムー……」


遅れて申し訳ありません。

予約を失敗して、本来は18日に投稿するところをできておりませんでした。

次回以降は、12/25、1/1の更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
操船はクールなドリモを押したいところですが、乗物繋がりで可能性の獣?を押したい。 前足と口を駆使した舵捌きを想像すると笑える。
流されながら釣り、とか…?(^^;;
錨を下ろしてその場に留める機能もあるよ。 きっと。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ