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750話 困りごと?

 新しく発見した北の獣人村。


 名前の通り獣人しかいないんだが、普通の獣人の村ではなかった。


 ロバやコヨーテ、アライグマといった、妙にニッチな種族ばかりなのだ。多分、初期種族では選べない特殊な獣人たちの村なんだろう。


 獣神の石像が置いてあったが、前に見たものとはやや姿が違うかな? いろいろな動物のパーツが混ざった姿なのだが、その混ざっている動物の種類が違うようだった。


 それに、こちらの方が少し柔らかい印象で、やや女性的なのだ。まあ、実際、こちらは女神様だったんですが。



獣女神の試練

内容:レア度7以上のモンスター素材を3つ捧げよ

報酬:獣の因子。もしくは、ボーナスポイント5点。

期限:なし



 獣神と獣女神は夫婦なのか、違う面を持った同一神なのかは分からんけど、試練の内容もほぼ同じだ。捧げる素材のレア度が、6から7に変わっただけだし。


 獣女神様の試練をクリアすれば、この村にいるような稀少種族に転生できるってことらしい。強いかどうかは分からないけどね。


 その後も村を回っていると、あっさりとイベントが進行していた。


 獣人村の中央にある広場で、明らかに重要NPCですよって感じの老人が困り顔で立っていたのだ。


 少し近づいてみると「あー、困ったー」と呟いている。もう、この人に話し掛けなかったら誰に話し掛けるんだって感じだ。


 なぜか皆が俺を見る。


「え? 俺?」

「ここはユート君だろう」

「くふふ。白銀さんのお陰で入れましたからねぇ。通行許可証をゲットした方がイベントを進める方が、フラグも立ちやすいでしょうし」

「あー、それはそうか」


 レーに正論言われるとなんかモヤっとするな! でも、間違ってないね!


 ということでさらに老人に近づくと、向こうから話しかけてきた。


「お主ら、先ほど村にきたという旅人さんたちじゃな?」

「は、はい。そうです」

「儂はラッカー。この村の長をやっておる」


 なんと、村長さんだった。アライグマの獣人で、フサフサシマシマの尻尾と、目の周りの黒い模様が特徴的だ。


「実はのう。この村ではこの先の雪原で狩りをして食料を得ているんじゃが――」


 村長さん曰く、雪原に化け物が住み着いてしまい、狩りができなくなって困っているそうだ。このままでは備蓄食料も尽きてしまうし、早く怪物をどうにかしたいという。


 そう言いながらこっちをチラチラ見てくる村長さん。確実に俺たちに倒して来いって意味だよね?


「どうする?」

「勝ち目はないでしょうが、情報は欲しいですね」

「死に戻り前提で情報を集めるのがいいですかねぇ」


 やっぱそうなるよね。


 村長の言う化け物ってやつは、ブラッドオーガと同格のボスだろう。万全の状態でも負けたのに、デスペナで皆のステータスが減っている状態で勝てるはずがなかった。


 まあ、死に戻り覚悟で戦って、ボスの情報を少しでもゲットするのが定石だろう。


 デスペナルティの時間がまた伸びてしまうが、今回はとりあえず挑んでみることにした。村長の依頼を断ったら、好感度が下がるかもしれんしね。


 情報はないかと思って村中で話を聞いたが、あまり有益な情報は得られない。名前がスノウサッカーということと、遠距離攻撃をしてくるという情報だけである。


 自分たちで身をもって味わえという、運営からのメッセージなのだろう。


「仕方ない。とりあえず挑むしかないみたいです」

「だなー」

「時間稼ぎながら情報集めだぜ」

「くふふ! どんなボスなのでしょうかねぇ! さぁさぁ! 逝きましょうか!」


 騎士たちは相変わらず頼もしい。


 今回は攻撃よりも回避重視で、敵の攻撃パターンをできるだけ丸裸にすることが目的だからな。フィールドのサイズにもよるが、騎士たちにとっては得意分野なんだろう。


 村を抜けて先へと進むと、村長が言っていた通りの広い雪原へと出る。


 その中央に、確かに巨大なナニかがいた。体高は10メートル近いだろうか? 多分、雪ダルマモチーフのボスなんだろうが、俺には巨大な鏡餅にも見えた。


 下半身はスライムや芋虫のように這いずって動くためなのか、足が見えない。上半身は人型なんだが、一番似ているのはゴブリンかな?


 ただ、腕が非常に細く長く、肩から肘までだけで地面に付いてしまいそうなほどだ。シルエットで言うと、鏡餅に針金を二本差したような感じである。


 しかも、全身は白くてブニブニとした肌で覆われているため、より餅感があった。


「ボスフィールド発生したよ!」

「ほほう? かなり広いですねぇ!」


 レーが言う通り、今回のボスフィールドはメチャクチャ広い。雪原全域が覆われているのだ。


 ブラッドオーガと戦った岩山と比べて、20倍くらいはあるんじゃないか?


「よっしゃ! これだけ広ければ戦いやすいぞ!」

「ラッキー!」


 確かに、ここなら騎士たちは戦いやすいか。瞬殺されずには済みそうだった。


「リリス、攻撃は任せるけどほどほどにな?」

「デビ!」

「キャロ、ステータス減ってるから無理せずいこう」

「ヒヒン!」


 因みに、俺が今連れているモンスは、ペルカ、ルフレ、リリス、キャロだ。ペルカは雪原対応しているし、ルフレは俺とタンデム。リリスは空を飛べるので雪原でも問題ないのだ。


 1枠空いているが、ここは妖怪を召喚するつもりだ。まずは――。


「妖怪召喚、フウキ!」

「フフー!」


 喚び出したのは、先日仲間にしたばかりのフウキである。


 不定形なガスっぽい体を持った鬼だが、浮遊能力があるので雪原でも移動に問題なさそうなのだ。まだ本格的に戦闘に投入したことはないが、風系の能力を持っているので楽しみである。


「それじゃ、いくぞ!」

「フムー!」

「ペペーン!」

「フー!」


虫歯治療中に見つかった親知らずをようやっと抜歯したんですが……。

結構腫れてしまって、ちょっと執筆が遅れてしまってます。

次回更新は4/18の予定とさせてください。

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― 新着の感想 ―
明記されてるわけじゃないが所持金3億越えてなかったっけ……?デスペナで2割減ってさらに2割減るの痛すぎないか?1億ちょい持っていかれるが
[一言] 親知らずは大体一方が変な生え方してたらもう片方も変な生え方してるから覚悟が必要ですね。両下側の親不知を電ノコでバラバラにして無理矢理解体して肉から引っこ抜いて一月ごとに顔の片側パンパンに腫ら…
[一言] ボスフィールドが広い……? 十中八九レイド戦ですよ白銀さんw
感想一覧
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