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369話 ペルカの能力


 ルインの店で装備を購入した後、俺は第5エリアにあるシュエラの店に向かった。


「あー! 白銀さんじゃん! 噂のペンギンさんもいるっ!」

「今日も元気だなシュエラ」

「ふふーん。元気さと可愛さとロリロリが私の売りだからね!」


 ピンクのツインテールをフリフリしながら、その場でクルリとターンを決めるロリ少女。最後は首を軽く傾げて、上目遣いでウィンクだ。


 さすがあざとい。毎回思うけど、これくらいあざといと、逆に好ましく思えるから不思議だ。


「ペン?」

「きゃー! 噂のペンギンちゃん! やばい! さすが白銀さん! 可愛い!」

「やっぱ噂になってるか?」

「当然」


 だよな。まあ、道中もたくさんのプレイヤーに見られていたし、仕方ないが。話しかけてくるようなプレイヤーもいなかったし、見られるくらいは構わないけどさ。


「で、俺の装備の更新と、ペルカの装備が何かないかと思って」

「ペルカちゃんていうんだ! よろしくね?」

「ペン!」

「や、やばい……。バイタルがっ!」

「ど、どうしたシュエラ?」

「ちょっとバイタル監視装置が鳴っただけだから大丈夫よ」

「おいおい、大丈夫なのかよ」


 バイタル監視装置っていうのは、VRゲームの外部機器の1つだ。


 VRゲームプレイ中に本体の方で何らかの不測の事態が生じ、肉体に異変が起きた場合に知らせてくれる装置である。生命の危機を感じた場合は、強制ログアウトさせる機能などもあるそうだ。


 病人や中高年がVRゲームをプレイする場合、使用が推奨されている。まあ、若い人でも使っている人はいるけどね。


 外部監視装置も兼ねており、VRダイブ中に火事が発生した場合などにも教えてくれるので、便利ということらしい。VR中は睡眠状態になるので、周囲の異変に反応できないからね。


 VRプレイ中に空き巣に入られたなんて話も聞くし、外の様子が分からないと不安だという層が一定数いるってことなんだろうな。


「ちょっと血圧が上がり過ぎただけだから、モーマンタイ」

「いや、血圧って……」

「ペルカちゃんが可愛すぎてテンション上がり過ぎただけだから気にしないで。それよりも、装備品だけど、何を装備できるの?」

「あー、部分装備とアクセサリー類だな」

「だとすると、これとかどうよ?」


 シュエラが取り出したのは、何故か赤いマフラーだった。


「リックちゃんが赤いスカーフつけてるじゃん? それとおそろでどう?」

「あー、なるほど」

「結構お高いけど、防御力もしっかりしてるし、防寒機能もあるよ。一応、アクセサリー以外だと、頭装備としても登録可能だから」

「うーん。ペルカは耐寒もちなんだが?」

「ちっちっちっ! 耐寒と防寒は違うんだから! 防寒はね、装備者の耐寒スキルの効果の半分を仲間にも付与するっていう能力なんだよ! つまり、耐寒持ちが装備してこそ意味があるって訳!」

「そんな機能が! それはいいな!」

「でしょー?」


 かなり高額だったが、防寒のレッドマフラーは購入しておいた。


 あとは、肩掛け鞄というアクセサリーだな。見た目に反する高防御力を誇り、アイテムを10個まで入れられる簡易インベントリ機能も備えた装備品だった。


「どうだペルカ?」

「ペペン!」


 赤いマフラーと肩掛け鞄を装備したペルカは、非常に可愛い。ただ、疑問が一つ。


「これで泳げるか?」

「ペン?」


 まあ、この後確認すればいいか。



 その後、俺はリック、ファウ、クママ、ルフレ、ヒムカ、ペルカを連れて、水霊の試練までやってきた。


 ここの序盤なら、今の俺たちでも戦えるからな。因みに、最奥部にいるという大ボスは、未だに発見されていない。扉が開かないそうだ。


 掲示板などでは、まだ実装されていないのではないかという話だった。


「ペルカ、ここで泳げるか?」

「ペン!」

「フム!」


 雑魚敵を全て片付けた部屋で、ペルカが水の中に飛び込む。その後を追ったのはルフレだ。


 万が一と言うこともあるし、ペルカを守ってくれるつもりなのだろう。


 俺も水中に入って、ペルカの動きを確認する。


「ペペーン!」

「フムー!」


 ペルカが泳ぐ速度は凄まじかった。水族館などでペンギンが泳ぐ姿を見たことがあるが、まさにあの速さだ。


 すぐ近くにいたと思ったら、数秒後には遥か彼方にいる。レベルが10以上高いルフレと比べても、見劣りしない。高速遊泳スキルのおかげだろう。


 ルフレは水中行動・上級を所持しているんだが、高速遊泳は泳ぐことに特化している分、上級スキルに並ぶ補正があるようだった。


「マフラーと鞄を装備していても問題ないみたいだし、水中では頼りになりそうだ」

「ペペーン!」

「フムフムー!」


 なんて頷く俺の横を、魚雷と化したペルカとルフレが通り抜けていく。ルフレ、完全に遊びモードだな。単にペルカと一緒に水中で遊びたいだけだったようだ。


「ペルカー、次は漁火をつかってくれー」

「ペーン!」


 俺の言葉に反応したペルカが、水中でくるりとトンボを切ると、その場で両ヒレを広げて楽し気に鳴く。


 すると、ペルカの眼前に火の玉が生み出されていた。水中に火の玉が漂う、不思議な光景だ。なるほど、確かに水中でも消えないらしい。


 俺は触れることができなかったが、ペルカであれば移動させることも可能だ。


 水中の光源は道具に頼ってきたが、このスキルがあればノーコストで水中探索ができそうだった。


 あとは魚を集める効果だが、こっちも確認ができた。ちょっと時間の確認を怠って、ファング・グルーパーがリポップしてしまったのだが、こいつが漁火に寄ってきたのだ。


 ヘイトを稼いでいるらしく、こちらには見向きもしない。俺たちが水中から上がろうとしても、攻撃されなかった。


 戦闘にも使えそうだとは、予想よりも優秀なスキルかも知れない。


 ああ、ファング・グルーパーは釣り上げた後、ペルカの攻撃の実験台になってもらったよ?


 普通に嘴で攻撃する時はそれ程でもないが、高速遊泳からの突進攻撃はかなりの威力があった。もう少しレベルが上がれば、水中戦で頼もしい戦力になるだろう。


「よーし、ペルカの能力も分かったし、この後はペルカのレベリングだ!」


 イベントが水の多い場所の可能性だってあるし、いざという時のためにも少しレベルを上げておきたい。


 そうして、水霊の試練を周回している最中であった。


「ラ~ララ~♪」

「え? ファウ?」

「ラ~♪」


 休憩後、ジャカジャカとリュートをかき鳴らしながら歌っていたファウが、急に輝き出したのだ。この光景、見覚えがある。


「ヤー!」

「やっぱり、従魔の心か!」


 光が治まった後、ファウが綺麗な宝石を抱えていた。従魔の心・ファウとなっている。好感度が最高に達したらしい。


 もしかしたら、好きなだけ歌わせてあげたのが良かったのかね? 探索していないときは、日がな一日、遊ぶか歌うかだったからな。


「よし、これでイベントでの手札が一つ増えたな! ありがとうなファウ!」

「ヤヤー!」


書籍版、3巻が好評発売中ですよ! 限定版もありますので、よろしくお願いいたします。

また、誤字のご報告ありがとうございます。編集さんにお伝えしますので、重版できたら直ると思います。


イベントでの拘束時間が6時間は長いという意見を多数いただきました。

作者はゲームに没頭すると10時間くらいぶっ通しは当たり前なので、まったく気にしていませんでした……。

また、VR中は睡眠状態なので6時間くらいは問題ないとも思ってましたが、考えてみると確かに長いかもしれませんね。

そこで、前話の設定を少し変更しました。拘束時間4時間で、ログアウト可能とします。

本編やストーリーには一切影響はありませんので、ご安心ください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 青いペンギンに赤いマフラーと鞄・・・プ○ニーかな?
[一言] 私も6時間くらい平気な気がするけどなぁ。まぁ、学生や社会人が一律その時間確保できるかっていう問題だと、また別の話になるかぁ。
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