表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
547/866

546話 肥料の成果

 ログインしました。


 今日は早耳猫への検証協力最終日だ。ボスを周回することになるだろう。正直、どれだけの金額をつぎ込んでいるのか怖いが、爆弾がなけりゃ高速周回なんて無理だろうしな。


 それに、ボスの激レア素材の情報なら高く売れるだろうし、元が取れる自信があるのかもしれない。


「ま、その前に畑仕事だけど」

「ムッム!」


 俺は出迎えてくれたオルトたちとともに、畑へと向かう。そこで、俺は驚きの光景を目にしていた。


「ちょ、火が! 畑が燃えてるんだけど!」


 微炎草が植わっている一角に、ユラユラと揺れる赤い炎が見えたのだ。慌てて近寄るが、オルトたちに焦る様子はない。


 なんでだ? 異常事態じゃないってことか?


 火が出ているのは、微炎草が植えられている畑であった。微炎草は『炎』という字が入っていても、実際に燃えているわけではない。


 火属性を内包した、赤い草というだけだ。しかし、目の前にある草は、しっかりと燃えていた。


 形が近いのは、ちょっと大きめのカラーの花だろうか? 赤いカラーのラッパの中に、拳大の炎が灯っているイメージだ。


 近寄って鑑定して、ようやくそれが何なのか分かった。火炎草という微炎草の上位種だったのだ。


 赤都のある東の大山地に生えているらしいが、俺はまだ奥まで行っていないので未見であった。


「なんでここに? 変異した? ああ、そうだ! ここ、肥料をまいた場所か!」


 火化肥料を使用した微炎草だった。どうやらオルトの目論見通り、変異したらしい。火炎草自体は、今の俺なら簡単に手に入る。


 だが、肥料によって変化したという事実が重要だった。


「ほ、他のはどうだ?」

「ムム!」


 オルトと一緒に畑を見回っていく。すると、いくつか変異した作物を発見することができていた。


 その一つは水耕プールの水草だ。空気草が、水湧草という草に変わっていた。あとは、薬草である。なんと、中薬草という1つ上のランクの作物に変異していた。


 見た目は、白いスズランのような花の付いた薬草だ。だが、効能は間違いなく通常の薬草よりも一段上だ。


 これがあれば、中級ポーションが作れるらしい。現状では、最高レベルの回復薬である。


 噂には聞いていたけど、入手方法が不明だったのだ。これを入手したプレイヤーは、先日のオークションのランダムボックスで手に入れたらしい。


 これは、すごい情報なんじゃないか? それとも、アリッサさんたちならもう分かってるかね?


 まあ、これもあとでアリッサさんに話してみるか。


 他には、暴風草、赤テング茸にも肥料と栄養剤を使用したはずだが、変異している様子はなかった。ただ、品質が非常に高いものがあったので、これが肥料のおかげかな?


 変異しない場合は、品質が上昇するってことか。これって、変異に失敗しただけなのか、この組み合わせでは品質上昇効果しか得られないのか、微妙なところだ。


 オルトが指定して撒いたから、ただ品質が上昇するだけってことはないと思うんだよな……。


 色々と肥料を撒いて、研究していくしかないだろうな。


「あとは果樹か」

「ムム!」


 緑桃に色々と使用したのだ。すると、こちらでも変化している物があった。


 まず、魔化肥料、栄養剤を撒いた緑桃の果樹にいくつか変な実が混ざっていた。普通に桃だ。緑色の桃の中に、薄いピンク色の桃が生っていたのである。


「霊桃か。毒、麻痺、呪いの治癒効果があるっぽいな。え、これって結構すごいんじゃない?」


 食べただけで毒や呪いが治るとしたら、絶対に欲しがる人がいる。


 あと、属性肥料を撒いた各緑桃の樹にも、ちょっとだけ変わった桃が付いていた。ただ、こっちは基本緑桃だ。だが、少しだけ光を放っていた。


 鑑定してみると、緑桃・魔果実となっている。どうやら、緑桃のままで特殊な効果を得たらしい。だが、鑑定の情報では、魔力を含んだ緑桃としか書かれていない。


「うーん、これも要研究か。オルト、魔果実って、これからも生るのか?」

「ム? ムム」


 どうやら、もう生らないらしい。つまり、また肥料を撒く必要があるってことだ。実験用の魔果実を得るだけでも結構時間がかかりそうだった。


「とりあえず、味だな」


 効果は気になるけど、一番重要なのは味だ! より美味しくなっていたら、料理にぜひ使ってみたい!


「中薬草、火炎草、水湧草は株分けだな。なあ、この辺の果実は、株分けして植えたら、その果樹になるのか? それとも、緑桃にしかならない?」

「ムーム」

「うん?」


 俺が手渡した桃を、首を横に振りながら突き返してくるオルト。どうやら、霊桃、魔果実、ともに株分けできないようだ。


「まあ残念だけど、また肥料を撒けば収穫できるんだろ?」

「ム!」

「なら、また作ればいいさ。それよりも、この桃の味見だ!」

「ム!」


 さっきから甘い匂いがしていて、辛抱たまらんのである。匂いが強化されてるっぽい。


 そうして桃を切ってみたんだが、色々と面白いことが分かった。


 まず、霊桃。これは普通に美味しかった。ジューシーで甘い、高級な桃様だ。以前、社長からの差し入れで食べた1玉1000円の桃を超えるだろう。


 これはもっともっと欲しい。魔化肥料、栄養剤の量産を視野に入れるか。


 で、面白いのが魔果実の桃だ。全部、味わいが違っていたのだ。果汁が溢れてくるもの。香りが非常に強いもの。甘みが強いもの。歯ごたえがシャクシャクとしたもの。


 どうも、与えた肥料の属性で変化しているらしい。果汁が水、香りが風、甘みが火、歯ごたえが土っぽかった。


「これもたくさん欲しいぜ。やはり肥料だ。肥料が必要だ」

「ムム!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] トル○コ「これは火炎草だな。飲んでも投げつけても効果がある」
[一言] 魔化肥料を使うとかなり高確率で何れかの変異(なおかつアイテム自体の変異が起こる場合ランクアップ固定)が起こる感じか。 白変種による変異率上昇の場合、 大分類である「草」とか「実」とかは変わら…
[一言] 凄いように見えて火炎草とかなしで入手できるのもあるからなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ