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486話 土霊の試練攻略中


 街での買い物を終了し、俺たちは土霊の試練へと足を踏み入れた。


 イカルも1度は挑戦したことがあるらしく、序盤はスイスイと進むことができた。


 俺たちはつがるんやタゴサックに付いていくだけなので、楽なものだ。序盤は敵も弱いから、タゴサックたちが一瞬で蹴散らしちゃうしな。


 突入から15分。


 そこで、ようやく一行の足が止まった。


「えーっと、ここの部屋だったよな?」

「おう。そうだったはずだが」


 タゴサックとつがるんが地図を確認しながら、相談をしている。ここって確か、隠し通路がある部屋だったっけ?


 すると、タゴサックが俺たちを呼んだ。


「おーい、ユート、イカル! ちょっときてくれ!」

「はい! なんでしょう!」

「ここで何かあるのか?」

「ユートなら知ってると思うが、この部屋には隠し通路があるんだよ。で、オルトとエスクの力を借りたい」


 俺も、ここの攻略情報を軽く調べてはいる。道中でいくつかのギミックが存在し、それを全て起動しないと最後の門が開かないそうだ。


 そのギミックが、隠し通路の奥にあるってことなんだろう。幾つかの隠し通路はダミーであるらしいので、自力で探したプレイヤーたちは相当苦労しただろう。


 そうやって先陣を切って開拓を進めて下さった方々の情報を得ることで、俺たちは楽に攻略を進めることができるのだ。ありがてぇありがてぇ。


「ここは隠しボタンを探して押すだけだから、簡単だ。ただ、隠し通路のどこにボタンが隠れているか分からないんだよ」


 プレイヤーでは腰をかがめて入らなくてはいけない狭い隠し通路。その壁のどこかに、ボタンが埋まっているそうだ。通路のどこに出現するかは、毎回ランダムであるらしい。


「探すのに時間かかるから、オルトたち2人で行ってほしいんだよ。いいか?」

「ムムー!」

「ムー!」

「あ、ちょ! オルト!」

「ムムー!」


 どうやら仕事を任されてテンションが上がってしまったらしい。オルトが隠し通路に向かって突撃していってしまった。


 エスクもそれにつられたのだろう、後を追って駆け出して行ってしまう。


「気を付けろよー!」

「ムー!」


 あいつらだけで大丈夫か?


「隠し通路には敵も出現しないし、大丈夫だろう」

「ならいいけど……」

「あっちは任せて、俺たちは採取でもして待とうぜ」


 ここらのアイテムはあまり必要ではないけど、ただ待つのも暇だしな。


「鉱石がたくさんですね、つがるんさん!」

「おう、そうか?」

「はい! これでカトラリーが作れそうですよ!」


 それに、イカルは喜んでいる。彼女にとってはまだまだ貴重なのだろう。


 背の低いイカルがチョコマカと動き回りながら、ツルハシで採掘をする姿は妙に可愛らしい。オルトたちノームに通じるものがあるのだ。


 俺以外の奴らも、俺と同じようなホッコリとした表情でイカルを見守っていた。


 別に第一陣だからって先輩ぶるつもりはないけど、手助けをしてやりたくなっちゃうね。


 タゴサックたちがイカルに手を貸してやっているのも、俺と同じ気持ちだからなのかもしれない。


 そうこうしている内に、金属がぶつかり合うようなゴガゴンという重低音が響いた。


 巨大歯車同士が噛み合う音って感じ?


「どうやらオルトたちがやってくれたらしいな」

「あ、やっぱその音か」


 こんな感じで、ギミックを5つ起動せねばならないということだった。


 その次の部屋でも、壁のどこかに隠されているという隠しボタンを探し、発見することに成功する。


 壁の隠しボタンなら俺でも行けるかと思ったんだけど、全然無理だった。


 オルトが土魔術を使って発見してくれた場所を自分でも叩いてみたけど、音の違いとか全く理解できん。


 聴覚強化などのスキルがあれば違うらしいんだが、普通のプレイヤーには難しいようだ。だから、ノームのレンタルシステムなどがあるんだろう。


「さて、次は中ボス戦だな」

「いよいよですねぇ!」

「腕が鳴るな!」


 タゴサックの言葉に、チャームとつがるんが楽しげに笑った。ファーマーだが、戦闘も楽しんでいるタイプなんだろう。


 逆に、イカルの顔には緊張の色があった。戦闘が得意ではないらしい。いや、俺も同じだけどね。


「ユートは、オルトたちと一緒にイカルの護衛を頼めるか?」

「わかった。サクラたちも護衛でいいのか?」

「ああ、中ボスは俺たちだけで楽勝だからな。無理しなくていい」

「了解」

「ユ、ユートさん。よろしくお願いします!」

「頑張るよ」


 絶対任せておけと言えないところが情けないが、出来る限りのことはしよう。


「俺――じゃなくて、オルトとサクラの後ろから出ないように頼むな?」

「はい! エスクも前に出ちゃだめだよ?」

「ムー」

「マジで頼むから」


 イカルは農作業ばかりやっているらしく、彼女もエスクもまだレベルが低い。中ボスの攻撃を無防備に食らったら、それだけで死に戻る可能性もあった。


「それじゃあ、中ボス部屋に入るぞ。アカリとチャームはガンガンいけ」

「うん」

「了解です!」


 アカリが大剣。タゴサックが先端が異常に尖った巨大なシャベル。つがるんがクワ。チャームが巨大な鎌を構える。


 タゴサックたちの武器は農具のはずなんだけど、こいつらが持つと凶悪さが増す気がするのは俺だけか?


 特にチャームが肩に担ぐ鎌。完全にデスサイズだろ。どこが草刈り鎌だよ。でも名前がツリーリッパーってことは、草刈り鎌の延長なんだろうな。


「それじゃあ、いくぞ!」


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― 新着の感想 ―
[一言] 西洋の草刈りの大鎌ですかね… 今でも使われてたりしますが外観はまんまデスサイズのそれですからねぇあれ まじでコスプレみたいな外見で刃が磨かれてるのが当たり前に売られてるっていう
[気になる点] 造林鎌っぽい見た目かな?
[一言] イベント等で戦闘を経験して強くなってる筈なのに慢心しない所が白銀さんの良いところよね♡
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