414話 南の漁村へ
アリッサさんに情報を売った後、俺はホームに戻って、さっさと休むことにした。
明日は朝一番で古代の島に戻って、採取&採掘。あとは釣りに精を出すのだ。
寝る前に、今日採取した素材でポーションなどを作成し、遊んでほしいと纏わりついてくるモンスたちとちょっと遊んでやる。みんなでワチャワチャするのは楽しいのだ。
「って、いつの間にかメッチャ時間たってる!」
「ヒム?」
「はいはい、今日はもう終わりな~」
「――」
モンスたちが「ええー、もっと遊びたいんですけどー」的な反応を示すが、サクラが優しく宥めてくれる。うむ、さすがみんなのお姉さん。
「おやすみー」
「ララ~♪」
ファウの子守唄を聞きながら、俺はベッドに入るのだった。
翌日。
俺は朝食を食べてからすぐに出立していた。今日は、戦闘力よりも、採取重視のメンバーになっている。
「今日も楽しんでいくぞ! オルト、ドリモ、クママ、アイネ、ルフレ、ペルカ!」
オルト、ドリモは採掘要員。クママ、アイネが採取と虫取り。ルフレ、ペルカが釣り要員である。
5000イベトを支払い、ホームから古代の島へと転移する。外に出ずにいきなりこられちゃうんだから、メチャクチャ便利だよな。
「よし! まずは釣りだ! みんな、バンバン釣っていくぞ!」
「ペペン!」
「フムー!」
今日の目標はシーラカンス3匹。そして、琥珀をできるだけたくさんゲットだ。琥珀は他のプレイヤーに確実に売れるだろうからな。
そうして朝から晩まで古代の島の中心部で活動した結果、俺は十分に成果を上げることができていた。まさか、大量に準備してあった飼育ケースを使い切るとは思わなかった。
「シーラカンス7匹、アンモナイトやアノマロカリスも大量。メガネウラにヘラクレスオオカブトも特大サイズをゲットだ」
アンモライトも3つ採れたし、琥珀も★3~8までをかなり手に入れることができた。
あと、気になっていたいくつかの場所を確認しにも行ってみた。
まずはショクダイオオコンニャク。こちらは前日となんら変化はなく、開花の兆候すら見られなかった。
次にイベントブラキオさん。こっちはちゃんと復活していた。やはりリポップするらしい。まあ、俺はもう2度と戦いたくないけど。
そして、イベント4日目の朝。
俺は本島のマップを見つめながら、次に目指す場所をチェックしていた。
順番的に考えると、南の漁村だろう。
この漁村の近くには、巨大なコンブであるジャイアントケルプが密集する『海獣の森』という海域があり、そこではラッコが目撃されているそうだ。
それに、リゾート地である『遊楽の浜』や、その隣にある雑魚しか出現しない『戦士の浜』と違い、結構強いモンスターが出現する『試練の浜』という砂浜もあるという。
ここでは貝が獲れるそうだ。
しかも、この試練の浜がぐるりと囲っている湾になった入り江では、珍しい魚が釣れるという。こちらも図鑑用にぜひゲットしたい。
「というわけで、次の目的地は南の漁村だ!」
「フーム!」
「ペーン!」
海と聞いて、水中コンビが大はしゃぎしている。うむうむ。この2人にはまた頑張ってもらわないといけないからね。やる気があるのはいいことなのだ。
まあ、出発の前にアサガオを図鑑に登録できないかチェックしに行ったり、古代の島のオオコンニャクをチェックしに行ったりしたけど。
アサガオはバッチリ登録できた。やはり、花が咲いていないといけなかったらしい。
しかも古代の島では、また採掘に精を出してしまった。「もうちょっとだけ」を繰り返していたら、すでに正午を回っていたのだ。本当だったら、もう南の漁村に到着していい時間である。
「やべー! 夢中になり過ぎた! 急ぐぞ!」
「ムム!」
ただ、南の漁村への道中は意外と苦労しなかった。
大して消耗していないのに、もう南の漁村が見えてきたのだ。
もっと強敵が出るかと思ったけど、意外と弱い。しかも数も多くなかった。普段で言えば、第2エリアと第3エリアの間くらい?
古代の島で修羅場を潜った俺たちにとっては、ぬるい戦場だぜ。
「ムー!」
「ぶげ!」
ただ、油断していい場所ではなかった。
オルトのディフェンスを抜けたイベントウリ坊の突進が、俺の腹にクリティカルヒットである。
ダメージは大したことないけど、メッチャ驚いたぜ。
「ムム!」
「すまんすまん。もう油断しないから」
「ムー」
改めて気合を入れ直してたどり着いた南の漁村だったが、その規模は東の漁村とほとんど変わらなかった。というか、広さも、店の種類もほぼ同じだ。
ただ、魚屋さんの品揃えは少し増えていたけどね。キンメダイとタラが売られていたのだ。
この辺で釣れるらしい。狙ってみるのもいいだろう。貸船屋もあるし。
だが、その前にラッコだ!
村からすぐの場所にいるらしい。運が良ければ陸から発見できるという話だ。
「みんな! ラッコちゃんを探しに行くぞー!」
「クックマー!」
「フママー!」