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233話 ついに生えました


 ルフレが進化を果たした後、戦闘でその能力を色々と確かめたのだが、やはり治療者のスキルが強かった。


 回復量が増すことで、MPが相当節約できるようになったのだ。進化したことでステータスが増したこともあり、アクアヒールの回復量は倍近くなっただろう。


 しかも隠れ身の効果があるおかげで回復行動をしても敵のヘイトをそれほど集めなくなり、回復を邪魔されることも無くなった。そのため、燃焼の回復もスムーズに行える。


 今後、他のフィールドやダンジョンでもヒーラーとして活躍してくれることだろう。


 そのままさらに戦い続けること1時間。今度はファウがレベル25に達していた。ルフレと同様に、新スキルを覚えたな。同時に、進化も可能になっている。


「ヤー!」


 自分でも進化可能になったのが分かるのだろう。ファウは俺の頭の上でスナフキン座りをして、ジャカジャカとリュートをかき鳴らして喜びを表現している。


「新スキルは広域音響?」


 どうやら、音をより遠くに届けられるようになるスキルらしい。歌唱や演奏の効果範囲が広がるスキルってことか? いまいち利用価値が分からない。いや、例えばレイドボス戦なんかだと、より多くのメンバーにバフを与えられるのかもしれないな。


 あとは単純に宴会時により盛り上がるようになったかもしれん。会場が広くてもファウの音楽がきっちり聞こえるようになっただろうしね。次のお花見があるかは分からないが、その時は活躍してくれるだろう。


「お次は進化なんだが……選択肢は2種類しかないか」


 ルフレの時もそうだったが、好感度マックスで解放される進化先を待つかどうか、ちょっと悩むんだよね。


 ルフレはユニーク進化先があったから問題ないが、ファウの場合は通常進化先のみだ。ただ、リックのように好感度がマックスになるのに特定のアイテムが必要な場合もある。正直、いつファウの好感度がマックスになるかは分からなかった。


「だったら、普通に今進化させちゃうか。進化すれば強くなるのは間違いないんだし」


 ピクシーから選べる進化ルートは、フェアリーとコロポックルの2種だった。どちらも可愛いことは間違いなさそうだな。あとは能力がどう変わるかだ。まずはフェアリーから見てみようかな。


「ふーむ……お? スキルに飛行があるな。もしかして飛べるようになるのか?」


 まあ、フェアリーだもんな。むしろフェアリーで羽がなかったら、運営に苦情が殺到するだろう。


 ただ、飛行が手に入る代わりに跳躍スキルが消えてしまうみたいだった。いや、跳躍が飛行に進化するって事かな? さらに歌唱が上級に変化し、回避、気配察知、幻惑のスキルを覚えるな。


 幻惑は敵からファウへの命中率を下げるスキルらしい。パッシブスキルなので効果はそこまで強力ではないだろうが、不意打ちなどに対応できるのは嬉しかった。


 幻惑と回避、気配察知を併せれば、被弾率が大幅に下がるだろう。ファウはHPと防御力が低いし、かなり嬉しいスキル構成だ。テンション上がるね。というか、翅の生えた妖精さんになるというだけでテンションマックスだが。


「さて、フェアリーはかなり魅力的だが、コロポックルはどうだ?」


 こちらには飛行スキルがない。行動力はピクシーと同じくらいってことか。


 代わりに演奏、隠れ身が上級となり、採取が採集へと変化する様だ。さらに弓術、釣りのスキルが加わる。


 小人のままだとすると弓術がどの程度強いかは疑問だが、採取系が伸び、遠距離攻撃も充実するわけか。そのかわり飛べないと。


「うーん……ここはフェアリーにしておこう。うちはまだ飛行系のモンスがいないし」


 コロポックルも気になるんだけどね。アイヌの民族衣装風の装備を身に着けたファウ。心魅かれるものがあるよね。次にピクシーを手に入れることがあったら、コロポックルを選ぼうかな。


「じゃあ、進化だファウ!」

「ヤ!」


 進化を選択すると、ファウが光り輝いた。ただ、俺の頭上にいる状態で進化させてしまったので、いまいち見えん。せめて手の上とかに下ろせばよかったぜ。



名前:ファウ 種族:フェアリー 基礎Lv25

契約者:ユート

HP:58/58 MP:88/88

腕力6 体力6 敏捷28

器用26 知力22 精神19

スキル:演奏、回復、隠れ身、歌唱・上級、聞き耳、採取、火耐性、火魔召喚、夜目、錬金、広域音響、飛行、回避、気配察知、幻惑

装備:羽妖精のリュート、羽妖精の衣、羽妖精の首飾り



「ヤー! ラッランララ~♪」


 光が収まり、ファウがリュートの音を高らかにかき鳴らす。進化が終わったらしい。俺には見えないけど。


「ファウ、こっちに下りてくれ」

「ヤー!」


 俺が両手を揃えて差し出すと、その上にファウがパタパタと翅を羽ばたかせて、ゆっくりと下りて来た。


「やっぱり翅が生えたか!」

「ヤ!」


 背の高さや、赤いフワフワの髪の毛などに変化はなかった。


 だが、トンボのような翅が背中に上下2対、計4枚生えたことで、その印象は大きく変わっている。翅は膝下くらいまでの長さがあり、意外と大きかった。


 それ以外だと、服装はかなり変化したな。元々身に着けていた青い半袖半ズボンは、青いレオタードのような形に変わっている。いや、腰にはミニスカートのようなヒラヒラがついているから、チュチュってやつに近いのだろうか?


 チュチュのヘソあたりから首元までが開いており、なんというかスニーカーの紐のような感じの飾りがついていた。肩紐はなく、前から見るとVの字に見える。さらに背中が翅を出すために大きく開き、露出度がさらにアップしていた。


 体型がお子様な上にフィギュアサイズなので、色気みたいなものは全くないけどね。むしろこれに色気を感じるやつは業が深すぎるな。かなりの上級者であろう。


それ以外だと、服の上から羽織っていたポンチョ風のマントが無くなり、代わりに首に金属のチョーカーや、足にはサンダルの代わりに茶色のブーツを履いている。


 イメージとしてはスナフキン感が大きく減り、妖精感が増したかな。


 ああ、リュートも少しだけバージョンアップしたぞ。これまでは良く言えばシック、悪く言えば地味な茶色一色のリュートを使っていたんだが、縁などが赤に塗られ、少し綺麗になった。性能も上昇しているだろう。今からファウの演奏が楽しみだ。


「じゃあ、帰る前にファウの能力も確かめようか?」

「ヤー!」


 翅が生えたのに、俺の頭の上に座るのはやめないのな。


 そんなファウの戦闘スタイルは、これまでとは全く違うものに変わっていた。いままでは後方で演奏をしつつ、火魔召喚で攻撃をするパターンだった。だが、なんとファウが前に出たではないか。


 敵の前を飛び回りながら、演奏と歌唱を使い出す。当然、敵のヘイトはファウに集まりやすく、狙われてしまった。だが、そこからが凄い。なんと、敵の攻撃を避けまくるのだ。元々小さいうえに飛行で小回りがきき、回避、気配察知、幻惑で回避率も高い。それゆえ、敵の大ぶりな攻撃には当たらないのだろう。


 ファイアラークの火の粉や、狂った火霊の放つ散弾のような範囲攻撃はさすがに食らってしまうが、その手の速くて当てやすい攻撃は威力も低いので、そこまでの脅威ではないらしい。火耐性も持っているので燃焼状態にならないのも大きいだろう。


 避けタンク+バッファーという、不思議な戦闘スタイルを確立していた。今後、敵が強くなった場合にどこまで通用するかは分からないが、火霊の試練ではかなり頼もしい。


 さらに歌唱が上級になったことで、バフの効果も上昇している。ドリモの必殺コンボが炸裂したとはいえ、狂った火霊を一撃で倒した時には驚いたね。


 その分MPの消費が増えたので、調子に乗っていたらあっと言う間にマナポーションが無くなりそうだが。


「ルフレもファウも強くなったな」

「フム!」

「ヤー!」


 このダンジョンでは色々と苦労させられたけど、結果的には戦力も向上して、色々と収穫の多いダンジョンだったな。


 進化した2体のおかげで火霊の試練がぐっと楽になったし、このままここでもう少し狩りを続けるのもいいかもな。でも第3エリアも行ってみたいし……。


 そう言えば、リアルで明日はLJOの追加生産分の発売日だ。ゲーム内でもあと数日で第2陣が大量にゲームに参加してくるだろう。だったら、第3エリアが混み合う前に攻略しておいた方がいいかもしれないな。


「うーむ。どうするか」


 いや、とりあえず畑に戻って、色々と実験をしようかな。発泡樹の実も火鉱石も、それなりの数が集まってるしね。


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― 新着の感想 ―
回避しながら空を飛び歌を聴かす・・・熱気バサラかな?
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