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797話 ふーかと石田


「じゃあ、今日も料理をしていこうか」

「はい! 先生!」

「お願いします先生!」

「いや、先生はやめてくれよ」


 ここ数日は造船用の納品を続ける俺だったが、今日は他のプレイヤーと共同で料理を作っている。サーベラスライオン戦でも一緒に戦ったふーかと、酒職人の石田だ。


 うちの無人販売所にきていた時に偶然会って、何故か一緒に料理をすることになったのである。


 彼らとしてはかき氷機が気になるらしい。俺の動画を見てくれたそうだ。で、俺としては彼らの料理が気になっていた。まあ、納品用に他の料理人の販売している料理を仕入れられないかと考えていただけだが。


 で、話し合った結果、彼らにも料理の量産を手伝ってもらう代わりに、持ち運び用のかき氷機をレンタルすることになったのだった。かき氷はもう大量に作ってストックしてあるから、しばらく使わないしね。


 ああ、因みに造船納品クエストは、早耳猫に報告済みだ。また「うみゃー!」聞いてやったぜ。で、この2人はそこから広まった情報を仕入れているようで、俺が他の生産職に手伝ってもらいたがっていることを知っていた。


「でも、本当に報酬がかき氷機のレンタルなんかでいいのか?」

「勿論です! むしろ、お金には代えられない価値がありますから」

「そうだぜ!」


 なんでも、俺の動画を見てかき氷機を入手したいプレイヤーは多いが、結構ハードルが高いらしい。いや、そんな難しいか?


 話を聞くと、そもそも第12エリアに行くのも難しいし、あの雑貨屋さんに入るのにも何かのフラグが必要になるようだった。俺はいつの間にかクリアできてしまっていたので、ラッキーだったのだろう。


 うちの地下にある万能工房に皆で移動し、レッツクッキングだ。


「ここにある調理器具を使ってくれ。あと、食材もそこの保存庫に入ってるのは好きにしていい。ああ、何か持ち込み素材を使った場合は、あとでちゃんとお金払うからさ」

「いやいや。むしろ持込させてください。料理のレベリングにもなるのに、食材のお代まで出してもらったら貰い過ぎですよ」

「ああ。むしろ、食材提供させてくれ! あとで色々な人から怒られそうだから!」

「そうか? まあ、2人がそれでいいなら有難いけど」


 ということで、皆で仲良く料理を始める。


「みんなも頼むぞ?」

「フム!」

「ヤ!」

「モグモ!」


 ルフレ、ファウ、ドリモがアシスタントだ。


「キキュ!」

「クマー」


 さらに、リックやクママも料理を見守っている。まあ、こいつらは味見係——というか、つまみ食い狙いだが。


「それじゃあ、私はチャーハンでも作りましょうかね! モグラちゃん、そのお野菜とってくれる?」

「モグ!」

「刻んだネギに白銀さん特製のお醤油に、オルトちゃん作のお米! そこに、私の特製スパイスもぶち込んじゃいます!」

「モグモ!」


 ふーかがメチャクチャデカいフライパンを取り出すと、一度に大量のチャーハンを作り出す。大量調理というスキルを持っているらしい。


 これは大型の調理器具を使用することで、同じ料理を同時作成することが可能になるスキルだそうだ。


 俺だと、1度に作れるチャーハンは5人前が精々だ。それよりも多く作ろうとすると、品質が下がったり、場合によっては調理に失敗してしまう。


 しかし、ふーかは30人前のチャーハンを同時に調理することができている。それでいて、品質が低下しないのだ。


 専用器具が必要なうえ魔力は多く使うし、あまりレア度が高い料理は作れないという制約はあるらしいが、料理で商売をするには必須のスキルかもしれない。


 俺の場合は料理専門じゃないから、そこまで必要性は感じないけどな。でも、現実味のない超巨大フライパンをあおりながら、チャーハンを作っているふーかは非常に絵になっていた。


 あれを見ていると、ちょっと楽しそうだと思ってしまうのだ。


「つがるんから仕入れた林檎酒を使ったカクテル、スネークバイト(仮)の完成だ!」

「ヤー!」

「お? 今度はその酒使ってほしいって?」

「ヤヤ!」


 石田はやはりお酒を造っている。カクテルを作るためのスキルを持っているらしく、シェイカーで色々なお酒を混ぜているのだ。


 現実にあるお酒とは全く同じではないから、完全に同じカクテルではないだろうけどね。実際、スネークバイトはシードルとビールのカクテルだったはずだ。


 でも、石田は林檎酒とエールで作っている。わざわざ(仮)ってつけるところに、いずれ本物を作るんだという執念を感じるね。


「俺は新しい調理器具を使ってみよう」

「フム!」

「やっぱ、この石窯だよな!」


 新しい万能工房には、今までにない調理器具が幾つも付随している。これらを使いこなせば料理をより美味く作れるだけではなく、時間短縮にもなるだろう。


 特に目を引くのが、本格的なイタリアンのお店とかにありそうな大型の石窯である。これで作るとなれば、どう考えてもピザ――いや、ピッツァだろう。


 まあ、他に作れそうな料理をあまり思いつかないしね。パッと出てくるのは、アップルパイ、ローストビーフ、パン各種くらい?


 でも、もう口がピザなのだ。


 生地にオリーブオイル、白トマトのソースを塗り、ドライトマト、ハム、バジルルを載せていく。この時点で美味しそうだな。


 そして、石窯へと投入だ! 備え付けのでっかい木のヘラみたいなやつでピザを持ち上げ、そのまま石窯の奥へと入れる。これだけで職人気分だった。


「よし、焼き上がりまで3分! その間にほかの器具も試そう」

「フムー!」

「なんだルフレ、これを使ってみたいのか?」

「フム」


 ルフレが興味を示したのは、大型の電動ホイッパーだ。クリームとか、生地を大量に作ったりできる。お菓子作りにかなり役立つだろう。


「フム!」

「なるほど、マヨネーズを作るのもいいか!」


 ルフレは海鮮フライに最適なマヨネーズを作りたいらしい。やはり魚か。


「じゃあ、色々作ってみるか」

「フムー!」


 結局その後も料理を続け、数時間かけて1000食以上作ってしまっただろうか。半分以上はふーかのおかげだが。


 まさか1日で納品依頼完了分をゲットできてしまうとは思わなかった。石田に分けてもらった各種お酒も大きいのだ。


 ふーかと石田にも改めてお礼をしないとね。北の島の食材を分けてあげようかな? お金より絶対に喜ぶだろうし。


ちょい風邪気味なので、次回更新は11/2とさせてください。

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― 新着の感想 ―
このピザチーズ乗ってないんよ
1日で?!?!?!マジかよぉ…
お大事になさって下さい。 次は木材納品に向けて、アシハナを召還だ❗️
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