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748話 ブラッドオーガ無双


 ブラッドオーガとの戦いは大詰めを迎えていた。やつのHPは残り2割ほどだ。


「このまま、削り切ろう! ハイヨー、踏ん張ってくれよ!」

「ヒヒーン!」

「ハナズオウ! チャージアタックです!」

「ヒヒン」


 騎士たちも、被弾覚悟で強い攻撃を放ち始める。俺もやってやる!


「メルム! 風魂覚醒だ!」

「ニュニュー!」


 メルムの体が倍近くに膨れ上がり、その全身から緑色のオーラが立ち上る。


 ファウが地魂覚醒を使う場合、少し大人の女性に変身するが、メルムの場合はそのサイズが大きくなるだけだった。


 まあ、スライムっぽい姿だし、大きくなる変形以外は思いつかんけど。


 メルムの前に風の渦が生み出されたかと思うと、そこから竜巻のような風の攻撃が2発放たれる。


「ニュニュー!」

「ガアアアアア!」


 地魂覚醒の巨大岩石弾と違って、こちらの竜巻攻撃に吹き飛ばし効果はない。ただ、左右を通り抜ける竜巻によって拘束され、一定時間身動きが取れなくなる効果があった。


 あれだ、獣〇激烈掌みたいな感じだ。


 メルムの攻撃によって、ブラッドオーガのHPが大きく削れる。その直後、その巨体を漆黒のオーラが覆っていた。


「ウガガアアァァァァァァァ!」

「は?」


 ブラッドオーガの叫びとともに、全方位に向かって黒く不気味なオーラが津波のように押し寄せる。


 超広範囲攻撃か! まずい、俺じゃ回避できん!


 魔術の発動も間に合わないし、頼もしい前衛も今はいない。俺にできるのは、腕で顔をかばうことくらいだった。


 ドンという衝撃と共に、自身の体が大きく吹き飛ばされたのが分かる。足が地面から離れる感覚とともに、フワッとした浮遊感が全身を包み込む。


 その直後、俺は背中から床に叩きつけられていた。


 ダメージは大したことがないな。怖れていた即死級のダメージはなく、俺ですら1割程度削られるだけで済んでいた。


 考えてみたら、部屋を覆うほどの範囲攻撃だ。あれで即死級だったら、バランスがぶっ壊れてしまって――。


「ガアアアアアア!」

「え?」

「ウガアァ!」


 い、いつの間に? 目の前に、両手の曲剣を振り上げる真っ赤なオーガさんがいるんですが?


 そりゃあ、目を離しちゃったのは悪いけど、精々5秒くらいだよ? 広範囲吹き飛ばし攻撃を放った直後に、もう俺を狙って走り出していたのか?


 そんなことを考えている俺に向かって、巨大な剣が振り下ろされる。身を捩って回避しようとするが、俺なんぞにはどうにもできなかった。


 視界の端で、メルムやキャロが飛び込んでくるのが見える。


 身を挺して、俺の盾になろうとしてくれているらしい。


 だが、間に合わなかった。


 二連撃を叩き込まれ、視界が真っ黒に染まる。


 直後、俺は西の妖精村に戻っていた。


「あー! やっちまったぁぁぁ!」


 思わず両膝両肘を地面について、叫んでしまう。


 テイマー本人が真っ先に死に戻るとか、一番やっちゃいけない奴じゃんか! これで負けたら、完全に戦犯! 最悪だぁ!


 すぐにジークフリードたち全員に謝罪メール送りたいところだが、まだ戦ってる最中だ。邪魔になる。


 こういう場合は、復活ポイントで仲間の連絡を待つのが常識だった。


 モンスたちもホームに戻ってしまっていないので、正直手持ち無沙汰だ。だが、ここは自省の意味も込めてジッと待とう。


 そのまま待つこと数分。


「うんがぁぁ!」

「リ、リチャード」

「いやー、俺も死に戻っちまいましたよ白銀さん!」


 リチャードが死に戻ってきていた。彼に話を聞くと、ブラッドオーガの行動パターンが急激に変化したらしい。


 黒いオーラを溜めるために数秒間足を止める→吹き飛ばし範囲攻撃を放つ→ランダムと思われる1人に直接攻撃→またオーラ溜め。


 そんな行動を繰り返すようになったという。


 メチャクチャ厄介な行動パターンだな。特に吹き飛ばし攻撃は防ぐのが難しいし、そこから直接攻撃を食らえば確殺だろう。


 重装備のリチャードが即死してるわけだし。


 その後、ラモラック、ジークフリード、レーと順番に死に戻り、俺たちの敗北が決定したのであった。


「すまん! 俺が真っ先に落ちちまったから!」

「いや、今回は仕方ないよ。オーラ飛ばしからの接近攻撃の対象はランダムみたいだったからね」

「そうですよ。それに、死んで元々でしたからねぇ。くふふ。いい殺し合いでした!」


 全員を範囲攻撃で吹き飛ばした後は、プレイヤーだけではなく騎獣たちが狙われたパターンもあったらしい。


 ヘイトなど関係なく、本当にランダムなんだろう。だとすると、あそこで俺が狙われたのは本当に運が悪かっただけ?


 いや、あの攻撃をどうにか防げていれば戦線が維持できた可能性もある。やはり、俺の責任が一番重いだろう。


「色々と情報も集まったし、次はきっと勝てるさ」

「ぬふふ。そうですね! 次こそは奴の尻の穴に私の極太ランスをぶち込んでやりますよ!」

「……やっぱいかがわしい!」

「騎士のイメージがぁ!」


コミカライズ最新話が公開されています。

ルフレ大活躍! ぜひそちらもよろしくお願いいたします。


レビューをいただきました。

バランスを褒めて頂けるのは嬉しいですねぇ。

しかも何周もしてくださっているということで、ありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 うーん、機動力と騎士クエスト関係でキャロは外せないしダブルバッファーのファウとアイネも外せない。特にファウは地魂覚醒も残ってるしw 風魂覚醒を使ったとはいえ、闇吸収がで…
[気になる点] 初見のボス戦では弱所看破は必ず使うべきでは。 [一言] ブラッドオーガがHP残り2割切ったら、ノンビリモノの鈍重陣で速度低下させて避けやすくして、人馬流奥義・五連星で爆弾×5当てたら勝…
[一言] ノーヒントでそこまでいっていたなら、初戦のボスとしては満点な成果やな。 後はヒント探しながら覚醒のインターバル終わるの待って再戦や!
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