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751話 雪原での戦い


 死に戻り前提でスノウサッカーと戦い始めた俺たちだったが……。


「グアアアアアアアア!」

「はははは! そんな攻撃当たらないぞ! のろま!」

「いけいけいけ!」


 意外なほど有利に戦えていた。ラモラックとリチャードのジャンピングバードたちが雪原を跳ねまわりながら、スノウサッカーのヘイトを取る。


 そして、俺たちがその隙に攻撃を加えていくのだ。


「ハイヨー! 突撃だ!」

「ハナズオウ! いきますよ!」

「「ヒヒーン!」」


 接近すれば相手もこちらに気が付くが、鈍重なスノウサッカーの攻撃ではジークフリードたちは捉えられない。


 長い腕を振り回す攻撃は威力はあっても、あまり速くないのだ。しかも、長すぎるせいで近距離では取り回しが悪かった。


 それでは、ジークフリードたちには当たらない。


 また、遠距離攻撃に徹する俺に対しても、スノウサッカーは反撃を放ってきていた。


 口から雪玉を吐き出したり、腕を使って雪をはね飛ばす攻撃が主だ。ただ、これらの攻撃は非常に回避がしやすかった。


 範囲攻撃ではあっても、モーションが分かりやすいのだ。


 キャロの足なら、問題なく逃げることができる。


 そう、ブラッドオーガ戦では足枷にすらなっていた騎獣たちの機動力が、この雪原では凄まじい力を発揮していた。


 スノウサッカーはその巨体と防御力を生かし、強烈な攻撃を叩き込むタイプのボスだ。接近してきた者たちを腕で薙ぎ払い、距離を取る相手も雪で攻撃していく。


 しかも、ここは雪原だ。徒歩のプレイヤーでは足を取られてしまい、機動力が激減する。そのため、鈍重なスノウサッカーの攻撃を避けることが難しいのだろう。


 それが、俺たちはかなり珍しい全員が騎乗している超高機動力パーティ。


 その構成が、スノウサッカー戦では圧倒的優位を俺達に与えてくれていた。


 ボス戦が始まってから、全員が3回以上の被弾をしていない。最初は少し戸惑ったが、相手の戦い方が分かってしまえば回避は容易だった。


 因みに2回攻撃を食らったのは俺だけだ。いや、飛び散る雪が結構ね?


 相手が硬いために戦闘時間は長引いてはいるが、安定して戦えている。


 そして15分後。


 ようやくスノウサッカーのHPが半分まで減った。ブラッドオーガと同じパターンだとすると――。


「ウガアアアアア!」

「やっぱり、変化があるか!」

「ヒヒン!」

「フー!」


 スノウサッカーが咆哮とともに動きを止めると、その姿がメキメキと音を立てて変形していく。


 巨大な棒のような突起が2本、背中から生えてきた。先端に穴が空いた、電柱くらいの太さの突起だ。


 しかも、腕の数が増えた! 突起の横から、今までの物と同じような長く細い腕がズボッと生えたのだ。


 さらに、牙の並んだ大きな口がギュッと窄まり、おちょぼ口になったではないか。これで強くなったの?


「オオオオオオォォッ!」

「うわっ! やば!」


 なんか飛んできたんだけど!


「ヒヒン!」

「た、助かったぞキャロ!」


 背中の突起から雪を吸い込んでいたかと思ったら、その口から雪の弾丸を吐き出した。今までとは比べ物にならない速度の雪弾が、俺を襲ったのだ。


 キャロが回避してくれなかったら、ヤバかったかもしれない。


 広範囲にばら撒くんじゃなくて、点の狙撃に切り替えたってことなんだろう。新たに増えた腕も、握り込んだ雪玉を投擲するために使うものだったらしい。


 口からの狙撃弾に加え、投擲された硬い雪玉が次々と降り注いでくる。


 急に3D弾幕ゲーになったな!


 だが、狙撃には雪の吸い込みが必要だし、投擲も雪を掬い上げて握り込む動作が必要だ。


 この前兆さえ分かってしまえば、回避は難しくなかった。一応偏差射撃っぽいことをしているんだが、精度は高くない。


 ふははは! 俺にはそんな攻撃、当たらんよ!


「ヒン?」

「うん。なんでもない。回避ありがとな、キャロ」

「ヒヒーン!」


 はい。全部キャロさんのお陰ですわ。ステータスが減っていても、全然問題ないらしい。頼もし過ぎる!


 それに、近接での戦闘力にもあまり違いはない。俺たちがスノウサッカーの注意を惹いている間に、騎士組が奴のHPをガンガン削ってくれていた。


 むしろ、俺以外のプレイヤーにとっては、第二形態の方が戦いやすいんじゃないか?


 誰も1回も被弾することなくスノウサッカーのHPだけが減っていき、遂には残りが2割を切った。


 さて、ここでも変化があるはずだが、どうなるかな? ここまでは楽勝ムードだが、これで終わるはずがないだろう。


「ガガガガガガガガァ!」


 腕がさらに生えやがった! しかも、体が少し縮んで、腕がメッチャパンプアップしたんだけど!


 枯れ枝のようだった腕が、超マッチョな腕に変身していた。


 6本に増えた腕を操り、騎士たちに拳の連撃を振り下ろす。近接メインに切り替えたってことか?


 だが、その速度自体はさほど変わってはいない。一撃の威力は相当なものなんだろうが、当たらねばどうということはないを実践する騎士たちにはかすりもしないのだ。


 しかも俺への弾幕が狙撃だけになったので、めっちゃ援護しやすかった。


 あれ? 第三形態が一番戦いやすい……?


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― 新着の感想 ―
[良い点] これは見事な相性ゲー とはいえ、本来だと雪に足をとられて地獄の段幕ゲーなんだろうなこれ
[良い点] なるほどー、騎獣かそうじゃないか向けに、それぞれなってるんだね!
[一言] 強力な攻撃の溜め段階として吸気口があるボスには爆弾とかの投げ物をぶち込んであげるのがマナーなんですが無いまま終わりそうですね のんびりイベントがキー(通行証)になって始まったある意味チェー…
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