467話 ニューユート邸
「ポイントで交換できるのは……。へぇ、いろいろあるなぁ」
一番上は武具だった。まあ、これらはパスだ。俺には必要ない。
「ポーションの類もいいや。素材は、食材関係ならワンチャンあるな。候補に入れておこう」
次に目に入るのが、ホーム関係のリストだ。面白そうなオブジェクトもたくさんあるが、ホーム拡張や機能追加などの項目もある。庭を広げたり、工房の強化だけではない。
「おいおい、プールがあるじゃん! いや、こっちの泉の方がいいか?」
普通のプールだけではなく、大きな泉なども存在していた。どちらも泳ぐだけではなく、水中タイプのマスコットを遊ばせることもできるようだ。ルフレの心を貰うために、ぜひこの辺は手に入れなくては。
他にも、面白いオブジェクトがたくさんある。
「植物庭園に、古代の庭? プライベートビーチもあるのか! すげーな!」
ホームを見ていたら、全部ほしくなってくる。他の項目も見よう。
「マスコットは……。ラッコいるじゃん」
あのラッコさんが、俺のものに? やべー、テンション上がる!
他には、恐竜などもマスコットとして存在していた。ラプトルやティラノまで選べる。あれって、マスコットか?
ただ、普通のマスコットと違っているのは、特殊な庭や施設がないと、手に入れることは不可能であるようだった。
「最後はテイマー専用の景品か」
いつも通り、テイマー専用装備や孵卵器。そして、卵が並んでいる。
「一番高い卵は、虹の卵? 虹?」
何が生まれるんだ? いまいち分からんな。今回のイベントで虹……? 思い浮かぶのは、アンモライトだ。あれは虹色に光っていた。
ということは、貝のモンスターが生まれる? アンモナイトとかかもしれないな。
できれば恐竜系のモンスが欲しいんだが……。となると、二番目に高ポイントの、源竜の卵が恐竜だろう。
「ああ、そうだ。チケットも確認しておこう」
ポイントで入手可能な物とリストが被っているなら、できるだけ高い物が欲しいしね。
「チケット? あ! そう言えば!」
レアドロップチケット使ってないじゃん! せっかく持ち込んだのに!
「し、使用期限が……。できるだけ早く、何かで使わんと……。ま、まあ、今は報酬に集中だ」
気を取り直してチケットで交換可能なアイテムをチェックすると、一部がポイントで交換可能なアイテムと被っていることが分かった。中でもイベント引換券は、ほぼポイント交換リストと同じものが手に入る。
まあ、高ポイントのアイテムは無理みたいだが。
「恐竜飼育セットは、森や沼が選べるのか……。ただ、ホームの拡張が必要だな。で、その場所で飼育できる恐竜を選んで、入手可能と」
例えば、古代の沼地を選ぶと、スピノ、ブラキオ、ラプトルの群れの中から、好きな恐竜を選ぶことができた。
この方法で選ぶと、マスコット枠を消費しないで済むらしい。というか、古代の沼地がマスコット枠の肩代わりって感じか?
巨大水槽引換券もほぼ同じだ。怪魚ダンクレオステウスやシーラカンス、リュウグウノツカイなんかも選ぶことができた。
しかもこの水槽。複数の生物を同時に飼うことも可能なようだった。飼育ケースの中の生物を放すことができるらしい。上限はあるみたいだが、魚数匹で終わりということはあるまい。
「置きたい物はたくさんあるが、まずはホームを拡張しないと話にならんな」
その後、俺は不動産屋さんへと向かい、ホームを今の最大限まで拡張した。稼いだお金がバンバン飛んで行くんだが、必要経費だ。
庭も家も、今までの倍以上の広さになっただろう。まあ、空間が拡張されただけなので、外から見る分には全く変わっていないが。
「さて、この大部屋は生き物部屋にするぞ! 室内庭園を購入して――」
いやー、夢中になってホームを改造しまくっちゃったね。ハウジングゲームをやってるみたいな面白さがあったのだ。
完成した新たな我が家は、こんな感じだ。
まず、一階のトランスポーターと納屋の奥に、新たな通路が出現している。追加された新たな部屋へと繋がる廊下だ。
廊下の左右に4つの部屋が並ぶ。
モンスやマスコット、妖怪たちが遊ぶことが可能な、オモチャが並ぶ遊戯室。買ってきたレトロゲームなんかもここに置いてあるから、いつでもみんなでワイワイできる。
捕らえてきた虫などが放された、室内庭園。10畳ほどのサイズなので、目当ての虫をすぐに見つけて観察することが可能だ。
また、室内なのに小さな小川が設置され、水の流れる音を聞きながらリラックスもできる。
巨大水槽を並べた水槽部屋。巨大水槽は連結が可能で、3つ分の広さを持った超巨大水槽になっている。水は淡水でも海水でもないらしく、どちらの生物も入れることができた。
ここには怪魚やシーラカンス以外にも、様々な魚が泳ぎ、水面にはラッコさんが浮かんでいる。ホオジロサメなどもマスコット枠でゲットしたんだが、他のマスコットや生物を襲うことはないらしい、よかった。
最後は暗室だ。ここは今すぐに必要なわけじゃなかったが、面白そうだったのでゲットしてみた。
ヒカリゴケや光茸、蛍光リンドウなどの光系の素材を配置可能で、栽培も可能な部屋である。イメージ画像が幻想的だったので、つい購入してしまったのだ。
「庭も広くなったな!」
庭の奥に蔦が絡まってできたアーチ状のトンネルが出現しており、そこを通り抜けると追加された庭に行くことができる。
これを通るだけでも、宮崎アニメを思い出して楽しくなってしまうのだ。アーチは途中で2股に分かれている。まずは右。
こっちには、古代の森、古代の庭、古代の湿地、古代の池、古代の岩山を連結させた、古代の島・ミニが存在している。
ミニとは言え、その広さはかなりのものだ。ここに、恐竜が全種類と、メガネウラやアンモナイトなどの古代生物が放されている。古代の島にいた生物は、全部いるんじゃなかろうか?
戦闘や採取はできないし、触れ合いも最低限だが、それで十分だ。言わば、プライベートジュラシックパークなわけだからな。
恐竜好きの夢がここにあるのである。
左が、清らかなる泉、生物の森林、プライベートビーチという3つの施設を合体させた場所だ。イベントで入手した古代じゃない生物などが放されている。
泉でもビーチでも遊ぶことが可能なので、ここでモンスたちと戯れるのもいいだろう。
これらの新施設に加え、庭の畑や、地下の生産施設もグレードアップしてある。外見は変わらずとも、今までのホームとは違う。言わば、ニューユート邸なのだ。
新しいマスコットもたくさんお迎えできた。大型恐竜やホオジロザメのような、施設に固定されたマスコット以外にも、色々だ。
まずはミニ恐竜。二頭身のデフォルメされた可愛い恐竜たちがたくさんなのだ。マスコットティラノ、マスコットブラキオ、マスコットプレシオ、マスコットトリケラ、マスコットプテラの5種である。
そして、メインと言っても過言ではないラッコさん。なんと、大人と子供がおり、両方ゲットすることができた。いやー、子供ラッコ可愛すぎてヤバくない?
あと、増やしたマスコット枠を使い、以前は手に入れ損ねた子ツキノワ熊に、今回追加された子ウシ、子ウマ、子ブタ、子ヒツジもゲットしておいた。
みんな、広くなったホームで思い思いに遊んでいる。ラッコやプレシオは水場から水場に、転移で移動ができるっぽかった。
ただ、問題が一つ。
「うーん、ポイントとチケットを、ホームとマスコットに全部つぎ込んじゃったな」
途中から楽しくなってきて、止まらなかったのである。そのせいで、もう卵や孵卵器をゲットするだけのポイントが残っていなかった。
最後、1ポイント余ったから、ビフロンスの骨粉というアイテムに交換しておいた。これ、どうやら肥料であるらしいのだ。
「ま、こんなもんでいいか。恐竜さんたちをお迎えできただけで大満足だからな!」
いやー、今回は楽しいイベントだった。




