表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
697/872

692話 逆襲のアリッサ?


 お爺さんに大通りへと抜ける道を教えてもらい、なんとか30分ほどで脱出できた。またあのお店に行こうと思っても、行くことができるかどうか不安だ。


「ニュー!」

「フマー!」

「うん? どうした2人とも」


 俺が地図を見ながら唸っていると、メルムとアイネがフワフワと空へと昇っていった。そして、上空からこちらへと手を振っている。


 同じ場所をグルグルと飛び回って、何をしてるんだ?


「あ、もしかして、上から道を教えると言っているのか?」

「ニュッニュー!」

「フーママー!」


 正解だった。メルムが触手で丸を作り、アイネはサムズアップである。


 確かに、超高性能のドローンみたいな働きもできるよな。あとは、この2人がしっかりと道案内をできるかどうかだが……。


「ニュ?」

「フマ?」


 まあ、メルムはこれでしっかり者の片鱗をみせているし、大丈夫だろ。アイネは――がんばれ!


 帰り道はずっと撮影もしてきたから、メルムたちの道案内もあれば、なんとかもう1度パン屋へ行くことはできるはずだ。


 再訪問問題も解決したし、これで胸を張って情報を売れるな。まあ、あのパン屋さん自体は初見かどうか分からんが。でも、神精台のことはまだ知られていないはずだ。


 ちょっと驚かせてやろうくらいのつもりで、勢いよく早耳猫の扉を開く。


「こんにちはー!」

「ヤヤー!」

「うみゃぁぁぁぁぁぁ!」


 うえっ? アリッサさんがいきなり叫んだんだけどっ!


「も、もうきたぁっ! ま、まだ準備がっ!」


 あ、なんかごめんなさい。早くきすぎたみたいです。あと、驚かせすぎました。マジでごめんなさい!


「と、とりあえず外に出るぞ! ごめんなさーい!」

「キュー」

「ペペン」


 俺はモンスたちを促して、早耳猫の店から大慌てで外に出た。


 少しはしゃぎ過ぎたな。親しき仲にも礼儀あり。ちゃんとマナーを守らなきゃダメだ。後でしっかり謝ろう。


 そのまま入り口の前で、モンスたちと遊びながら時間を潰す。


「ニュニュー」

「うーん? なんだ?」

「フマー?」

「フムー?」


 今やっているのは、メルムが形を変えてそれが何なのか当てるゲームだ。


「分かった! 魚!」

「ニュ」

「違うかー」

「フマ!」

「ニュッニュー!」


 アイネが当てたらしい。メルムが元の形に戻って、祝福するようにプルプルと震えた。このゲーム楽しいんだけど、問題はモンスたちが当てた場合だよね。俺には正解がなんだったのか、分からないのだ。


 まあ、みんなが楽しそうだからいいけどさ。


「ニュー」

「フムー?」

「クマー?」

「今度はなんだ? 黒蜜が掛かったわらび餅にしか見えんぞ」


 そうして遊んでいると、早耳猫の扉がバーンと開いた。全員でビクッとなってしまったぜ。


 中からは誰も出てこない。入ってこいってことなの?


 無言のいざないに導かれ、俺たちは店の中へと再び足を踏み入れた。


「ふっふっふ。よくきたわね! 歓迎するわ!」


 相変わらずのガイナ立ちで、出迎えてくれるアリッサさん。店内は薄暗く、なんかスモークみたいなものが焚かれている。


 演出スゲーな。だが、感心してばかりもいられない。


「あのー、さっきはすみませんでした」

「……謝罪は不要よ。というか、そこでユート君に素で謝られたら、こっちも素に戻っちゃうじゃない!」

「ごめんなさい」

「だから謝らないでっ!」


 謝罪しない方がよかったらしい。


「ごほん……。ふっふっふっふ! よくきたわね!」


 や、やり直したー! こ、これは俺も乗らなきゃダメなの?


「き、きたぜ! とっておきの情報とやらを、よこしな!」

「いい度胸ね! いいわ! 聞かせてあげる!」


 アリッサさんノリノリですね。


「こ、こいやぁ!」

「始まりの町で、新しくダンジョンが発見されたわ!」


 え? ダンジョン? しかも、始まりの町に?


「マジっすか? 超すごい情報じゃないっすか!」

「大マジよ。出現した場所は、水臨大樹を登った洞の中。そこに入り口が現れたのよ」

「前は、そんなのなかったですよね?」

「そうなのよねぇ」


 ダンジョンの入り口が出現した場所は、根元から幹を少し登った所にあるらしい。


 幹が張り出して足場のようになっている場所を30メートルほど登ると、10人ほどが入れそうな洞がある。


 そこにある光の渦のようなものに触れると、条件を満たしている場合はダンジョンへと入れるのだそうだ。


「条件、ですか?」

「それがねぇ。どうも、ユート君の畑でお祈りすることが、トリガーになってるみたいなのよねぇ」

「はい?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 水臨大樹に会うには鍵が必要だった気が。 ああでも、ギルドからのルートもあったっけ? 作中ではそのルートの描写は無かった気もするけど。 とりま、鍵入手も早耳猫掲示板にあるだろうし、結構なプレイ…
[一言] ユート君の畑でお祈りすることが、トリガーになってるみたいなのよねぇ なんというか、よく検証できましたね もう皆、当たり前にお祈りしてて、逆にしてない人を探すのが大変なイメージです は?嘘?…
[一言] 1巻の水臨大樹の祠に関しては、Web版、書籍版の他に別出版社から出た旧書籍版ってのもあるので、どこかしら追加要素入れないと買ってもらえないというのもあったと思う。 後、書籍化したら更新が途…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ