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295話 三色ダンゴ


「マスコットはこちらからお選びいただけますが、どうされますか?」

「えーっと、初期の十種類だけじゃないのか?」


 ウィンドウに、マスコットの一覧が表示されている。ただ、その数が想定よりも多かった。


「はい、こちらは日本家屋限定のマスコットとなっております」

「そんなのがあったのか」


 運営メールに記載されていた10種類以外に、4種類のマスコットを選択することができるようになっている。無料で特殊能力がないという部分は一緒だけどな。


「なんだこのラインナップ。マメ柴、三毛猫、ツキノワ熊、タンチョウ?」


 確認してみると、初期マスコットと違って、こちらはリアルなタイプのマスコットだった。いや、ここまでリアルだともうペットって感じだな。


 画像を確認してみる。


 マメ柴、三毛猫、ツキノワ熊は子供だ。メッチャ可愛い。だが、タンチョウは普通に大人のタンチョウ鶴だった。和風ってことで選ばれたのだろうが……。だったらもう少し小さくて可愛い鳥がいるだろ。ライチョウとか、キジとか、スズメとか。なぜタンチョウ? 他の3種類を選ばないでツルを選ぶやつがいるのか?


「ま、まあいいや。ここは三毛猫かな」


 熊はクママがいるからね。こっちはリアル、クママはヌイグルミ風の違いはあるが、熊は熊だ。それに、ブリーズ・キティの仇を取るのだ。いや、でも、マメ柴も可愛いが……。


「マスコット枠は増やせるらしいし、とりあえずここは三毛猫で!」

「分かりました。では、三毛猫をホームへと送っておきます」


 毛並みなどはランダムになるらしい。まあ、三毛の子猫なんてどれも可愛いに決まってるし、特にこだわらんけど。


「マスコット、ホーム設置タイプの従魔は、初期設定ではホーム間の移動が自由となっていますので」

「あ、わかりました」


 転送扉さえ設置しておけば、モンスやマスコットが畑とホームを皆が自由に行き来できるってことだろう。


 転送扉はほかのオブジェクトと同じで、自分で設置するタイプであるようだ。インベントリにアイテムとして入っている。あとで畑に設置しよう。


 俺は不動産屋を後にすると、早速購入した日本家屋に向かった。


「どんな家なんだろうな~?」

「キュー」

「ヤー」


 肩のリック達と話しながらホームエリアを歩いて行くと、段々と人気が無くなってきた。というか、俺たちしかいない。


「あれ? 人が全然いないな」

「キキュー?」

「日本家屋、人気がないのか?」

「ヤヤー?」

「まあ、西洋ファンタジーが基本の世界だしな~」


 それなりに値も張ったし。俺以外に買えない人がいない程の値段ではなかったと思うけど、お試しでってレベルの値段ではなかった。いや、俺は買っちゃったけどさ。


 そう考えると、日本家屋を買う人は少ないかもしれない。


「ま、静かでいいくらいに考えておこう。それよりも、見えてきたぞ!」

「キュー!」

「リックは好きそうだろ? いやー、こうやって外から見ると、いいねぇ」


 こんもりとした森の中に、俺が購入した日本家屋が見えてきた。家の周囲を囲むのは背の低い生垣だ。漆喰の壁バージョンも想像していたが、この方が庶民感があって俺は好きだね。黒い瓦屋根が渋い。それでいて、木造の温か味も感じさせてくれる。


 これは想像をはるかに超えているんじゃないか? メッチャいいぞ。


「早く入ってみよう!」


 俺は居てもたってもいられなくなり、ホームに向かって駆け出した。俺が急に走り出したせいでリックが振り落とされたが、綺麗に着地を決めて、俺と並走を始める。


 ファウはその上を飛んでいる形だ。


「近くで見ると、またいい味出してるね!」


 新築ではなく、築何十年も経過した古民家のような味わいがあった。むしろ、これがいいよね。


 門は簡素だな。木の門柱に、両開きの木の柵が取り付けられただけだ。まあ、武家屋敷ってわけじゃないし、こんなものか。


玄関までは、丸い石が少しだけ間隔を開けて、並べて置かれている。あれだ、思わずケンケンパしたくなるやつだ。


 玄関扉は、木と障子で作られた物だった。どうやらこの日本家屋、ガラスが使われていないらしい。他の窓も、全て障子だ。


 ゲーム内だから泥棒もいないし、ホームエリアには自然災害もないらしい。下手したら窓を全部開けっ放しでもいいんだし、これで構わないのだろう。


「さてさて、家の中はどうなってるかな~」

「キュ~」


 そして玄関を開けた俺を出迎えたのは、一匹の可愛い子猫であった。


「ウニャ~」

「おお! これがマスコットか?」

「ウニャン」


 三毛の子猫だ。マスコットで間違いないだろう。思わず触ろうとしたら、その前に名前を決めなくてはいけないらしい。命名画面が現れた。


「名前か……。うーん、三毛猫、三色……。よし、お前の名前はダンゴだ!」

「ニャン!」


 これで命名終了である。モンスと同じだな。


「よしよし、ダンゴ~」

「ウニャー」


 軽く撫でてやると、目を閉じて気持ちよさそうに鳴き声を上げるダンゴ。抱き上げても、大人しいままだ。フニフニとしたお腹に、柔らかい毛並み。ピンク色の鼻と肉球がラブリーすぎる。


 ヤバい、超絶かわいい。俺、犬派なんだけど、猫派の気持ちが分かってしまった……。


 何度か撫でてやった後、俺はリック達とダンゴを向き合わせた。従魔同士は仲がいいが、マスコットとはどうだ? これで喧嘩なんかされると困るんだが――。


「キュー!」

「ヤー!」

「ウニャ!」


 全く問題なかった。どちらが上といった感じもなく、対等に遊んでいる。おお、ファウがリスライダーからネコライダーにバージョンチェンジしたな。


「ヤヤー!」

「ウニャー」


 ファウが勇ましく指を突き出すが、ダンゴは普通に歩いている。どうやらのんびり屋さんであるらしい。


「じゃあ、家の中を探検だ!」

「キキュー!」


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― 新着の感想 ―
リスライダーからネコライダーへ ・・・ ライダーネコ! 18禁脳が捗り捲りです❣️
[良い点] 更に遅れてきたのは、私! しかも、羽根フェチさんが居る……だと……!? 鶴は憧れますが、自分にライドオン!してもらうのが基本スタイルの鳥使いなので、梟を選択 + 豆柴ですね♪  (柴犬至…
[一言] 流れに遅れてる事を承知でここに来た 俺は羽根フェチなので鶴を優先で買うとここに声高に叫ばせてくれ!
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