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134話 新たな力


 東の平原のボス、レスラーラビットを倒した直後であった。ファウを迎えに行くために始まりの町へ戻ろうとしていたんだが――。


ピッポーン。


『ユートさんの職業レベルが20に達しました。上位職業への転職が可能です』


 おお! 遂に俺も20レベルに到達したか! 逸る気持ちを押さえながらウィンドウを開くと、転職可能な職業が表示されていた。


「あれ? いくつか知らないのがあるな」


 リストに表示されているのは、ミドルテイマー、ハーヴェストテイマー、エレメンタルテイマー、ユニークテイマー、コマンダーテイマーの5つである。


 ミドルテイマー、ユニークテイマーは掲示板にも載っていた。最も一般的なミドルテイマーに、ユニーク個体を3匹以上テイムしていると転職できるユニークテイマーである。


 ミドルテイマーは全てのモンスターに小さいボーナスが入り、ユニークテイマーはユニークモンスに大き目のボーナスが入る特化型とも言える職業だった。


 コマンダーテイマーも分かっている。秘伝書を持っているからな。問題はハーヴェストテイマー、エレメンタルテイマーだ。


 リストから能力を確認してみると、エレメンタルテイマーは精霊系のモンスターに大ボーナスが、それ以外に小ボーナスが入るようだった。ユニークの仲間だな。


 ハーヴェストテイマーはちょっと特殊で、採取、採集スキル持ちのモンスが3体以上いる場合に選択できるようだ。採取、採集スキル持ちモンスのステータスにボーナスが入り、採取、採集にもボーナスが入るらしい。


「精霊系が3体以上って言うのは、オルト、サクラ、ファウって事だろうな」


 コマンダーテイマーが無ければこっちでも良かったのかもしれないが、今回はコマンダーで行かせてもらう。3000ポイントもしたんだからな。


 俺はコマンダーテイマーを選択する。すると、テイマーの秘伝書が自動的に俺の前に出現した。そして、宙に浮いたままそのページがパラパラとめくられていく。そのまま最後のページに達すると、俺の体が薄ボンヤリと淡く光った。


「……これで終わり?」


 軽く光ってそれで終了だった。このゲームらしくない素っ気ない演出だ。いや、秘伝書の下りは派手だったか?


 ただ、確認すればきっちりコマンダーテイマーに転職できていた。少し拍子抜けだが、あれで終わりだったらしい。変わった部分を確認してみよう。


「ステがちょっとだけ上がってるか」


 ステータスでは知力と精神力が+3、それ以外は+1されているな。あと、指揮:Lv1、編成従魔+1というスキルが増えていた。さすがコマンダー。


 ボス戦で使役スキルのレベルが1つ上がっており、モンスターのテイム枠も増えたし、今後モンスターをテイムする楽しみが増えた。


 ピッポーン。


「え? また?」

『従魔リックのレベルが20に達しました。進化可能です。ステータスから進化を行ってください』

「ま、まじか! 一気に来たな!」


 そう言えばリスはレベル20で進化だった。モンスターの種類によって進化できるレベルは違うらしいが、リスやラビットの様ないわゆる雑魚と言われる様なモンスは、レベル20で進化できる場合が多いのだ。


 うちではオルト、サクラがレベル19。クママが17なのだが、情報が少なくていつ進化できるかは分からなかった。ノームはβでは25レベルで進化らしいんだけどね。製品版ではどうだろうか。


「リック! こっちこーい」

「キュキュ!」

「今からリックの進化を行う。少しジッとしてるように」

「キキュ!」


 そして俺は、ビッと敬礼するリックのステータスウィンドウを開いた。一番上に、進化リストが表示される。


「ふーむ? 純白リス、漆黒リスは聞いていた通りなんだが……。この木目リスっていうのは聞いたことないぞ」


 本来だったら、水属性を得る純白リスにするつもりだったんだが、どうするかね。もしかしたらレベルが上がれば樹木系のスキルを色々と覚えるかもしれないし、レアな進化先なのは確実だ。


 樹木系は畑に使える可能性もある。どうするか……。


「何か特殊な条件を満たして出現したんだろうし、ここは木目リスにしておくか。リックもそれでいいか?」

「キュキュ!」

「よし、じゃあ木目リスに進化だ!」

「キュー!」


 俺が決定した瞬間、リックが光り輝いた。このゲーム、いちいち光るよね! でも、こっちの方がイベントって感じがする!


「――おお、変わったな」

「キュ?」

「一回り大きくなったし、模様も変わったぞ」


 今までは全身灰色だったのが、腹は白、他は茶色の、いわゆるシマリス的な模様になった。ただ、普通のシマリスと違って、背中の縞模様が木目調である。だから木目リスって言うんだろう。


 俺はリックの首に巻いてあるクリムゾンバンダナを緩めてやりながら、ステータスを確認してみた。


 HP、MPが10ずつ増加しているな。あとは、敏捷が4、それ以外のステータスが2ずつ上昇している。



名前:リック 種族:木目リス 基礎Lv20

契約者:ユート

HP:61/61 MP:45/45 

腕力10 体力11 敏捷26

器用14 知力11 精神12

スキル:警戒・上級、採集・上級、剪定、跳躍、登攀、逃げ足、頬袋、前歯撃、隠れ身、木実弾

装備:クリムゾンバンダナ



 スキルも変わってるぞ。警戒、採集が上級になり、隠れ身、木実弾というスキルが手に入った。木実弾ね。これは面白いスキルなので覚えてるぞ。以前、掲示板でチラッと見たことがある。


 木の実を投擲して攻撃できる技で。木の実によって威力や効力が違うのだ。青どんぐりは弱ダメージ。胡桃が微ダメージと挑発効果があるらしい。


「これは、威力や効果によっては、木の実を増産する価値があるかもしれない」


 木実弾に使えそうなのは、今のところ青どんぐり、胡桃、光胡桃くらいだが、さすがに光胡桃は勿体なさすぎる。


「他には何かないか? 木の実……木の実ね。果物って木の実と言えないか? リック、これって木実弾にできるか?」

「キュ!」

「できるのか。じゃあ、緑桃、白梨、紫柿もいけるな。勿体ないが、強いなら投げてもいいんだが……」


 ただ、これを何度も検証するのはさすがに勿体なさすぎる。あとで掲示板を見てみよう。


「とりあえず、青どんぐりと胡桃を3つずつ渡しておくか」

「キュ!」


 俺が渡した木の実を頬袋スキルで仕舞い込むリック。口の中に物を仕舞えるスキルだと分かっているんだが、食べてるようにしか見えんな。間違って食べちゃったりするんじゃないぞ?


 ピッポーン。


「おいおいおいおい! 今度は何だ?」


 再びのアナウンスに身構えたが、今度は俺たちに関係する事ではなかった。


《精霊門の1つが解放されました。最初に到達したプレイヤーに、称号『精霊門の解放者』が授与されます》


 ワールドアナウンスだった。どうやらどっかのプレイヤーが精霊門というのを解放したらしい。


 聞いたことが無い場所だが、きっと前線にあるダンジョンかなんかなのだろう。未だ第3エリアにも到達していない俺には関係ない話だ。


「とりあえず始まりの町に戻ろう」


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