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199話 怒涛の収穫


「ホゲ、ホゲゲゲ……オハナミハ……マナーヲマモッテネェェ!」


 ハナミアラシのライフがゼロに削られた瞬間、まるで春の嵐によって生み出された桜吹雪のように、その体が大量の桜の花びらとなって舞い上がった。


 戦場の周囲を囲むように花びらが渦巻き、まるで壁のようだ。思わずスクショを撮ってしまったのは俺だけじゃないだろう。


「うわぁー」

「綺麗」

「すっげー!」


 皆が幻想的な光景に見とれていると、アナウンスが鳴り響く。


 ピッポーン。


《妖怪が初撃破されました。図鑑の妖怪の項目が解放されます。世界各地に妖怪は存在するので、探してみてください》


 アプデの告知以外だと、ワールドアナウンスを久々に聞いたな。妖怪の図鑑が解放されたって言ってたが……。


 図鑑を開いてみると、確かに最後に妖怪のページが追加され、ハナミアラシが登録されていた。ナンバー7となっているな。


『妖怪を初撃破したプレイヤーに、妖怪バスターの称号が与えられます』


称号:妖怪バスター

効果:賞金10000G獲得。ボーナスポイント2点獲得。妖怪に対する与ダメージ上昇


『妖怪を撃破しました。参加プレイヤーの職業「陰陽師」が解放されました』

『妖怪ハナミアラシが撃破されました。参加プレイヤー全員に、スキル「植物知識」が与えられます。すでに所持している場合、ボーナスポイント2点が与えられます』

『妖怪ハナミアラシが撃破されました。参加プレイヤーのスキルが一部開放されました』


 怒涛のアナウンスラッシュだな。称号をもらえた上に、なんかボーナスポイントまでゲットしてしまった。解放されたスキルってなんだろう? まあ、アリッサさんたちが早速スキル一覧をチェックしているので、すぐに判明するだろう。


 周囲のプレイヤーは称号授与の時点で歓声をあげていた。初称号の人も結構いたらしい。


「ありがとー!」

「これが白銀効果か!」

「ひゃっはー! 称号だー!」


 いきなり色々なプレイヤーから握手を求められて戸惑ったが、まあこのイベントは俺がホストなわけだし、感謝されるのも仕方ないだろう。


 ただ、拝むのはやめてほしい。別に手を合わせたって御利益とかないから! なんだ白銀効果とか白銀現象って!


 そしてアナウンスはまだ終わらない。次はイベントクリア報酬だ。報酬はハナミアラシの討伐時間によって変化するとなっていたが、俺たちはどうなんだろう? 29分台で、ギリギリ30分は超えていない。


『特殊クエスト2をクリアしました。攻略時間、29分37秒。報酬は、霊桜の薬×3本です』


 レア度4のポーションだった。効果は、酩酊回復だ。なるほどね。ゲームが進めば大した価値がなくなるかもしれないが、現時点では珍重されるだろう。悪くはないと思う。


 実際、他のプレイヤーたちも喜んでいるからな。酒飲みたちは、これでもっと酒が飲めると喜んでいる。飲まない奴らは転売する気満々だな。



 イベント関係のアナウンスはこれで終わりであるようだ。後はレベルアップの通達だな。俺だけじゃなくて、モンス達もレベルが上がった。ドリモなんか一気にレベル8だってさ。さすが、レイドボスだ。


 使役と従魔術がレベルアップしたのは嬉しい。両方とも20になり、テイムできるモンスターの数が一気に2枠増えた。


 さらに、使役がレベル20になったことで、配魂強化というスキルが手に入ったな。配魂で生まれるモンスターが少しだけ強化されるスキルであるらしい。


 従魔術レベル20でもモンスターアシストというスキルを手に入れた。モンスターの腕力と敏捷を数分間だけ上昇させるという技だ。中々悪くない。


 しかも、新たに覚えたのはこれだけではなかった。水魔術が25に、樹魔術が16に上昇したことでそれぞれ新術を手に入れたのだ。水魔術のアクアキュアは、毒、麻痺、出血、痛撃、火傷、凍傷の状態を回復できる、モンスターキュアの水魔術版だった。樹魔術のポイズンパフュームは、毒の霧を発生させる術である。


 メッチャ色々な技を覚えてしまったぜ。しかもこれにボスドロップがまだあるのだ。収穫があり過ぎて逆にテンパりそうだ。


「えーっと、ドロップはなにかな? 拳? 徒手空拳用のグローブタイプの武器か」


 どうやら素材などではなく、装備品をドロップするようだった。霊桜の武拳、霊桜の闘衣、霊桜の重枷、霊桜の細剣と4つも入手できたが、全て装備に腕力が20必要で、俺には装備さえできない代物である。どうも、セット装備にすると特殊な効果が発動するみたいだ。


 すでに皆の間でリスト化が始まっているな。全部で九種類あり、武器が武拳、細剣、打鞭、鋼棍の4種。防具は闘衣、軽靴、鉢巻の3種、アクセサリが重枷、耳輪の2種だった。重枷がレア装備みたいなのだが、全ステータスが低下する代わりに、レベルアップ時のステータス上昇が増加する可能性があるという特殊な装備品であった。


 この中から武器を含めた4種類を装備することで、酩酊無効と、それぞれの武器スキルの成長速度上昇の効果があるらしい。腕力が9しかない俺には無用の長物なので、売るかトレードしたいところだった。


「あとは、霊桜の薬が1つに、霊桜の小社?」


 霊桜の小社はホームオブジェクトだった。ただ、効果としては霊桜の小社を設置するとしか書かれていない。まあ、設置には1マスで済むみたいだし、使ってみればいいか。


 早耳猫の皆さんの呼びかけで、皆のドロップの情報が集められ、集計が始まる。その結果、霊桜の小社は俺しかドロップしていないということが分かった。ホスト専用なのか、余程レアなのか、他に何か理由があるのか、正直一回だけじゃわからないらしい。


 とりあえずイベントを終了させた後に、皆の前で小社を設置するという流れになった。アリッサさんは情報料を払うと言っていたが、皆で手に入れたアイテムだしね。それで情報料をもらうのも悪いと思ったので、公開設置することにしたのだった。


 ああ、因みに元に戻るための出口は、いつの間にか出現していた。ピンクのブラックホールとでも言えばいいか? そこを潜ったら俺の畑に戻ってきていたのだ。


 いやー、後半は怒涛の展開だったな。


「おーい! ど、どうだった? 報酬はどうだったんだ?」

「えーっと……」


 いきなり知らない男性に話しかけられた。なんで畑の中に入れるんだ? フレンドしか入れないはずだけど……。


 いや、見た覚えがある。誰だっけ? 軽く悩んでいたら、すぐに正体が判明した。イベント開始時に畑から出てしまっていたせいで締め出されてしまった、早耳猫の人だ。アリッサさんに詰め寄って、逆に頭を叩かれている。


 忘れててごめんね? まあ、話はアリッサさんたちから聞いてください。


「とりあえず社の設置からだな」


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