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312話 サウスゲート

2話連続予約失敗。ほんとーに申し訳ありません!

「ここが第5エリアの町、サウスゲートか」


 第5エリアの町は、イーストゲート、ウェストゲート、サウスゲート、ノースゲートという名前だ。むしろ、ゲームはここからが本番で、魔境への門という意味なのではないかと言われている。


 本当のスタートラインに今頃になってようやくたどり着いた俺って……。


 第3エリアの町や精霊の街は幻想的で綺麗な、いかにもファンタジーな町だったが、第5エリアの町はまた違った姿をしている。


 言ってしまえばリアル追求型? 海外旅行のパンフなどに出てくるような、世界遺産的な中世風の街並みって言えばいいのかね?


 綺麗な西洋風ではあるが、非現実的な雰囲気はなかった。


「まずは町を散策だ!」

「フマー」

「おま、そんな動くと……!」

「フマ? フマー♪」


 俺の肩に着地してそのまま肩車されていたアイネが、楽し気に万歳する。そしてバランスを崩して後ろに倒れ込んだ。慌てて支えようとしたが、アイネは浮遊持ちであることを忘れていた。


 そのまま浮遊スキルを使ってグイーンと体を起き上がらせるアイネ。


「フーマー! フーマー!」

「ちょ、俺のバランスが……」


 どうやら楽しかったのか、倒れて起き上がってを繰り返し始める。香港映画の主人公がやっているぶら下がり腹筋みたいだな。もしくは新手の起き上がりこぼし?


 アイネが起き上がる度に長い髪がファッサファッサと揺れてメチャクチャくすぐったいうえに、後ろに引っ張られるせいで重心が崩れる。


 しかも周りの視線が明らかに集中している気がした。いや、肩車された幼女がぶら下がり腹筋をしまくる絵面は目立つだろうから仕方ないが。


「――!」

「おおー、サクラ、ルフレ助かった」

「――♪」

「フム!」


 サクラたちが俺の手を取って前に引っ張ってくれた。そのおかげで、なんとかよろけずに歩くことができている。


「さて、とりあえずどっちに行ってみるか……」

「キュ!」

「ヤー!」


 リスライダー形態のリックとファウが先導してくれる。まあ、適当に進んでいるのだろうが、目的地があるわけでもない。リックの行きたい方に行ってみよう。


「ヤヤー!」

「キュ?」

「ヤ!」

「キキュー!」


 リックとファウは、曲道に来るたびに何やら相談し合い、町を進んでいく。俺は道中の店で買い食いをしたりしながら、のんびりとリック達を追いかけた。



 30分後。


「お? あれは……。リック、ファウ、ストーップ。止まれー」

「ヤ?」

「キュ?」

「ちょっと、あそこに行ってみるから、一度戻って来い」


 俺が発見したのは、知人の姿だった。


「シュエラ、セキ、今日はここか」

「あ、白銀さんじゃーん。3日ぶりー。相変わらずカオスでプリティなパーティよねー」

「よう」


 それは、シュエラとセキの防具店だ。相変わらず派手なゴスロリに身を包んだシュエラと、地味なワイシャツスラックス姿のセキが、並んで立っている。


「ちょうどよかった! 頼まれてた装備、完成してるよ! あとでメール送ろうとしてたんだけど、手間が省けちゃった」

「ブリブリするな。白銀さんには正体バレてるんだから痛いだけだぞ」

「うるせー! あれが素なんだよ!」


 この2人の関係も謎だよね。リアルでも知り合いっぽいけど、友人って感じではない。恋人でもなさそうだし、姉弟、もしくは兄妹感もないのだ。


「ボケは放っておいて、これが頼まれてたリスちゃんの新装備!」


 実は第4エリアに挑む前、シュエラたちにリックの新装備をお願いしていたのだ。それが完成したらしい。


「テレレッテッテテ~! 迅雷のスカーフ~!」


 ドラちゃんの真似をしていると思われるシュエラに、セキがボソッと呟く。


「……耳なしネコ型ロボットの真似をするときに、だみ声にするかどうかで年齢がばれるらしいぞBBA」

「死ね!」


 2人の漫才は放置しつつ、スカーフを鑑定する。


名称:迅雷のスカーフ

レア度:4 品質:★7 耐久:380

効果:防御力+31、麻痺耐性(中)、眠り耐性(小)、敏捷+4

重量:2


 麻痺と眠りという、動きを止められる二大状態異常への耐性に、敏捷上昇。防御力も高いし、素晴らしい装備だ!


「色もちゃんと指定通りにしてくれたか!」

「真紅のマフラーはヒーローの基本だからねっ!」

「まあ、スカーフだがな」


 セキのツッコミは無視して、シュエラがもう1つ装備品を取り出す。


「後はこれだね!」

「お、作れたのか!」

「うん」


 スカーフともう1つ、依頼していたのはリック専用のアクセサリの作製だ。小型のモンスターであるリックは、普通のアクセサリは装備できない。そこで、何とかならないかと相談していたのである。


「へっへっへ~。ジャーン!」


名称:投擲の腕輪

レア度:3 品質:★5 耐久:230

効果:防御力+10、投擲強化(小)

重量:1


 シュエラが取り出したのは、シンプルな銀色の指輪にしか見えない輪っかだった。だが、鑑定するとキッチリ腕輪と表示されている。小型モンスター用の腕輪だ。


「これも凄いじゃないか!」

「良いっしょ? サイズダウンするのに結構素材を使ったから、預かった素材で結局トントンになっちゃったけど」

「いや、支払いがないだけでも十分だ! それに、リックにピッタリの能力だしな」

「でしょう? いい仕事したっしょ?」

「ああ、サンキューな」

「だったら、またうち使ってね」

「分かってるよ」


 俺はシュエラとセキに礼を言って店を後にする。


「キュ?」

「うんうん。リックかっこいいぞ」

「キュー!」


 自慢するように俺の肩の上に乗って、スカーフと腕輪を見せてくるリックを褒めてやる。するとリックが喜ぶように飛び跳ねる。


「キュー!」

「フマ!」

「ヒム!」


 今度はアイネとヒムカに自慢しに行ったな。2人にも褒められて、ご満悦だ。能力も高い上に、こんな可愛い姿が見れるなんて。買って良かったな。


遅れたかわりというわけではありませんが、新刊情報です。

出遅れテイマー2巻が、11月末に発売予定となっております。

また、コミカライズも進行中ですので、お楽しみに!

詳しい情報が分かり次第、あとがきと活動報告でお知らせさせていただきます。


少々体調を崩してしまいました。

次回の更新は22日とさせてください。申し訳ありません。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] リックのスカーフはつい最近ドワーフのルインが作ってくれてた筈だけど…。しかもリック好きで連れてこいとかまで言ってたのに。ルイン不憫…
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