表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
582/865

581話 久々の実験成功


 ログインしました。


「うーん。いい朝だ!」


 マスコットやモンスたちがワチャワチャと遊ぶ庭に、遠くでそよぐ稲穂。そして、俺の目の前で手を挙げている河童。


「グッゲー」

「やっぱ来たか」


 スネコスリの時もそうだったし、今回は浜風の情報も聞いていた。確実に、ホームに姿を現すだろうと思っていたのだ。


 妖怪がホームに現れる条件は、やはり好感度であるらしい。今回の場合、河童を傷つけずに友誼を結んだ結果、最初から好感度が高いようだった。


 もしかしたら、他にも友誼を結ぶ方法があり、そちらは好感度が低いのかもしれない。


 それに、俺の場合は妖怪懐柔というスキルも所持している。これは妖怪の好感度が上がりやすくなるというスキルなので、河童の好感度はかなり高いと思われた。


「なんか、雰囲気変わったな」

「グゲ?」


 戦闘時のような不気味さが消え、むしろ愛嬌がある感じになっている。一番の違いは目だろう。


 昨晩の鋭い感じとは違い、クリっとした大きな目をしているのだ。髪の毛はキューティクルツヤツヤだし、鉤爪もちょっと丸みがある。


 声もドスが効いた感じがなくなり、間抜け可愛い感じになっていた。ちょっとアニメのキャラっぽい感じだ。


「とりあえずこれをどうぞ」

「グッゲー!」


 キュウリを渡してあげると、嬉し気にシャクシャクと齧り始める。日本家屋らしい仲間は、久々かもしれん。


 因みに、河童は畑仕事ができるそうだ。キュウリ限定で。うちの場合、庭のキュウリを任せてみればいいだろう。


 オルトたちに比べて育成能力が高いか低いか分からないので、まずは少しからなのだ。


 キュウリを食べ終わった河童は、モンスたちとの遊びの輪に戻っている。今は相撲をしているようだ。


「ヒムー!」

「グゲー!」


 あれ、大丈夫か? 負けたら尻子玉取るとかないよね?


「ヒッムー?」

「グッゲゲー!」


 ほっ。大丈夫っぽい。


 河童に投げ飛ばされたヒムカは、楽しげな顔で再び挑みかかっている。あくまでも遊びの範疇ってことなんだろう。


 河童が馴染んでいることを確認した俺は、畑へと向かうことにした。


「ボス周回と見習い騎士の森で、素材は大量に集めてきたからな。今日は肥料を作りまくって、畑に撒くかね」


 今日の予定を考えていると、オルトが駆け寄ってくるのが見える。珍しく、本気のダッシュだ。


 そんなに俺に会いたかったのかと思ったら、違っていた。


「ムーム! ムムー!」

「ちょ、オルトさん!?」


 ローブをめっちゃ引っ張ってくる。この反応は、畑に何らかの異変があったということだろう。


 俺はオルトの後について、畑に向かった。


「おー! なんか、畑に変なの生えてるじゃんか!」

「ムー!」


 微炎草の中に、青っぽい花が咲いた不思議な植物が混じっていた。それを見ている内に思い出す。


「属性肥料と栄養剤を撒いた奴だな」

「ム!」


 実験が成功したらしい。俺は謎植物に近づいて、鑑定をしてみた。すると、氷結草と表示される。


「そう言えば、微炎草に水属性の肥料と栄養剤を撒いたんだよな?」


 火と水で、氷? 納得できるようなできないような?


「変化してるのは1つだけだな」


 肥料と栄養剤は1セットで畑の4分の1ほどをカバーできる。だが、氷結草になっているのは1株だけであった。


 確定で変異する訳ではなく、ごく低確率でってことなんだろう。


名称:氷結草 

レア度:4 品質:★1

効果:素材


「よし、これは株分けして育てるぞ。頼んでいいか?」

「ムー?」

「え? だめ? もしかしてここでは育たないとか?」

「ムム」

「うん? 育てるのはオーケー? ああ、品質が最低にしかならないってことか?」

「ム」


 詳しく話を聞くと、どうやら普通の畑では★1の物しか育たないらしい。しかも水属性肥料と栄養剤が必要になるようだった。


 とは言え、珍しいものであることは間違いない。とりあえず、畑の一角を使って少しずつ育ててもらうことにした。


「ふむ。ここで氷結草が生み出されたってことは、他のところでもか?」

「ム」

「マジか! 案内してくれ!」

「ムムー!」


 変異を起こしたのは、氷結草だけではなかった。あの日、実験してみた草のほとんどが、新たな作物に生まれ変わっていたのだ。


 空気草に風属性を与えたものが、呼吸草。暴風草に土属性で、砂漠草。薬草に聖属性で、浄化草に変異している。


 アリッサさんから聞いていたものもあった。なるほど、属性肥料の可能性が凄まじ過ぎるね。


「失敗したのはランタンカボチャだけか」

「ムー」


 ランタンカボチャに火属性を与えたんだが、こちらには全く変化がなかった。既に品質が最高なため、本当に変化なしである。


 野菜に使っても意味がないのか?


 とりあえず今日は肥料と栄養剤を量産するから、それを色々と撒きまくってみよう。


「畑を一つ実験用に空ける。ハーブの畑には何も植えずにいておいてくれるか?」

「ムム!」


 最近は冒険しっぱなしだったからな。たまには生産だけの日もいいだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] マスコットのカッパと妖怪のカッパとの絡みが見たかったな。マスコットの方を忘れてるとか無いよね?
[良い点] 白銀さんちのちびっ子相撲大会の映像、またランキング1位に入ってそう(*´ω`*)
[一言] >ハーブの畑には何も植えずにいておいてくれるか? おハーブ生えますのね?分かりましてよ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ