表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
432/867

432話 ステゴの奥の手


 ドリモの必殺の一撃によってHPが半減したユニークステゴだったが、そこからがしぶとかった。


 どうやらHPが減ることで防御力が上がる仕様であるらしく、段々と与えられるダメージが減っていってしまったのだ。


 さらに厄介なのが、配下召喚能力だ。少数ではあるが、定期的にパキケファロを呼ぶのである。そのせいで俺たちの陣形はガタガタだった。


 というか、俺の真後ろにパキケファロを呼ぶのはズルくない? その頭突きで何度弾き飛ばされたことか!


 だが、相手が強くなればなるほど、ヒムカの逆襲者によるカウンターダメージも増していく。ステゴは防御力だけではなく、攻撃力もアップしたのだ。


「ボモモォ!」

「ヒムムー!」


 今も目の前で、ステゴが大きく弾かれている。よろめかせることで、連続攻撃を止めることができているのも大きい。


 ヒムカのお陰で残りHP1割ほどまで追い詰めることができていた。


「もう少しだ!」

「――!」

「ムム!」


 こちらも消耗しているが、向こうもすでに瀕死状態。あとちょっとである。まあ、だからこそ、敵も必死なわけだが。


「ボモオオオォォォ!」

「げ! なんだありゃ!」


 ユニークステゴの背中にあるプレートが、後ろから順番に赤い光を纏っていく。ゴ〇ラが熱線を吐き出すときに、背中のヒレが光るのに似ている。


 そして、その光が頭部にまで到達すると、カパッと開かれた口の中が真っ赤に光っていた。これは明らかにアレだろう。


「ビ、ビームとか反則だろっ!」


 ゾ〇ドかっつーの! 恐竜と怪獣は違うんだぞ! 恐竜だったら恐竜らしく戦えよ! 恐竜としてのプライドはないのか!


「ムッムー!」

「オ、オルト!」


 何とか回避しようと俺があたふたしていると、オルトがステゴに向かっていった。その手前で、腰を落とすようにどっしりと構える。


 その姿はまるで、怪物に向かって槍を突き出そうとする、少年騎士のようであった。


 そして、ステゴの口から極太のビームが発射され――。


「ムッムー!」

「す、すげーオルトさん!」


 オルトがビームを受け止めていた。ビームに対してクワを思い切り突き出すと、クワが盾のようにビームを弾き散らしている。


「ムムー……」

「ボモオォォ……」


 ジリジリとオルトが押し返されるが、なんとか踏ん張り続けている。そして数秒後。ステゴが先に限界を迎えていた。


 ビームが細くなっていき、ついには消えてしまう。オルトもかなりのダメージを負っているが、それ以上に相手の反動の方が大きかった。


「ボ、モォ……」


 全身から煙を上げて、動きを止めてしまったのだ。まじで中が機械とかじゃないよな?


「みんな! 総攻撃だ!」

「――!」

「モグモ!」


 俺の水魔術がステゴをよろめかせ、サクラのムチがステゴをビシビシとしばく。最後はドリモのツルハシが脳天を直撃し、そのHPを削りきったのであった。


「ボモォォ……」

「勝った……。甘く見てたぜ」


 最初のドリモの一撃がなかったら、結構ピンチだったかもしれん


「これで、恐竜飼育チケット2つ目か。まあ、恐竜をたくさん飼えるってことだし、儲けたと思っておこう」


 手に入る素材はほぼ普通の恐竜と同じだ。機械のパーツなんかはない。一応、恐竜の角というのが、新しいかな?


「目的は達したし、さっさとここを抜けよう。釣りもしなきゃならんからな」

「フム!」

「お、おい! 引っ張るなって、そんな釣りしたいのか?」

「フムム!」


 釣りと聞いて、俄然元気が出たらしい。ルフレが俺のローブをグイグイと引っ張っている。激戦の後なのに、元気だねぇ。


 その後、俺たちはルフレに引き連れられるように密林を脱出し、テーブルマウンテンの麓までやってきていた。


「たくさんのプレイヤーがいるなぁ」

「フマー! フママ!」

「ど、どうしたアイネ?」


 俺に肩車されていたアイネが、何やら遠くを指差して声をあげている。そっちを見つめてみると、見知った顔があった。


 サラリーマンプレイヤーのコクテンたちだ。どうやらレイドを組んで、ボスに挑もうとしているらしい。周りに知らない人がたくさんで、ちょっと声を掛けづらい。成功をお祈りしておこう。


「フムム!」


 ルフレも釣りが待ちきれないみたいだしな。テンション上がりまくりのルフレを宥めながら、モサのいる湖へとやってくると、そこでは多くのプレイヤーたちが釣りをしていた。


「おー、こりゃあ、凄い。いつの間にか釣りスポットになってるのか」

「フム!」

「俺たちも早速怪魚を狙うぞ」


 まあ、その前に餌の準備をしないといけないけどね。


 メガネウラの標本と、低品質の琥珀を使って餌を作っていく。モサを寄せつけない効果はあまり長くないから、ちょっと多めに作っておこう。


「みんなも釣ってみるか?」

「ムム!」

「フマ!」


 みんな――いや、ヒムカ以外はやる気満々だな。じゃ、全員分の琥珀餌を用意しておくか。


「怪魚釣り開始だ」

「――♪」

「フムムー!」


 俺たちは湖の畔に並んで腰を下ろすと、仲良く釣り糸を垂れるのであった。



前話の、島の説明を修正しました。

島が3層に分かれているという部分を5層に修正。

テーブルマウンテンの麓も共通エリアという説明を追加しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
『恐竜としてのプライドは無いのか⁉︎』 ・・・ 笑いました。
[一言] ヒムカの反逆者は逆襲者とは別? どっか見逃したかな?
[一言] 第二陣記念イベント回の書籍化が待ち望まれる! あ、当然第5巻も予約済(ドリモさん、思ったよりも大きいw でもオルトより大きいと書いてあるなぁ)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ