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796話 造船


「それで親方、船造れそうですか?」

「ああ! イメージはばっちりだぜ! 金やら素材やらは必要になるがな!」


 腹を叩きながら、上機嫌でガハハと笑う親方。これぞドワーフって感じの姿である。


 でも、お金かぁ。考えてみりゃ、そうだよな。でっかい船を造るとなれば、そりゃあ、莫大な費用がかかるはずだ。


 あれ? これって、1人じゃ無理か?


「因みに、おいくらくらいかかります?」

「うーむ、この場所に簡易ドックを作って、デカい船を造るとなると……。1億はかかると思うぞ?」

「あれ? そんなもんですか?」


 今でもギリギリ払えちゃうんだけど?


「1億をそれくらいって、どこのお大尽だ!」


 言われてみれば、情報料がなければ確かに払えない額だったな。やっぱり、ソロのプレイヤーには難しい依頼だ。


「とりあえず、前金で1000万! 完成で9000万! ただ、素材を自分で集めてくれば、最大で3000万までは安くできるぞ」


 めっちゃ値引きしてくれる! なるほど、そう言うシステムね。時間さえかければ、少人数でも船を手に入れることができる仕様なんだろう。


 詳しく話を聞くと、造船には最大で3ヶ月かかるそうだ。だが、その期間に素材を持ち込めば、時間が短縮され、さらにお金も安くなるというわけである。


 前金1000万を払うと同時に、必要素材をその場で全て納品するのが最速最安になるわけだな。


 その場合、完成報酬が3000万まで減り、完成までに4日で済んでしまうらしい。いやいや、巨大な船を4日?


「そんなこと可能なんですか?」

「はっはっは! 俺らにかかれば、そんなもんさ!」


 スキルのある世界観だし、まあゲームだからね。そこはメチャ早なのだろう。


「納品可能なのは、木材、鉄材、石材。あとは魔導機関の修復素材にポーション類や料理類? ああ、職人さん用ね。他にも魔道具とか、職人用の道具とかもあるんだな」


 生産プレイヤーなら、色々と手伝えそうだった。単純に素材を納品するよりも、生産物を納品する方が効率が良さそうだし。いや、ただ素材を納品するだけの方が、手間はかからんか?


「まずは――木材を仕入れに行ってみるか」

「ヒム!」

「キキュ!」


 その足で市場なんかを覗きに行ったんだが、木材は中々売っていなかった。木工屋さんで少し買えたが、購入制限があって必要数は手に入らない。


 そもそも、この辺で売っている木材は高いのだ。ただ、造船用に必要な木材はこのエリアで採れる種類のものなので、買い集めるのは現実的ではないかもしれない。


「つまり、このエリアを探索しながら、素材集めもしなさいってことか」

「ヒムー」

「キキュ」


 まだ北海の町の周辺をキッチリ探索はできていないし、ちょうどいいかな?


 そうして町の外に出たんだが、周辺の森林では木材が多くゲットできるようだった。歩けば伐採ポイントがたくさん存在しているのだ。


 元々、造船ミッションを攻略するための町ってことなのかね? とは言え、1人で必要な木材を集めるのは無理かな?


 1時間ほど歩き回って、手に入れた木材は必要数の1%くらいだったのだ。やはり、クランとは言わずとも、パーティでこなすような依頼なんだろう。ボッチには辛い仕様である。


 フィールド自体は、さほど苦にならなかった。どう考えても北の島の方が過酷だったし。多分、この辺で経験を積んで、北の島へと向かうのが正しいルートなんだろう。俺は最初に島へと渡っちゃったけど。


「木材の納品はちょっと難しいな」


 俺は木材以外での納品狙いへと切り替えることにした。職人さん用の食事の差し入れや、船に積む食料の納品だ。


 美味しい食事を差し入れれば、職人さんのやる気がアップするらしい。つまり、仕事の速度が上昇するってことなんだろう。


 あと、船に積む食料は、野菜や肉、魚などの食材がメインである。悪くならないのかと思うが、そこら辺は魔法で保存するので問題ないそうだ。


 食料はレア度や品質で達成率が変わり、達成率がマックスになると完全達成になるそうだ。所持していた野菜なんかを結構納品したが、これで達成率10%か……。


 でも、木材よりは俺向きだと思う。あと、食事は職人さんたちにメチャクチャ喜ばれたので、毎日差し入れるのが良さそうだった。


 ああ、特に喜ばれたのがお酒だ。職人にはドワーフも多く、彼らが酒好き設定だったのだ。因みに、自作のお酒である。


 最近では醸造樽も20個超えたし、畑の作物も増えてきたからね。色々なお酒を造っているのだ。素材をいくつか組み合わせたりもして、面白いお酒も造れている。


 特に俺が美味しいと感じたのは、紅葡萄と発泡樹の実を組み合わせた、スパークリングワインだろう。現実で飲むのと遜色がない。


 最近量産が軌道に乗ったストロベリンゴを使った、甘い果実酒も好きだ。料理なんかに使っても美味しいしね。


 他にも、白梨、紫柿、紅葡萄、桃色林檎、濃紺蜜柑、霊桃なんかの果実酒もいいし、米や黒ジャガイモを使った辛口のお酒も結構売れている。


 ハチミツ酒も、使うハチミツの種類で味が変わるし、薬草や火炎草、ハーブを漬け込んだ薬酒も面白い。まあ、この辺はうちじゃほとんど作っていなくて、料理人仲間の石田情報だけど。


 石田は酒造りにこだわりがあるらしく、酒屋かよっていうくらい大量の酒を無人販売所で売っているのだ。


 俺はお酒はあまり飲まないし、この納品で全部使っちゃってもいいだろう。


 そうして納品を続けつつ、合間に他のプレイヤーさんの動画を見る。みんな色々な動画を上げてて、面白いね!


 知人たちも参加しているのだ。


「KTKの動画、スゲーな」

「キュ?」

「ニュ?」

「リックとメルムも一緒に見るか? ほら、この動画すごいぞ。サーベラスライオン、ノーダメソロ撃破動画だってさ。さすがKTKだよなぁ!」


 俺たちと大苦戦しながら倒したはずであるサーベラスライオンだが、いつの間にかソロ撃破できるようになっていたらしい。パーティ専用の個体なのでHPは低いが、攻撃パターンは同じなのだ。


 そんな相手にノーダメ完全勝利とは……。やっぱ最強プレイヤーは伊達じゃないんだな! 憧れちゃうぜ。


日付越えたことに気付かず、明日更新設定にしてしまってました!

申し訳ありません!

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― 新着の感想 ―
納品を続けつつ、合間に…他の人に声をかけるのかと思ったらおいいいいいい?!wwwww
そのイベント絶対ソロでやるの想定してないから!!!www
外洋に出る船をつくるのだから大きいし、必要な物多くて費用がかかるのは分かる。 個人で全額キャッシュ払いもやろうと思えば出来そうな額だから、後々やるプレイヤーはいると思う。 それを物納して安く抑えようと…
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