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444話 最終日の朝

「みんな、おはよう」

「キキュ!」

「ヤー!」


 俺が目覚めると、枕元にいたリックとファウが俺の顔を覗き込みながら挨拶してくれる。ガリバーになった気分だ。


 昨日は、アリッサさんに情報を売りに行った後は、採掘と採取に精を出した。ああ、ちゃんと新称号も取得しに行ったよ?


 海賊旗を持って、廃村の墓場に行ったのだ。骸骨が大量に現れて胴上げをしてくれたが、メチャクチャ怖かった。


 ずっとカタカタ鳴ってた音が、しばらく耳から離れなかったのだ。


 あの海賊旗、海流のところに居る大クラゲを突破する際にも使えるらしい。ただ、そこでは囮にすることになってしまうので、使うと失われてしまうそうだ。


 俺は先にクラゲを突破しておいてラッキーだったな。


 手に入れた『海賊の恩人』という称号は、やはりイベント称号で、終了時に所持しているとイベトがもらえるという効果だった。


 恐竜関係の称号もあるし、これで最終順位に少しはブーストがかかるかもな。


「さて、今日はイベント最終日だ。どんなことになるかね?」


 部屋で朝食を取りつつ、今日の予定をモンスたちに説明していく。


「今日はショクダイオオコンニャクの確認に行くぞ」

「――♪」


 サクラが嬉し気に頷いた。やはり、樹木の精霊としてショクダイオオコンニャクが気になっているのだろう。


「最初にバザールで買い物だ。買い忘れたアイテムがないか、見て回らないとな。それが終わったら、ショクダイオオコンニャクを見に行って、次に採掘と恐竜狩りだ」


 実は、イベントプレシオをまだ倒せていないことを思い出したのだ。倒す方法は既に3人娘から教えてもらっているので、俺でもどうにかなるだろう。


 水の中にいることが厄介だが、その戦闘力は大したことがないらしいし。ボスではなく、ステゴのような、強MOB扱いなのだ。


 他には、トリケラ、プテラも倒せていないので、狙うつもりである。


「じゃあ、露店巡りにしゅっぱーつ!」

「フマー!」

「ペペン!」


 イベント開始直後にバザールの市を見て回ったけど、最終日になれば変化があるはずだ。そもそも、イベントの進み具合で、露店の商品が増えるシステムであるそうだからな。


「え? 特大ケースが普通に売ってるじゃん!」

「メガネウラだけじゃなくて、アンモナイトとかも売ってる!」

「あ! 琥珀! いやでも、高いけど……。でもこの蝶が入った琥珀、凄くいいなー」

「ビッグサイズのヘラクレスオオカブト! ほしいぃぃ!」


 発見の連続だ。というか、もっと早く来ればよかった。わざわざ各地の村に転移しなくても、バザールで全部揃ってしまうのだ。


「モグモグモグモグ」

「ポリポリポリポリ」

「お前らは小っちゃいくせに良く食うね」

「ヤ!」

「キュ!」


 俺の両肩に乗ったちびっ子コンビが、それぞれの好物を貪っている。いや、こいつらだけじゃなくて、他の子たちも買い食いしてるけどね。


 リックとファウは小さいのに、食べる量が多いのだ。絶対に自分の体積以上の量を食っている。


「ムムッ!」

「どうしたオルト。何か見つけたのか?」

「ムー!」


 オルトとサクラには、珍しい植物や、うちの畑にない種なんかを見付けたら報告するようにお願いしてある。


 何か珍しい物を発見したのかもしれない。


「ムー!」


 シュタタタと走り出したオルトを追って、慌てて俺たちも駆け出す。


「速い! 速いってオルト!」

「ムムー!」


 一目散って感じだな! いったいどんなレアアイテムを見付けたっていうんだ! 期待に胸膨らんじゃうね!


「ムッムー!」

「……オルトよ」

「ム?」

「ジュース屋じゃねーか!」

「ムー!」


 ただ単に好物の屋台を発見しただけでした!


 その後も、置いて行かれたモンスたちが拗ねるかもしれないのでパーティを入れ替えつつバザールを歩き回った。というか、買い食いツアーをし続けた。


 そのせいで、予定時間を大幅に超えてしまったのだ。楽し過ぎて、全然時間を確認してなかったね。


「次はテーブルマウンテンに移動してプテラ狩りをするんだが……」


 問題は、パーティメンバーだろう。


 プテラが最も多く生息しているのは、テーブルマウンテンの崖だ。そこで戦うためには、オルトの足場は必須だろう。


 あと、空中戦力も連れて行きたい。ファウ、アイネに、ペルカもかね? ペンギンハイウェイで一応飛べるし。


 それと、回復役のルフレと、戦力確認を兼ねて樹霊リスに進化したばかりのリックも連れて行くか。


 空中の敵に強いメンバーを揃えて古代の島の奥地に転移した俺たちだったが、プテラ狩りの前にやらなくてはならないことがある。


「っていうか、人メッチャ多!」

「ムー」


 古代の池の周辺には、多くのプレイヤーが集まっていた。皆、目的は俺たちと同じだろう。


「あ、白銀さん!」

「アメリア、また偏ったパーティを……」

「えへへへ。ちゃんと戦えるから大丈夫だよ!」


 古代の池の手前で声をかけてきたのは、フレンドの1人。テイマーのアメリアだった。生粋の可愛いもの好きで、特にウサギとノームが好きだったはずだ。


 ウサノームテイマーとか呼ばれているらしい。


 まあ、この有様を見ればそう言われるのも分かる。アメリアのパーティは、両肩に乗せたウサギ2体以外、全部ノームだったのだ。


 因みにアメリアもコマンダーテイマーに転職しており、ノームは4体いた。ノームファーマー、ノッカー、ノームファイター、ノームリーダーが揃っている。


「白銀さんも、オオコンニャク?」

「ああ、そうなんだが、咲いてるか?」

「それがまだなんだよね。でも、カウントダウンが表示されてて、あと5時間くらいだから、その時に咲くんじゃないかなぁ?」

「あー、そういう感じか」


 カウントダウンが始まっているということは、ショクダイオオコンニャクの開花で何らかのイベントが始まるということだ。


 今回は悪魔の襲撃だろう。


「だとすると、その前にやること済ませなくちゃいけないってことか」

「そうだねぇ。私はこの後、プテラ狩り。素材が軽いから、装備更新用に数を手に入れたいんだ」

「そっちもか?」

「白銀さんも?」

「ああ。俺の場合は、まだ倒してないから一応仕留めておきたいなって」

「じゃあさ、一緒にいかない? 私、昨日もプテラ狩ったから、アドバイスできるよ」

「ほう? それなら情報料払うぞ?」


 同じテイマーからのアドバイスなんて、貴重過ぎる。


「いらないよ」

「いいのか?」

「うん! オルトちゃんと一緒に冒険できるんなら、むしろ私がお金払ってもいいくらいだよ! ねー、オルトちゃん?」

「ム?」

「あーん、やっぱ可愛い!」


 まあ、アメリアがそれでいいなら、俺は構わんけどね。とりあえず、情報料代わりに刺身でも出しておくか?


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― 新着の感想 ―
[一言] お金をたさないと友達を作れない人に成り下がる白銀さん。 最早200Gでビビる男ではない。
[良い点] 白銀さん、情報=金の図式が身につきすぎてるの笑う
[一言] しかしアメリアはぶれないなぁ(笑)
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