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409話 特殊ホーム帰還

 クリスと分かれた俺は、浜辺の石柱へとやってきていた。こいつを使ってホームに戻るのだ。


 先に調べているプレイヤーたちがいれば順番を待つつもりだったんだが、好都合なことに誰もいない。


 周囲に人はいるんだけど、もう石柱の調査は終えたんだろう。


「やっぱ、石柱は個別に起動させなきゃダメか……」


 他のプレイヤーに先を越される前に、さっさと起動してしまおう。


「さて、これにタッチすれば――よし、問題ないな」


 モンスたちと一緒にウィンドウを覗き込みながら、装置に捧げる琥珀を選ぶ。帰り道でもまた少し採掘したので、★5琥珀が2つ増えているのだ。


「フマー」

「ヤヤー?」

「こら、悪戯するなって。お前らじゃ画面に触れんぞ」


 というか、触れなくて本当に良かった。


 アイネが最初につつこうとしたのは、1つだけ採掘できた★8琥珀だった。


 ★7と同じで中に入っているのは蟲なんだが、こっちは琥珀がより大きく、中には蛾が入っている。


 サイズは手の平くらいはあるだろう。人によっては気持ち悪いと感じるだろうが、俺はこういうのも嫌いではない。


 アイネのいたずらでこれが選ばれてたら、しばらく立ち直れそうもなかった。多分意地になって、もう一度★8の琥珀が採掘できるまでテーブルマウンテンの上に居座っていたかもしれない。


 ファウはファウで、アンモライトが綺麗だったのか、飛びつこうとしてステータスウィンドウを突き抜けて向こうへ飛んで行ってしまった。まあ、タッチできない奴からすれば、ただのホログラムだしな。


「琥珀★5を捧げてっと」


 よしよし、ちゃんと転移陣が起動したな。


 ホームと古代の島・奥地の2ヶ所が転移先に選べる。一方通行ではなく、ちゃんと跳べるようだ。


 ただ、ホームは無料なのに、古代の島・奥地に転移するには5000イベトもかかった。ホーム以外にはイベトが必要になるっぽい。


 あまり頻繁に使いまくることは難しいかもしれないな。


「とりあえず、一旦ホームに戻るか」

「クマー」

「モグー」


 クママとドリモが左右から俺にしがみ付く。転移する時、パーティメンバーが接触している必要はないんだが、うちはくっついて転移することが恒例になっていた。


 初めての場所で転移する時とかに、念のためにくっついていたのが楽しかったらしい。


「フマー!」

「ヤー!」

「キキュー!」


 アイネが背中におぶさり、ファウは頭の上に陣取る。右肩はアイネの顔があるので、リックは左肩だ。


「ペ、ペン……?」

「お前はこっちだ」

「ペーン」


 ペルカがどこに収まればいいか分からずにまごまごしてたので、俺が抱き上げてやる。短い羽毛と皮下脂肪の感触が合わさり、ずっとこのままでもいいくらい気持ちいい。


「じゃあ、ホームに転移!」

「え? ちょ、白が――」

「少しお話を――」


 あれ? なんか話しかけられた? 周囲に知り合いはいなかったよな? じゃあ、勘違いかな? いや、石柱を起動させる姿を見たら、話しかけてくる人がいるかもしれない。


「ま、いいや」


 たとえそうだったとしても、もう遅いしね。


「ただいまー」

「ムムー!」

「フムー!」

「ヒムー!」

「お前らそんな一斉にとびかかってきたら――ああああぁ?」


 イベント中、死に戻ったり送還されたモンスは、畑やホームではなく待機場所であるこの特殊ホームに戻ることになるようだ。


 寂しかったのか、単に帰還を歓迎してくれているのか、オルトとルフレとヒムカに一斉に飛びかかられた。軽く後ろに吹っ飛ばされるくらいの勢いで尻餅をついたんだけど。


「現実だったら確実に尾てい骨をやっているぞお前ら……」

「ム?」

「――」

「サンキューサクラ。大人なのはお前だけだよ」

「――♪」

「ほらほら、どいたどいた!」


 サクラに助け起こしてもらいながら、オルトたちの頭をワシャワシャと撫でてやる。お仕置き兼コミュニケーションだ。


「ムムー!」

「ヒムヒム!」

「フムムー!」


 まあ、オルトたちはキャッキャと笑っているから、完全にご褒美状態だけどね。


「にしても、部屋の大きさが結構ギリギリだな」


 ギュウギュウ詰めとまではいかないけど、それなりに狭い。


 うちは小型のモンスばかりだからこれで済んでいるけど、大型のモンスがいるプレイヤーはどうなってるんだろうな? 部屋が拡張されるのか、専用の待機場所があるのか。


 他のテイマーさんに会ったら聞いてみよう。


「さて、どうしようか……」


 この後はバザールで飼育ケースなんかを買って、西に向かうつもりだ。


 バザール西の森の中には綺麗な池があるというし、その森を抜けた先には村があるらしい。


 そこからさらに南西に向かうと海辺の町があり、その近くではラッコが目撃されているそうだ。


 しかも本島の北西側はまだ情報が少ないらしく、そっちにも行ってみたかった。シーラカンスを飼うための巨大飼育ケースがあるとすれば、そっちの方面だろうしな。


 でも、今日の夜にはアリッサさんとバザールで会う約束になっているから、あまり遠くには行けないかな?


「ま、とりあえず少し休憩してからだな」


 1時間くらいはモンスたちと触れ合おう。このホームだったら、全員と一緒にいられるのだ。


年末年始は忙しく、更新間隔が少し空きそうです。

次回は12/28。来年最初の更新は1/4の予定です。


また、年末から出遅れテイマー全巻重版記念キャンペーンがあるそうです。

出遅れテイマー×転剣のコラボ短編冊子が配布されるっぽい……?

詳細は作者もまだ分かっていないのですが、頑張って短編を書いたのでぜひよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 家が狭く感じたことと飼育ケースでふとあの忌々しいたぬきに家のローンを返済するところから始まる某アニマルフォレストなゲームを思い出しますなあ
[良い点] 全巻重版、おめでとうございます! 年末にコラボ冊子配布…?コミケ…!? 409話 ファウとアイネのいたずらにハラハラした。 間違えてレアアイテム消費したらいたずらじゃ済みませんて。 シス…
[一言] ボートはどうなったことやら。 イベトが大変な事になりそうだ。
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