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431話 ユニーク恐竜を探せ


 俺は古代の森に入ると、引き寄せ香を使ってみることにした。


 もう少し奥に入るかどうか迷ったが、もしティラノのユニークでも出てしまったら、死亡確定なのだ。ステゴやトリケラのユニークなら何とかなりそうなんだけどね。


「いや、どうすっか……」


 恐竜飼育セットの詳細はまだ分からない。ホームオブジェクトだとは思うが、そこに入れる恐竜の調達方法は?


 もし倒したユニーク恐竜が入るのだとしたら?


「パキケファロよりも、ステゴかトリケラの方がレアだよな……」


 ティラノが出るのは確かに怖いが、そうそう遭遇する相手でもないだろう。だったら、ステゴやトリケラ狙いでもよくないか?


「よし……! もうちょっと奥に行くか!」

「ムム!」


 この古代の森の仕組みも、ようやく理解した。まあ、掲示板を見たからだけど。


 古代の島は、大きく分けると5層になっている。まずは、全プレイヤー共通の、砂浜~森の浅層。ここはフィールドのように、プレイヤー全員が同じ場所でプレイする。


 その奥にある、古代の森の深層。ここは、ダンジョンなどのように、パーティ毎のフィールドが用意されるらしい。前に、他のプレイヤーが少ないなーと思ったが、そもそも俺たちしかいなかったのだ。


 次に、テーブルマウンテン外周部。ここは砂浜と同じで、全プレイヤー共通だ。パーティを組んだり、ボスへ挑む準備をしろってことなんだろう。最大50名までのレイドパーティを組むことが可能であるらしい。


 そして、そこで準備を終えてから挑むのが、テーブルマウンテンのボス領域。パーティ毎に別フィールドになり、ボスが個別に用意される。


 最後がテーブルマウンテンの頂上。ここはまた、プレイヤーたちで共通であるらしい。ただ、あそこに何万人も押し寄せたら、狭いと思うんだが……。いや、ビーチみたいに、人数に合わせてサイズが拡張されるのかもな。


 そして、イベントパキケファロ以外の恐竜を求めるならば、深層に入らなくてはならないのだ。


「この辺でいいか。引き寄せ香を使うから、戦闘準備してくれ!」

「ヒム!」

「フム!」


 みんなが俺を囲むように、身構えた。どこから現れるかは分からないからね。


 引き寄せ香を焚くこと十数秒。


 嫌な予感が当たり、ティラノが――なんてことはなく、普通にイベントパキケファロのユニーク個体が現れていた。


 他の個体よりも頭が大きいので、すぐに分かったのだ。


「オルト! ユニークの相手を! サクラは取り巻きに麻痺を頼む!」

「ムム!」

「――!」

「ヒムカは取り巻きの相手で! ドリモは適宜攻撃頼むな! 竜血覚醒は温存で!」

「ヒム!」

「モグモ!」

「アイネ、ルフレは俺の横でみんなの補助!」

「フム!」

「フマー!」


 俺は回復をルフレに任せて、先に取り巻きを攻撃だ。範囲魔術で、ダメージを与えていく。


 バランスの良いパーティを組んできた甲斐があり、俺たちは危なげなく勝利を収めていた。


「よーし! 恐竜飼育セット引換券、ゲットだぜ!」

「ムッムー!」

「これで第一の目的は達成だ! 第二の目的地、モサの湖に向かうぞ!」


 幸先よくユニーク恐竜を倒し、意気揚々と古代の森を進む俺たちだったのだが、すぐにその足を止めてしまっていた。


「まじかよ……」

「モグ……」


 目の前に、明らかに普通とは色が違うイベントステゴがいる。通常のステゴはこげ茶色で、ところどころ緑色だった。


 だが、こいつは赤い。全身真っ赤で、所々オレンジ。そんなビビッドな色遣いだったのだ。


「ユニークじゃねーか……」


 お香勿体なかったー!


 いやいや、そうじゃない。


「勝てると思うか?」

「モグモ!」

「フマ!」


 やる気だねぇ。ステゴの場合、こっちから仕掛けなければ襲ってはこない。まずは陣形を整えよう。


「先制攻撃はドリモの竜血覚醒だな」

「モグ!」


 この初撃が鍵になるだろう。できれば急所にぶち込みたいところだが……。どこだろうな?


 頭? 尻尾? 腹?


「うーむ……。分からん」


 何か急所を見分けるようなスキルでもあればな。いや、待てよ。あるかもしれん。ちょうどスキルチケットもあることだし、ここで使っちゃってもいいか。


 俺はスキルチケットを起動し、一覧を確認してみた。そして、弱所看破というスキルを発見する。確率で、相手の弱点が分かるというスキルだった。


 相手とのレベル差が大きいほど、成功率は下がるようだ。スキルのレベルも1だし、正直成功率は限りなく低い。


「まあ、物は試しだ。使ってみよう。みんな、これで戦闘が始まるかもしれん。気を抜くなよ? ドリモは、相手が襲ってきたら竜血覚醒で攻撃を!」

「モグ!」

「では、弱所看破っ!」


 うん、失敗。何も見えません。ただ、朗報が1つあります。


「弱所看破は敵対行為にならない? 鑑定とかと同じ扱いなのか?」


 とりあえず、これで弱所看破を使いたい放題だ。そうして、ユニークステゴの弱点を探し続けること40回。スキルレベルが4まで上がった頃、ようやくスキルが成功していた。


「なるほど! こう見えるのか!」


 ユニークステゴの尻尾の付け根。そこに黒いマーカーのような物が浮かび上がった。同時に、弱点部分が黒く染まる。あそこが急所なのだろう。


「ドリモ! 尻尾の付け根だ! 竜血覚醒からの剛体! 追い風! 貫通撃!」

「モグモー!」

「ボオオオオォォッォオォォッ!」

「す、すげー! さすがドリモさん!」


 竜と化したドリモの一撃の威力は凄まじく、なんとユニークステゴのHPを半分近く削っていた。


 これなら勝てる!


「みんな! 一斉攻撃だ!」


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― 新着の感想 ―
[一言] これ敵対行動にならないならレイドの恐竜とかにしまくっていざというときのためにレベリングしておくのもありかもなぁ(・ω・)戦闘指揮する人は弱点とかモーションや攻撃範囲を把握しておくことはPTだ…
[一言] これで勝つる!
[一言] この手のスキルは失敗しても敵対するか、成功したら敵対するぐらいがちょうど良い気がするわ まあ、白銀さんが取り立てで低レベルだったから、虫が敵対しても人は気が付かないように強者の余裕でスルーさ…
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