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792話 新しい転移先


「いやー、まさか勝てるとは思わなかったなー」

「――」

「ペーン」


 氷獄熊戦の最後。蘇生飴がすっぽ抜けた時は完全に敗北を確信したんだが、そこから奇跡的に勝ちを拾っていた。


 手元から飛んでいった蘇生飴が物理法則を無視した軌道を描いて、俺の口にスポッと入ったのだ。その直後俺は死んだものの、蘇生飴の効果で復活。


 慌てて熊から距離を取りつつ、モンスたちに総攻撃を指示したのであった。最後は妖怪たちも召喚し、総力戦でなんとか氷獄熊のHPを削り切ることに成功した。


 あの奇跡の蘇生がなければ、負けていただろう。


「まさか、口キャッチのスキルがこんなところで役に立つとはね!」


 そうなのだ。モンスたちにおねだりされ、お遊びのために獲得した口キャッチのスキル。マシュマロキャッチ用の趣味スキルだと思っていたら、まさかの大活躍だ。


 どんなスキルも使い方次第ってことなんだろう。まあ、同じ使い方をまたするかは分からんけど。


「で、これはなんだろうな?」

「ニュー?」

「トリー?」


 俺は急に輝き出したセーフティエリアの巨大氷塊を前に、首を傾げていた。隣では、頭にメルムを乗せたオレアが同じようにしている。


「触れってことかね?」


 まあ、ボス戦の後だし、また強い敵がってことはないだろう。な、ないよな?


 俺は恐る恐る、氷塊に触れてみた。すると、ウィンドウが立ち上がる。


「マップ? この島の北側の入り江のどこかか?」


 ウィンドウには地図が表示され、バツ印が入れられている。まるで宝の地図のようだ。多分、形状からどこかの入り江だろうと思われた。


「よし! ここにいってみるか」

「デビ!」

「フマ!」


 ただ、パーティメンバーがなぁ。戦闘中に入れ替えてしまったせいで、このフィールドだとちょっと辛い構成なんだよね。


 ペルカは残っているが、樹精のサクラ、オレアは寒さに強いわけじゃないし、アイネ、リリスも大得意ってわけじゃないのだ。メルムは新装備のお陰で多少マシだけどね。


 少し悩んでいると、ある部分が目に入る。


 マップの下の方に、四角い人工物っぽい何かが描かれているのだ。マップのサイズ的には、正方形の小さいポール的な?


 そこで、思い出した。


「これ、もしかして転移陣? ああ! 特殊プライベートエリアの転移陣! あれ、なんか変化ないか?」


 戻って確認してみる。すると、俺の勘がバッチリ当たっていた。以前はブラックアウトしていて選択できなかった転移先が、2つとも解放されていたのだ。


 転移先は、北海の町と北の入り江となっている。なんと、連絡船に乗らずとも、北海の町と行き来できるようになったらしい。これは便利だ。


 買い出しとかも簡単にできるし。


 で、問題は北の入り江の方だろう。無数にある入り江のどこに転移するかは分からないが、マップに記された場所に直接転移できるっぽいのだ。


「じゃあ、転移だ!」


 転移先を選ぶと、一瞬で視界が切り替わる。転移先の字面通り、島の北側にある入り江の入り口だった。


 どうやら、島の最北西部。コの字の一番奥側っていうの? 東には陸地が続いているが西は崖になっていて、そこからは北の海が見下ろせた。


 マップを確認すると、大きな岩や海岸線の形状が一致している。表示された地図の場所で間違いない。


「で、バツ印の場所なんだけど……」

「ペン?」


 時間をかけて印の場所を探す必要はなかった。だって、見逃せない物が入り江の入り口からでもはっきりと見えるのだ。


「でっかい船だな!」

「ペーン!」


 浅瀬に乗り上げた、木造船がバーンと目に飛び込んでくる。バツ印は、この船を示していたようだ。


 北海の町の港に停泊してる船に比べて、倍以上大きいだろう。まさに、遠洋航海船って感じの迫力だ。


 ただ、マストは折れ、船体は半ばからなくなっており、残っている部分も穴だらけだった。


「よーし! 難破船探索と行くか!」

「ニュー!」

「デビー!」

「どんな敵が出るか分からんから、慎重にな?」


 妖怪の中でも、探索力に秀でたサトリを召喚する。敵の居場所を探ったりするのが得意な妖怪なのだ。


「サトリ、索敵は任せる」

「ワフ!」


 毛むくじゃらのパグって感じの見た目のサトリが、元気よく咆える。河童と幽鬼もそうだったが、敵の時はあんなに気持ち悪いのに、仲間になると妙に可愛くなるな。


「よし、いくぞ!」

「ペペーン!」

「フマー!」


 ペルカとアイネが真っ先に飛び込んでいく。ちびっ子たちは元気だねぇ。


「オレア、サクラは俺を守ってね?」

「――♪」

「トリ!」


 近接も遠距離もイケるオールラウンダーな樹精コンビがいれば、守りは万全だろう。ただ、モンスの入れ替えはもうほとんどできないので、敵が強かったら撤退も視野に入れないといけないだろう。


「さて、なんか面白いアイテムでもあったらいいんだけど」

「ワフー」


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― 新着の感想 ―
魔工と合わせて蒸気船つくって突破かな
爆弾がたくさん…wwwww
[一言] 難破船を修復するか、構造を調べて新造するかが新大陸への鍵か? ぶっちゃけ初見の新マップに面白いアイテムが無いわけがないよな
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