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168話 油断と死に戻り

 俺たちは順調にダンジョンを進んでいた。狂った土霊、ストーンスネーク、ダーク・バットを倒し、素材もそこそこ得ている。土結晶は手に入らないけど。


「サクラ、凄いな!」

「――♪」

「この調子でいくぞ!」


 進化したサクラの樹魔術・上級がかなり強力だった。地面から太い蔦を複数生やして、鞭の様に振り回して複数の敵を攻撃する術なのだが、これが威力もそこそこ強く、弱点でもあるので相当効くのだ。


 もう1つの、花粉を生み出す30本ほどの花を召喚し、毒、麻痺、混乱の複合異常を引き起こす術も、今後色々な場所で活躍してくれるだろう。それぞれの状態異常になる確率は低いんだが、どうやらそれぞれに1回ずつ判定があるらしく、どれかの状態異常を引き起こす可能性は結構高めなのだ。フレンドリーファイアが無いので、俺たちに影響しないのも嬉しい。


 サクラのおかげで戦闘時間が半分近くに短縮され、俺たちの進撃速度は大きく上がっていた。ただ、サクラのMP消費も上がっているので、調子に乗っているとマナポーションがすぐに必要になるのだが。


「それでも、俺たちにとったら戦闘が楽になるほうが嬉しいんだ。頑張ってくれ」

「――♪」


 サクラのおかげで余裕も出来たし、探索もより丁寧に出来るようになってきた。とは言え、発見できるのは隠し通路ばかりだ。各部屋で発見できている。だが、先へは進んでいなかった。入り口の場所だけチェックして、スルーしていく感じである。まだ怖いし、探索するのはもう少しレベルが上昇してからなのだ。


「よし! 鉄鉱石ゲット! アリッサさんたちの話だとまだ珍しいって話だからな」


 第4、6エリアの一部では採掘ポイントのレア採掘品として登場しているらしいが、未だに安定的に出回ってはいないそうだ。高レベルのプレイヤーたちが独占している感じらしい。


「うちは鉄鉱石が必要ないし」


 鉄製の武具なんて、俺には重すぎて装備できないし、モンスターたちにも必要ない。採れたら全部売ってしまって構わなかった。


「たくさん採掘して、稼ぐぞ」

「ム」

「オルトくん、頑張ってくれたまえ」

「ムッムー!」


 良い敬礼と共に、オルトが再び採掘を始める。オルトの採掘で採れる鉄鉱石は、俺よりも数も質も上だからね。張り切って採掘を頑張ってもらいましょう。


 俺だってサボらんよ? 何せ宝石発見スキルがある。まだ1回も発動していないが。


そんなことを考えていたら、一瞬採掘ポイントが輝いた気がした。なにか特殊なアイテムでもゲットしたか? 大慌てでインベントリを確認してみる。すると青水晶というアイテムがインベントリに入っていた。


名称:青水晶

レア度:3 品質:★2

効果:素材。観賞用。



 宝石発見の効果が発動したらしい。水晶か。取り出してみるとその名の通り、青い水晶の結晶だ。大きさは親指程。中に不純物が入っているのは品質が低いせいだろうか? ただ、それでも十分に綺麗だった。


「よしよし。このままの勢いで良いアイテムゲットするぞー!」

「ムッムー!」


 気を良くした俺たちは順調にダンジョンを進んでいった。ダメージを負いつつも、回復して進む。多少ポーションを使ったとしても、実入りの方が大きいからね。問題ない。


 そうやって5つ目の部屋で、狂った土霊2体、ダークバット2体との激戦を戦った直後だった、ルインからメールが入っているのに気づく。どうやら頼んでいた杖が完成したらしい。


「そろそろきつくなってきたし、次の部屋を覗いたら一旦脱出するか」

「ムム!」

「よし、皆行くぞ!」

 

 すると、次の部屋には、緑の髪の毛をした土霊がいるではないか! 見紛うことなきユニーク個体だった。いくらなんでも遭遇率が高くないか? そう思ったが、こういうのは運だしね。他のゲームでも、ドロップ率1%以下のはずのアイテムが連続で手に入ったりすることもあるのだ。


「よしよし! これはラッキーだぞ! まずはテイムを試すから、倒さないように気を付けてくれ。特にサクラ、リック、クママ。分かってるな?」

「――!」

「キュッキュ!」

「クックマー!」


 厄介なことに、もう一体狂った土霊がいるが、俺たちはダメージを負いながらも先に通常個体を倒し、ユニーク個体のHPをギリギリまで削るところまではこぎつけていた。そのまま俺はテイムを連発する。


「くそっ、ダメか!」


 ただ、テイムは成功しなかった。そろそろこちらのHPがヤバくなってきたので、仕方なく倒してしまう事にした。いや、土結晶は入手できるわけだし、それでも構わない。さっさとやっちゃいましょうかね。


 その余裕がいけなかったのだろう。俺は狂った土霊の落とし穴にはまってしまっていた。穴の底に設置された棘によってHPが半減する。オルト達の助けを借りてなんとか脱出しようとするが、そこに土霊が恐ろしい形相で突っ込んでくる。いや、こいつらはこれがデフォルトか。


 とにかくピンチだ。あと1発攻撃すれば倒せるんだが、俺がテイムの為に奴を倒すなと命令しているからね。サクラもリックも手出しをしない。いや、壁になろうと動いてはいるんだが、周辺を囲む様に包囲していたため俺とは距離が離れていた。


 やべー! 死んだ! やはりユニーク個体、侮れなかったか! 調子に乗って大金を持ったままだ! こんな事なら預けてくればよかった!


 心の中でそう叫んでいると、俺と狂った土霊の間に割り込む影があった。


「フム!」

「ルフレ!」


 ルフレが土霊の突進を受けて、光の粒となって消えて行くのが見える。


「フムー……!」

「くそ! このやろ!」


 ルフレの稼いでくれた時間を無駄にはせず、俺は杖で土霊を殴り倒す。こうして俺たちは命からがらダンジョンから脱出したのだった。


「ルフレを迎えに行こう。あー、怖かった」


 因みに、ユニーク個体からゲットした土結晶は★4でした。ルインのところに行くわけだし、その時に売っちゃうとしよう。


 その前にまずはルフレを迎えに行くけどね。ここに来る前に北の町の石碑に死に戻りを設定しておいたので、すぐに合流できた。


「フムー!」

「よしよし、待たせたな」

「フム~」

「お前のおかげで助かったよ。ありがとな」

「フムム!」


 モンスは死に戻った後、すごく甘えん坊になるよな。やっぱり寂しいのかね? 俺は抱き付いて来たルフレが満足するまでその頭を撫でてやるのだった。


 その後、ルフレの後ろに順番待ちで並んでいた皆の頭を撫でてやるのもいつもの事だね。周囲のプレイヤーから生温かい目を向けられている気がするけど。


 これは仕方ないんです! モンスたちとのコミュニケーションは大事だから! だからそんな「何やってんだこいつ?」っていう目で見ないで!


「さ、さて、ルインは北の町にいるって言うから、このまま向かっちゃおう」

「フム~」


ちょとはしゃいで右手のスジをやってしまいました。

そこまで酷くはないんですが、執筆速度が少し落ちそうです。

書き溜めが1話あるので、次回は通常通りの更新ですが、その次が分かりません。

もしかしたら3,4日開いてしまうかもしれませんが、ご了承下さい、


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