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710話 人神の試練

 獣神、山神の試練を発見した俺たちは、次の試練を出現させるため、南の村へとやってきていた。


 ここは、エルフが暮らす村である。獣人の村では自動で神像へと案内されるイベントが発生したが、ここではそれが起こらない。


 まあ、好感度が足りていないから仕方ないが。


「まずは好感度上げから行こうか!」

「そうだな」


 ということで、村の中で困りごとを聞きながら、こなせる依頼を探していく。すると、幾つもの依頼が舞い込んできた。


 木工や料理の依頼から、モンスター討伐まで色々だ。4時間ほどかかったが、6つの依頼を達成し、なんとか森神様から試練を与えられることに成功していた。


 試練の内容は獣神様、山神様と同じで、素材の納品である。


 因子の代わりにボーナスを5ポイント貰うと、さらなるクエストが発生した。森神の試練・続だ。内容は他と同じだから、即座にこれも達成する。結果、狙いのものが出現した。


「森神の試練の迷宮だ!」

「やったね! 私はどうせ――え?」

「どうしたアシハナ」

「私も入れる! 試練に挑戦するかどうかって質問が出たよ!」

「マジ?」


 山神の試練の時も、アシハナはやはり挑戦権がなかった。それが、今回は入れる?


 試練に挑戦するには、神や精霊の好感度が必要な可能性が高かった。つまり、ここまでの行動で、アシハナの好感度がアップした? それとも、森神の好感度が最初から高かったとか?


 だが、アシハナには心当たりがないらしい。むしろ、森の木を伐採していて、嫌われていてもおかしくないという。


 となると、神様の試練を攻略する→各神様の好感度が上昇→神様たちの合計好感度が一定以上に達する→試練解禁、みたいな流れか?


「どうする?」

「うーん。とりあえず、前の村に戻ってみない?」

「あー、なるほど」


 これまで入れなかった試練に入場可能になっていたら、森神様ピンポイントではなく、神様全体の好感度が上昇したってことになるからね。


 そこで、ドワーフの村、獣人の村へと戻ってみると、やはりアシハナも試練に挑戦可能となっていた。


 つまり、神様たちの試練の迷宮に入るには、様々な神様の好感度の合計で決まるってことなんだろう。俺は、精霊様の好感度一点突破で、アシハナは様々な神様の好感度を少しずつってことらしい。


「どうする? 試練に挑戦するか? それとも、最後の試練を解放しにいくか?」

「うーん……。まず、全部の試練解放しちゃおうよ! 協力できる今の方が楽だし」

「まあ、そうだな。じゃあ、最後の町いくか」

「うん! レッツゴーだよクママちゃん!」

「クマー!」


 最後の神像が存在する北の村でも、基本的な行動は同じだった。村人であるヒューマンたちの依頼をこなして好感度を上げ、人神の試練を達成するのだ。


「これで、4つの村の試練全部開けたね」

「ああ。それで、これからどうする?」

「私、ログアウトまであと1時間くらいだから、ガッツリ挑戦する暇がないんだよね。だから、依頼用の生産して、ログインしたら森神の試練かなぁ。木材いっぱい手に入りそうだし」

「生産、大丈夫なのか?」


 熊の獣人に転生しちまったら、かなりステータスが変わっていると思うんだが……。だが、アシハナはあっさりとしたものだ。


「器用下がったせいで品質は落ちちゃうけど、納品には問題ないから!」


 器用を補正してくれるスキルを使い、生産力の低下は最低限に抑えているらしい。


「それに、彫るのとか伐採に腕力が必要な場面もあるから。戦闘力が上がったおかげで、レベリングは今まで以上に捗るし! モーマンタイ!」

「困ってないならいいよ」


 これで全く生産ができなくなったって言うんじゃ、アシハナの顧客から俺やクママが恨まれるかもしれんしな。


「じゃ、俺はとりあえずここに挑戦してみるよ」

「うん。どんなとこだったか、後で教えてね!」

「了解」

「クママちゃん! 別れるの寂しい! でも、いくね!」

「クマー」


 ヨヨヨと大げさに泣き崩れるアシハナに、ポテポテと手を振るクママ。こいつ、意外とあっさりしてるね。


 まあ、アシハナはほぼ毎日畑に遊びに来ているから、俺が知らないところで会ってるのだろう。そのため、「また明日ー」程度の感覚なのかもしれない。


 アシハナが5回くらい振り返って手を振りながら去っていくと、急に静かになった。


「じゃ、人神の試練いくか」

「クマー」


 どんなダンジョンなのかもわからないし、とりあえず今のパーティメンバーでいこう。


 渦の中に入ると、そこは今までのダンジョンとは全く違う様相を呈していた。


 広さに差はあっても、そのほとんどが自然物であった他の迷宮に比べ、人神の試練の迷宮は廃墟の町だったのだ。


 しかも、明らかにSFというか、機械っぽさがある。建材が明らかに現代のようなコンクリートや金属で、遠目には止まった時計塔なども見えた。


 始まりの町にも時計などはあるが、それよりもさらに機械感があるのだ。折れたパイプから噴き出す蒸気からは、スチームパンクの香りがプンプンとしてくるのである。


「ゲーム変わってないか? とりあえず、慎重に進むぞ」

「クマ」

「キャロ、逃げる時は路地を利用して逃げる。頼んだぞ?」

「ヒン!」


 あらかじめキャロに騎乗し、どんな敵が現れても即座に逃走に移れるように進む。


 すると、早速敵が姿を現していた。


「……うん。ロボットっぽいか?」

「クマ?」


 現れたのは、箱を繋ぎ合わせたような姿の、アイアンゴーレムであった。頭と胴体は正方形で、腕などのパーツもカクカクしている。昭和レトロ感があるし、ファンタジーよりはSF寄りかな?


「とりあえず、倒すぞ!」

「クックマ!」

「ヒヒン!」

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― 新着の感想 ―
[一言] まーたあっさりと条件を判明させてるよこの人。アリッサさん……(合掌
[一言] ドール的なものかタ◯コマ的なものがテイム可能だったりすると、また各所に激震が走りますね。
[良い点] ロボだし、ひょっとしてアシハナの生産職としての経歴かな? だとすると一定以上の戦闘やってる人が開放しやすい場所もありそう
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