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555話 宿の朝

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「知らない天井だ……」


 定番のネタを口にしつつ、俺はベッドから身を起こした。まあ、ログアウト直前に一度見たから、知ってる天井だけどね!


 昨日はあれからさらにパーティメンバーを入れ替えながら骨董品を探し、最後は夕方に発見した厩舎付き宿屋に泊ったのだ。


「デビー!」

「ヤヤー!」

「はいはい、起きるから引っ張るなって」


 同じ部屋で寝ていたモンスたちが、俺のことを引っ張ってベッドから降ろそうとする。朝から元気だね君たち。


「とりあえず食堂いこう」

「キキュ!」


 普通の宿だったら、このまま外に出てさよならだ。ただ、ここは朝食付きの宿である。ちゃんと、朝ご飯が出てくるのだ。預けた従魔用の食事は別に出してくれるそうなので、キャロを迎えに行くのは食後になるらしい。


「おはようございます」

「あ! おはようございます! 朝食すぐお出ししますね! お好きな席へどうぞ!」


 宿のお姉さんも朝から元気だ。俺がだらけ過ぎているだけか?


 とりあえず、閑散とした食堂の席に座る。客が全然いないな。不人気なのか? 


 NPCもプレイヤーもおらず、俺たちしかいなかった。


「少し寂しいけど、静かでいいか」

「モグ」

「ヤヤー!」

「キキュー!」

「フマー!」

「デビビー!」


 俺の言葉に同意するように、静かに頷いてくれるドリモ。だが、その横ではファウたちが追いかけっこをしていた。


「こら! 食堂ではしゃぐな! マナー違反だぞ!」

「モグモ!」

「キュー」

「ヤー」

「フマー」

「デービー」


 俺がリックとファウの首根っこを掴み、ドリモがアイネとリリスを脇に抱える形で捕獲した。


 観念したのか、全員大人しくなる。この後、叱られることが分かっているのだろう。


 リックはこっちを見上げて目をウルウルさせているが、俺には通用せんぞ!


「大人しく待ってろ!」

「モグ!」

「キュー」


 反省ポーズをするリックの鼻っ面をツンツンとつつきながら、俺は反省を促した。毎回、俺とドリモに叱られてるんだから、少しは学習しなさい。元気なのはいいことだけど、元気過ぎるんだよね。


「お待たせしました。朝食セットでーす」

「おお、美味そう!」

「うちの料理長が腕によりをかけてますからね!」


 宿の朝食は、想像したよりも大分豪華だった。白いワンプレートとスープのセットなんだが、中央には大ぶりのソーセージとエッグベネディクトが鎮座し、脇を飾るのはシーザーサラダとフルーツだ。


 さらに、クロワッサンが2つ載り、焼き立てであることを示すかのようにホカホカと湯気を上げている。スープは、濃厚そうなコーンポタージュだった。


 これぞ宿の朝食って感じだよね。しかも、ちょっと高級な感じだ。


 エッグベネディクトとか、リアルでも数回しか食ったことないぞ。


「モグモ……」

「おっと、お前らのご飯も出してやらないとな。ほれ、みんな食べていいぞー」


 みんなでワイワイと朝食を食べる。リアルでは、一人寂しく冷食とインスタントばかり食べているからこそ、この少しうるさいくらいの朝食風景がより楽しく思えるのだろう。


 ゲーム内の味噌汁に感動していたコクテンのことを、笑えんな。


 楽しい朝食を済ませると、俺達は厩舎のキャロを迎えにいった。


「キャロ、厩舎はどうだった?」

「ヒヒーン!」

「おお、ご機嫌だな」

「ヒン!」


 一人で寂しくはなかったかと少し心配だったんだが、全く問題なかったらしい。木の器に盛られた野菜をモリモリ食べている。そして、俺たちに気づくと上機嫌ですり寄ってきた。


 余程待遇が良かったんだろう。毛艶がいい気がするのだ。


「それじゃあ、出発するか!」

「ヒン!」

「あ、ちょっと待ってください!」


 キャロをパーティに加えて宿を出ようとすると、厩舎担当の少女が小走りで近づいてきた。


「あの、今お時間ないですか?」

「大丈夫だけど」

「実は、折り入ってご相談があるんです」

「相談?」


 もしかしてクエストか? 宿に泊まることがトリガーだったのかもしれない。


 少女の話を聞くと、やはりクエストの始まりであった。


 少女には、馬好き仲間の老人がいるのだが、その老人が少々手助けを必要としているらしい。そこで、俺に手を貸してもらえないかということだった。


「手助けって、何をするんだ? 正直、戦闘は苦手なんだけど……」

「そこは大丈夫です。お兄さんたちなら、問題ありませんから!」


 あー、ゲーム的なアレで、適正レベルを判断されたかな? 少女のセリフから推測するに、出現する敵はかなり弱いのだろう。もしかしたら、作業やお遣いだけなのかもね。


 だったら、手を貸してもいいか? 面白そうだし。


「とりあえず、そのおじいさんに会ってみようかな」

「ありがとうございます! それじゃあ、紹介状を書きますから、お爺さんのお屋敷に行ってもらえますか?」

「え? お屋敷?」

「はい。以前騎士だった、ご隠居さんなんです。町の奥にあるお屋敷に住んでいるので、場所はすぐ分かると思いますよ」


 場所じゃなくて、お屋敷っていう部分が気になるんだけど! 元騎士って、お偉いさん? ゲーム内で礼儀作法を求められるとは思わないけど……。


「キュ?」

「ヤ?」

「フマ?」

「デビ?」


 だ、大丈夫かな?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 無意識に条件達成して街のスポット発掘 からの流れるようなイベント発生 ドリモが皆の諌め訳になってるのが何か微笑ましいです [気になる点] アリッサさん・・・生きて
[良い点] 間違いなくうみゃー案件ですね?わかります。 [一言] ジークのちょっとぶちゃいくなハイヨーがカッコいい駿馬になるようなイベントになるとイイデスネ。 ジーク的にはそんなの気にしないだろうけ…
[良い点] ドリモがお兄さんしていてかわいいです。白銀さんも保護者が板についてきていますね。ちびっ子たちが聞き分けが良くなったらそれはそれで寂しいかもですね。 [一言] 条件を整えたからなのでしょうが…
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