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746話 はっちゃけ黒騎士


 ブラッドオーガ戦で、俺たちの役目は援護メインだろう。あんなのに近寄って戦えるとは思えん。


「ファウ! アイネ! みんなにバフを!」

「ヤヤ!」

「フマー!」

「リック、メルムは隙を見て攻撃!」

「キキュ!」

「ニュー!」

「キャロは回避を頼むな」

「ヒヒン!」


 あの巨大なブラッドオーガに狙われたら、絶対に死ぬ。皆を援護しつつ、ヘイトを溜めすぎないように立ち回らねば。


 まあ、俺がヘイトを取る恐れはまずないと思うけど。


 なんせ、ジークフリード、ラモラック、リチャードの3人とも、挑発系のスキルをしっかりと使えるのだ。ボスなどのヘイトを自身に集めつつ、馬の機動力で引き付けるという戦い方を得意としているらしい。


 今回は、3人で交代しながらオーガを引き付ける作戦みたいだな。まずはジークフリードがヘイトオーラや挑発を使用し、ブラッドオーガのヘイトを取っている。


 ブラッドオーガの目がジークフリードたちを追っていた。そんな赤いオーガの死角から、黒い騎士たちが忍び寄る。


「ぬふふ! 行きますよハナズオウ!」

「ヒヒーン!」


 レーはさすが暗黒騎士志望なだけあり、攻撃とデバフ専門であるらしかった。騎士組の中では最大火力を誇るらしく、皆が彼を活かす立ち回りを考えているんだろう。


「アタックシフト! 攻撃偏重! ノーガードチャージ!」

「ヒヒーン!」


 うわ、あれは酷い。


 レーが使ったアタックシフトと攻撃偏重は、ともに攻撃力上昇する代わりに防御力が下がる技だ。


 メリットである攻撃力の上昇率が凄まじい代わりに、デメリットの防御力低下も大きい技である。いわゆる、諸刃の剣というか、捨て身系のスキルだった。


 さらに、ノーガードチャージも似た能力を持つアーツである。騎乗時に使う突進系のアーツだが、高攻撃力な反面、使用中は防御が一切できないのだ。


 攻撃重視とかそう言うレベルではなく、攻撃か死かって感じの構成だった。ただ、仲間の騎士たちが何も言わないところを見るに、レーにとってはいつものことなんだろう。


 サーベラスライオンの時はもっと大人しかったと思うけど……。


「ぬふふふ! 今は私が一番のダメージディーラーですからねぇ! 少々の無理はしなければ!」


 確かに、今回はレーがメインの攻撃担当だ。少し無理をしてでも、ダメージを稼ぐ必要があるのは確かだった。


 サーベラスライオン戦は他にもトッププレイヤーがいたから、ハッチャケなかったってことなんだろう。


「あなたの尻に強烈な一撃を叩き込むための大義名分は、十分なのですよ!」


 い、いちいちいかがわしい! そのニチャリとした笑みをやめろ! いかがわしい系暗黒騎士プレイ? もっと他のロールプレイなかったのか?


 ていうか、ロールプレイだよな? ロールプレイだと言ってくれ!


「ガアアアア!」


 ブラッドオーガがレーを発見し、曲剣をぶん投げた。何度か使っている、ブーメラン系の投擲技だ。


 当たる! 思わず叫びそうになってしまったが、レーとハナズオウの動きは俺の想像を超えていた。


「ヒヒィィン!」

「さすがハナズオウ! よい跳躍ですよぉ!」


 ハナズオウが思い切り跳び上がり、剣をすれすれのところで飛び越したのだ。防御ができないなら避ければいいってこと?


 凄まじい衝撃があったはずだが、レーは技を中断することなくしっかりと騎乗を維持していた。そういうスキルの効果もあるんだろうが、レーの技術もかなり凄いんだろう。


 アーツ発動中の光は消えることなく、ハナズオウがそのままブラッドオーガに突進した。レーが手に持った騎士槍が赤いオーガの腹に突き刺さり、目に見えてダメージが入る。


 さすが攻撃バフもりもりだ! 他の騎士たちの攻撃の7、8倍くらいのダメージだろう。


「この調子でいきますよ!」

「ヒヒーン!」


 俺も遠距離で攻撃を仕掛けながら、弱点を探る。


 水属性、樹属性は等倍かな? ただ、オーガにしては珍しく、魔法防御が高いようだ。普通のオーガは、魔術なら何でも大ダメージだからね。


「ガァァ!」

「こちらだよ! 鬼君!」

「ガガァァ!」

「ヒヒーン!」


 ジークフリードたちがブラッドオーガの周囲を回りながら、挑発と攻撃を繰り返している。


 苛立った様子で振り回されるブラッドオーガの二刀は、まるで竜巻のようだ。ビュンビュンという風切り音に混じり、地面を削る甲高い音も聞こえる。


 ゲームと分かっていても、あれには近寄りたくない。なんか、見てるだけでヒュンってするのだ。


 それを、騎士たちは紙一重で躱し続けているのだからよくやるぜ。騎獣たちも怖くないのだろうか?


「キッキュー!」

「リックゥゥゥ!」


 おま! そんな剣スレスレで飛び込んで、前歯で攻撃って……! もっと離れても戦えるだろうが! 背筋凍り付いたぞ!


「キュ?」


 こっち見て首傾げる暇あったら、逃げなさいって! 後ろ! オーガが剣振り上げてるぞ!


「ガアアアア!」

「キキュー」


 リックは挑発するような表情で、剣を紙一重で躱して見せる。怖いもの知らずはうちのモンスも一緒だったぁぁ!


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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 今回の場合、前衛とアタッカーは揃っているから、ファウとアイネのダブルバッファー、隙間支援攻撃のできるリックとメルム、後衛支援指揮のユート君みたいな配置だし、ユート君さえ…
[一言] ストレートな話恐竜に比べりゃ色々足りんわなw
[一言] 忘れてました! レーが後ろを掘るのが大好き (爆笑!)な 暗黒騎士だという恐るべき事実を ・・・ ヒュンとしますな。(苦笑)
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