表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/871

46話 木の日

未だ予約投稿が復活しません。運営に問い合わせても直らず……。

明日、明後日は用事があって投稿が出来ないので、その前に連日投稿させていただきます。

45話を昨日投稿しましたので、まだご覧になっていない方は先にそちらをお読みください。

 チェーンクエストを一段落させた俺は、一旦ログアウトした後、再ログインして畑で農作業をしていた。月明りがあれば真っ暗にはならないし、夜の農作業も乙なものだね。


 水まきや草むしりだが、それでも農業の熟練度は上がる。あと1つレベルを上げれば品種改良を覚えるはずだからな。空いた時間で少しでも熟練度を稼がないとね。


 そうやって農作業をしていると、何やら淡い光が目に入ってきた。


「なんだ?」


 緑桃などの木を中心に植えている畑の方角だ。俺は慎重に近寄ってみた。


「この木は、胡桃の木か」


 3日前に植えた胡桃が、既に1メートル程に成長していた。その枝に、青白い光を放つ実が生っている。


 一見、蛍のようにも思えた光の正体は、光る胡桃の実であった。無数の皺の入った実が、淡く青白い光を放っている。


 しかし、花なんか咲いてたか? いや、こんな短期間で採取できるとは思ってなかったから、全然気にしてなかった。


 普通のプレイヤーだと初収穫まで1週間は掛かるらしい。ただ、オルトは栽培促成exを持ってるし、サクラも樹魔術も持っている。この2人が居れば、倍以上の速度で育てることも可能なのかもしれない。


「これって、もしかして光胡桃か?」


 以前、聞いた話を思い出す。胡桃の木に低確率で生るって言ってたよな。ただ、夜の森はかなり危険で、入手難易度は中々高いらしい。


 それが畑で入手できちゃうとはな。大分珍しいはずなんだが……。調べてみたら、胡桃は低木の内から収穫が可能だが、最初の内は1つしか実が生らないらしい。育ってくると収穫量が増えるらしいけどな。


 その1つがいきなり光胡桃だったとか、オルトの幸運のおかげだろうか?


「何に使うんだろうな。食用か? それとも調合に使えるのかね?」


名称:光胡桃 

レア度:3 品質:★5

効果:素材。使用者の空腹を5%回復させる。


 緑桃よりもレア度が高い。これは後でちゃんと掲示板をチェックしよう。収穫を終えたらじっくりと掲示板を見たい。


「さっさと収穫を終えちゃおう」


 そう思ってたんだが、そうも言ってられない事情が出来てしまった。


「……こんな作物植えたっけ?」


 光胡桃に続いて、またまた謎の収穫物である。今夜はどうした? 本来であれば薬草が植わっているはずの場所に、見たことのない赤い草が一本生えている。


 しかも、全部の薬草がそうなっているのではなく、1つだけが赤い草に変わっていた。大きさは同じくらいだが、葉の形などは全然違う。単に色が変わっただけじゃなさそうだな。


名称:微炎草 

レア度:2 品質:★1

効果:素材


 初めて見る植物だ。一体どこから来た? 


「オルトが植えたのか?」

「ムム」


 首を横に振るオルト。違うらしい。じゃあ、どうやってここに生えてきた?


 とりあえずゲーム内掲示板を漁ってみると、微炎草は第3エリアならどこにでも生えている草らしい。数が多いせいで、外れ扱いなんだとか。


 用途としては、松明や固形燃料などを作る材料になるらしい。武器などに混ぜて火属性を狙おうとしている鍛冶師は多いらしいが、成功例はないとか。


 ただ、使い方は分かっても、なんで俺の畑に生えていたのかは分からなかった。仕方ない、こっちもあとで詳しく調べよう。


「まあ、とりあえずは増やしてみるか」


 先に行けば珍しくないとしても、俺にとっては貴重な素材である。


「オルト、増やせるか?」

「ム!」


 問題ないらしい。微炎草はオルトに任せておけばいいや。次は光胡桃をどうするかだな。


 と言う事で色々調べたが、用途がありすぎて逆に困ってしまった。食用は勿論、蛍光塗料や灯り用の道具などにもつかえるらしい。


 さらに、盗賊ギルドなどでランクアップクエストで必要になってくるんだとか。ランクアップクエストと言うのは、ギルドランクを5に上げる際に発生するイベントで、ギルドによって内容が違う。


 盗賊ギルドの場合は、一晩の内に光胡桃をソロで3つ入手が達成条件らしい。因みにこのゲームの盗賊ギルドは犯罪組織ではなく、シーフなどのゲーム的な盗賊職のことである。


 ソロって言うのが中々難しいよな。夜の森は難易度が跳ね上がるからね。因みに獣魔ギルドの場合は、Lv10以上のモンスターを3匹引き連れていくという題らしい。


「うーん、今は使わないでしまっておくか。今後も入手できるかどうか分からないしな」


 俺が光胡桃をインベントリに仕舞った直後だった。


 突然電話のようなコールが鳴り響いた。フレンドコールだな。


「アリッサさんか……はい?」

「あ、ユートくん。祭壇に連れて行ってもらう話なんだけど、いつにする?」

「え? 行くのは今日の夜ですよね?」


 以前、精霊の祭壇に関する情報を売りに行った時に交わした、次の木の日に祭壇に連れて行くと言う約束だ。そして、既に日をまたいでいるので、今日は12日の木の日である。精霊様が祭壇に降臨する日だ。ただ、人目に付かないように夜に行くっていう話だったんだけどな?


「それでもいいけど、日が昇る前でも構わないのよ? 12日で、他の人に見つからないような暗い時間であればいいんだし」


 なるほどね。暗い時間という話だったから、12日の20時以降だと勝手に思ってたぜ。言われてみれば、日が昇る前でも良いよな。


 別に急ぐ予定もないし、それもいいか。


「俺は今からでも行けます」

「そう? じゃあ、お願いできる? 少しでも早く検証したいのよ。あと、他のクランメンバーを連れて行っても構わない? 捧げ物のデータは多い方が良いし」

「構いませんよ」

「ありがとう。じゃあ、2人追加ってことで」

「はい。アリッサさんの露店に集合で良いですか?」

「ええ。構わないわ」


 と言う事で、俺はアリッサさんの露店に向かうのだった。


「リックとクママだけ付いてこい」

「キュ!」

「クマ!」


 だから敬礼とかどこで覚えてくるんだよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ