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457話 必殺技


 海賊スケルトンがパワーアップして、黒スケルトンを駆逐し始める。


 そのおかげで自由に動けるようになった南側のプレイヤーたちが一斉に攻め始める一方、北側では動きが少なかった。


「あれ? どうしたんだ?」

「どうやら、北側には海賊スケルトンがほとんどいないせいで、戦況にはあまり変化がないようです」

「あー、そういうことか」


 北側では、海賊スケルトンに攻撃を仕掛けて倒してしまっていたらしい。


 途中からは仲間になってくれるという情報が伝わって、攻撃は止めたそうだが……。南側に比べると、圧倒的に数が少ないんだろう。


「仕方ありません。俺たちだけで倒す覚悟でいきましょう」

「そうだな! よーし! いくぜみんな!」

「クマ!」

「モグモ!」

「「「うおおぉぉぉ!」」」


 うちのモンスたちに声をかけたつもりが、周りのプレイヤーたちまで反応してメッチャ驚いた!


 みんなノリいいな!


「うらぁぁぁ! 突撃だニャー!」

「いったれー!」

「プレイヤーはトップ層だけじゃないってところを見せたるでー!」


 そうして南側プレイヤーの総攻撃が始まる。


 うちも、ドリモが竜血覚醒を使用して連続攻撃をしかける。アンモライトも大盤振る舞いだ。


「みんな、最後だから本気だな」


 プレイヤーたちは温存していた攻撃を放ったり、アイテムを使いまくったりと、精いっぱいの攻撃を仕掛けている。


 そんな中で気になったのが、俺の目の前にいるアメリアと赤星だった。


 アメリアの横には、緑色の毛が美しい狼。赤星の前には、赤い毛皮の小型の虎がやる気満々の表情で立ってる。


 狼がエア・ウルフ、虎がバーン・タイガーとなっていた。


「ウルっちいくよ!」

「バウ!」

「トリアステ! やってやるんだニャ!」

「ガオ!」


 どちらも、うちのドリモと同じ、イベント報酬の卵から生まれたモンスのはずだ。しかも、ドリモの次に高ポイントだった。


 それを考えると、何か特殊なスキルがあるかもしれない。


 そう思って観察していたら、案の定面白い攻撃を繰り出した。


「ウルっち! エア・アバター! からの、超噛みつき!」

「オウーン!」


 ウルっちの体が一瞬ぶれたかと思うと、数体に分身したのである。しかも、ただの幻影ではなく、それぞれが攻撃力を持っているらしい。


 実体を持った分身を生み出す技なんだろう。


 空中を駆け巡る数体のエア・ウルフたちが、ビフロンスに連続で噛みついていた。リトル・エア・ウルフの頃よりも、さらに素早さが上がっている。


 前も思ったけど、あれが敵として出てきたら、勝てる気がせんな。


 アメリアに続いて、赤星がバーン・タイガーに攻撃の指示を出した。


「トリアステ、バーニング・ファングだニャ!」

「ガオオォォッッ!」


 頭部に赤い炎を纏ったバーン・タイガーが、ビフロンスの脛あたりに噛みつく。すると激しい炎のエフェクトとともに、爆発が起きた。こちらも派手だ。


 相手がレイドボスなので、ダメージはよく分からない。どれだけ大ダメージでも、ゲージは1ミリくらいしか動かないからね。ただ、相当強力なことは間違いないだろう。


「俺たちも負けてられないな!」

「クックマー!」

「モグモー!」

「キキュー!」


 まだアンモライトもいくつか残っているし、ガンガン攻めてやる!


 そうして勢いのままに攻めていたら、ビフロンスのHPの減少がさらに加速した。


「北側のプレイヤーたちが無理やり前に出てきたようです」


 タンク役を黒スケルトンの足止め役に残して、戦士や魔術師がビフロンスに向かってきたらしい。怒号のような歓声を上げながら、次々と攻撃を仕掛けているのが見えた。


 さすがトップ勢。攻撃がバンバン決まり、ビフロンスのHPがバンバン減っていく。しかし、ビフロンスもやられっぱなしではない。


『ぬおぉぉぉ!』

「うわー……」


 北側のプレイヤーたちに向かって、両手を思い切り振り下ろしたのだ。大勢のプレイヤーが吹き飛ばされ、死に戻るのが見えた。盾役がいないせいで、モロに攻撃を食らったのだろう。


 トップ勢の尊い犠牲もあり、ビフロンスのHPは残り1割程度のところまで減っていた。


 そんな時、北側のプレイヤーたちの最前線から白い光が立ち上った。


「うわっ! なんだあれ」


 5メートル以上はありそうな白い光の柱が、次第に輝きを強めていく。


 よく見てみると、ビフロンスの目の前に真っ白な鎧を身に着けた戦士風の男がいた。その男が頭上に掲げる両手剣から、白い光が噴き出していたのだ。


「すっげー」

「あれは、ホランド。現在最高レベルのプレイヤーですね。唯一、必殺技が使えるプレイヤーとしても有名です」

「必殺技? 奥の手の比喩で言ってるんじゃなく?」

「スキルなどとは別に、必殺技という項目があるらしいです。ホランドの場合は、シャイニングセイバーでしたかね? 威力はすさまじいかわりに、様々なデメリットがあるようですよ」

「へー、必殺技か。かっけー!」


 確かにド派手で、必殺技っぽい。すぐに放たないのは、チャージが必要なのかね?


 どんな威力なんだろうか? エフェクトもきっと派手に違いない。オラ、ワクワクしてきたぞ!


 ホランドさんは周囲を盾役に守られながら、シャイニングセイバーのチャージを続けている。


 チャージ中はヘイトを集めるらしく、ビフロンスが何度か手を振り下ろしていたが、盾役たちの鉄壁の防御によって、無傷だ。


 そうこうしている内に、シャイニングセイバーの色が青白く変わってきた。もう少しかな?


 俺が胸を躍らせながら見守っていたら、ビフロンスが再び攻撃を仕掛けた。例の黒い霧である。


「やべ!」

「キュ!」


 ホランドさんに気を取られていて、キャンセルがかなり遅れた! リック? 俺の肩の上で、一緒にシャイニングセイバーを見てたよ!


 そして、光の刃が消えてしまっていた。ホランドがその場に崩れ落ちたのだ。


「そ、即死?」

「キュ?」


 すっごい絵になりそうな光景だったのに……。


 いや、待てよ。まだ試合は終わりじゃない! 俺にはソーヤ君にもらったアレがあった!


「ホランドさんに蘇生薬を使いにいくぞ!」

「キュー!」


 蘇生薬! すっかり忘れてたよ!


「黒い巨大骸骨を、輝く巨大な刃で倒す白騎士。カッコイイに決まってる!」


 絶対に見てみたいのだ。まあ、蘇生したとしても、もう1発撃てるか分からんけど。その時はその時だ!


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よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 周りのプレイヤーのノリが良くてとても楽しいです。 >「黒い巨大骸骨を輝く巨大な刃で倒す白騎士。カッコイイに決まってる!」 まさか、こんな理由で対抗勢力()を救いに行くとは誰も思うまいw …
[気になる点] 最近1話で進む内容薄くない…? 更新されるたび喜んで読んでるけども。
[良い点] 普通のプレイヤー 「ホランドさんwwwよっしゃこの好きにLAボーナス貰ったろwww」 白銀さん 「必殺技が見たいから貴重な蘇生薬使うお」 ある意味欲望に忠実な白銀さんさすが白銀
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