表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
690/873

685話 サクラの霊力


『ねー、白銀さーん! 忘れてるよねー?』


 やっべ!


「そ、そそ、そんなことないぞっ!」


 アシハナのことをすっかり忘れていたぜ!


 俺は慌ててウィンドウを立ち上げると、フレンドだけは畑に入れる設定に戻す。


「どうだ? 入れたか?」

『むーりー!』

「え? なんで?」

『もう、人の波に乗って、白銀さんの畑から離れちゃったー!』


 俺がサクラの進化に気を取られている間に、アシハナはうちの畑から離れた場所に流されてしまったらしい。


「あー、そのー……頑張れ!」

『いーやー! クママちゃんに会いにきただけなのにぃぃぃ!』


 あ、コール切れた。マジ大丈夫かな? でも、俺にできることはないのだ。強く生きろ、アシハナ! それに、うちの畑に入れても、クママいないけどな! だって、クママなら俺の隣にいるから!


「クマ?」

「――?」

「なんでもないよクママ、サクラ。1人の熊戦士が、散っただけだ」

「?」

「?」


 アシハナのことはもうどうにもできんし、とりあえずサクラの能力の確認をしたいな。新しく得たスキルは、育樹強化、盾術・上級、木工強化、魅了強化、霊力である。


 この中で、確実に戦闘系スキルなのが盾術・上級、魅了強化。霊力は不明って感じだ。


「それじゃあ、サクラも戦ってみようか」

「――!」


 やる気満々のサクラだったが、その戦闘力は思った以上に上昇していた。特に成長目覚ましいのが、盾である。


 元々は樹精の小盾だったのが、進化によって霊木の盾に変わっている。この盾が、今までのバックラータイプと違って、ガッチリとしたカイトシールドになっていたのである。


 面積は3倍近くになり、頼もしさが段違いに増した。木製であることに変わりはないけど、蔦や若葉で縁が装飾され、表面も濃い緑色でかなりかっこいい。


 さらに、盾術が上級になったことでシールドタックルやシールドスローなど、新技を色々と覚えていた。攻撃力まで増したというわけだ。


 霊木の鞭も今まで以上に太く、棘を自在に生やせるようになっている。


 右手に厳つい茨の蔦のような鞭。左手には頼もしいカイトシールド。本人の表情も大人びて凛々しくなり、本当に絵になるのだ。


 魔術面での進化はないものの、戦士としては確実に1段上の存在となっただろう。


 また、魅了強化も、目に見えて成果が上がっている。明らかに相手を魅了状態にする確率が上がっており、その時間も長いのだ。


「最後に霊力を試したいが、どうだ?」

「――♪」

「おおお! なんか光ってるー!」


 サクラの全身から、青い光が放たれていた。強化系のスキルだったのか? 見守っていると、サクラがハンマーピッグに突っ込んでいくではないか!


 いくら何でも無茶だ! しかし、他の子たちと違って、サクラが無謀なことをするとは思えない。


 俺は呼び戻したくなる気持ちを抑えて、サクラを見守った。


「――!」

「フゴオオォォ!」


 盾を構えたサクラと、ハンマーピッグが正面衝突する。そして、ハンマーピッグの巨体が、弾けるようにぶっ飛んでいた。


「フゴオォォォッ?」


 5メートルほど飛び、背中から落下するハンマーピッグ。衝撃で、朦朧状態に入ったらしい。そこをサクラが鞭でビシバシと追撃を入れると、あっさりと消滅してしまっていた。


 さらに、もう1頭に向かって鞭を伸ばすと、その体に巻き付ける。


「――!」

「うぉぉぉぉ! サクラすっげー!」

「フッゴオォォォ!」


 ハンマーピッグが、哀れな悲鳴と共に宙を舞っていた。なんと、サクラが鞭を肩越しに背負うようにして、ハンマーピッグを思い切り投げ飛ばしたのだ。


 後は1頭目と同じである。鞭でシバかれて、ポリゴンとなって消えていた。


「――!」

「サクラ、超強いじゃんか! これが霊力の効果か?」

「――♪」


 どうやら霊力は、全ステータスの超強化スキルであるようだ。しかも、効果時間は結構長そうである。


 サクラを覆っている光が消えるまで、1分くらいは猶予があっただろう。


 ただ、ドリモのもつ竜血覚醒などと同じで、クールタイムが24時間必要なようだった。まあ、奥の手クラスのスキルってことなんだろう。


 サクラの強さも分かったので、町に戻る。そこで、俺は獣魔ギルドにやってきていた。


「バーバラさん。こんばんは」

「はい、こんばんは」


 受付嬢のバーバラさんに、進化したオルトたちを会わせるためだ。案の定、その視線がオルトたちに固定される。


「あら? あらあら? もしかして、進化しました?」

「はい」

「いいですねぇ! ノームグランドリーダーちゃんに、霊木の精霊ちゃんですね! 可愛いですねぇ!」

「ムム!」

「――♪」


 バーバラさんがオルトとサクラに近づくと、その頭などを撫で始めた。その手つきは中々激しいが、オルトたちは為すがままだ。


 むしろ、気持ち良さげである。やはりバーバラさんは神の手を持ってるんだな。


 そのままオルトたちを愛でること数分。バーバラさんは満足して、報酬をくれた。狙い通り、クエスト扱いになったのだ。


 それほど高額じゃないけど、バーバラさんにモンスたちを会わせるだけでギルド貢献度も稼げるし、いいクエストだよな。


 ギルド帰り、夜の大通りを歩きながらウィンドウショッピングをしていると、不意に声をかけられる。


「おー! ユートさんじゃないか! 久しぶりだな!」


 そこにいたのは、花屋のスコップであった。


6月後半は少々忙しく、次回更新は7/2の予定です。


出遅れテイマーのコミカライズ最新話が公開されております。

カルロがいいですねwww

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] そういえば次の進化はクママかな? 蜂の王の効果で通常とは違う進化したりして!
[一言]  サクラの二つ名をアマゾネスなのかバーバリアンなのかヴァルキリーなのか女王様にするか悩むところだな。
[一言] 読み返してて思った いろんな???って気になる設定が出てきて、あれ?あれ??となって、「いや、これは○○じゃなくて△△じゃないか?」とか「いやいや、ここは✕✕でしょうよ!」となるのだが、24…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ