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375話 海辺は色々な危険があります



 ペルカの悲鳴が聞こえた直後。


 ルフレとペルカが戻ってきた。ルフレがペルカを心配そうに見ている。


 当のペルカも、テンションダダ下がりのションボリモードだ。


「ペン……」

「フムー」


 さっきまで楽しそうな声を上げながら、波間から顔を出していたのに。だが、それも仕方ないだろう。


「だ、大丈夫かペルカ? 毒くらってるじゃないか!」

「ペン」


 ダメージはほとんど入っていないが、毒状態を示すマーカーが出ている。さっきのオルトと同じだ。


「何があった――って、それなんだ?」

「ペペン!」


 ペルカが、手に持っていた何かを地面にベチッと叩きつける。ペルカのテンションが下がっているのは、これのせいなのか?


 一見青いビニール袋のようだった。しかし、よく見ると違う。触手のような物がたくさん生えていた。


 鑑定すると、カツオノエボシとなっている。やはり毒生物だった。通称電気クラゲなどという、物騒な説明が付いている。


「注意喚起目的の、危険生物シリーズか」


 海で泳いでいる最中に、ペルカはこいつにちょっかいでも出したんだろう。


「ペンペン!」

「はいはい。こいつに怒っているのは分かったから。ただ、おかげで図鑑には登録できたから、お手柄だったぞ?」

「ペン?」

「おう。ペルカのおかげだ」

「ペン!」

「さ、こいつは海に戻してやろう。ここだと死んじゃいそうだし」

「ペン」


 褒めて頭を撫でてやったら、なんとか機嫌を直してくれたようだ。カツオノエボシを慎重に持ち上げて、海に投げ捨てている。


 それにしても、海は毒系の生物ばかりなのか? 微毒とは言え、ちょっと怖いな。


「ここで遊ぶのは止めて、一度村に戻ろう。多分、遊楽の浜っていうビーチに行けば、毒生物とかもいないだろうし」

「フムー」

「ペン」


 水コンビは残念そうだが、今回は仕方ないだろう。


 戻る前に、磯を軽く確認してみる。すると、やはり他にもいたよ。危険生物シリーズのガンガゼだ。


 一見するとウニなんだが、鑑定では危険と書かれている。その鋭い毒針は、長靴くらいは貫通するらしい。


「うわー、こんなんリアルで踏んだら、絶対痛いじゃん」


 まあ、今年は海に行く予定なんざ、一切ないけどね!


 その後、村に戻った俺たちは、店を見て回ることにした。


 すると、色々な物を発見できた。


 まずは雑貨屋。ここでは醤油などの調味料を売っている。少しお高いが、買えるのが分かって一安心だ。持ち込んだ調味料を使い切ったら、塩しか使えないところだったからね。


 漁具店では、海釣り用の餌が売られていた。これで、持ち込んだ釣り餌をバンバン使える。さすがに竿などは、手持ちの物よりもランクが落ちてしまうので、他にめぼしい物はなかったが。


「で、お次にやってきたのが海用品店なんだが……」


 海用品店では色々と興味深い商品が売っていた。


 まず目に入ったのが『アバター外装・水着』である。これをセットすると、外見が水着姿に変更されるそうだ。ただ、外見が変化するだけなので、装備品などが外れたりはしないし、能力などに一切の変化はない。


 完全に、ビーチ気分を味わうためだけの雰囲気アイテムだった。ビーチから一定以上離れるとセットから外れてしまうようなので、町中で水着姿にはなれないだろう。


「悩む値段だな……」


 プレイヤー用が男女ともに10種類あり、どれも100イベトしている。もしくはリアルマネーでも購入可能なようで、1種類1000円だ。それくらいだったら払ってもいいんだけど……。


「従魔用の水着まであるんだな」


 人間型のモンスだと、色々と種類がある。トランクスタイプやビキニタイプ、全身タイプもあった。


 獣タイプだと、全身水着しか着用できないらしい。こっちも、イベトとリアルマネー、両方が選べた。


「……どうしよう。まあ、イベトを使わなくても済むんなら、買っておいてもいいか」


 イベント終了後も、所持可能って書いてあるし。俺と、全員分の水着を購入しておいた。誰用という制限はないので、いくつか購入しておけばモンスみんなで使い回せるのだ。


「水着以外はビーチパラソルに浮き輪、ビーチボールにサーフボードか」

「兄ちゃん。遊楽の浜に行くんなら、どうだい?」

「うーん……」


 確かに心魅かれるものはある。だが、使い所がね……。イベント終了後に、使う場所がないのだ。


 しかも、それぞれが結構お高い。ビーチボールが100イベト。浮き輪が150イベト。パラソルとサーフボードが250イベトである。


 だが、いらないとも言えない。


「ムー」

「ペンー」

「フムー」


 オルトたちの目の輝きがハンパないのだ。もうね、トランペットを欲しがる少年の如く、ビーチボールの前に張り付いている。


 しかも、一番安いビーチボールなら買えてしまうし。こいつら、それを分かっているのかいないのか……。


 海辺の危険は毒生物だけではなかったということか!


「ム?」

「くっ。そんな目で見上げられたら……」

「ペン?」

「フム?」


 ちくしょー!


「ビーチボール1つください……」

「まいどありー!」


 買ってしまったよ。


 絶対にビーチに行って、元を取らんとな。皆でビーチバレーでもするか。


 まあ、村での用事を全部済ませたらだけど。


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