127話 報酬とポイント交換
さて、俺はどうしようかな? オルトと一緒に畑仕事か? そんな事を考えていたら、目の前に再度ウィンドウが出現する。
「えーと、イベント個別報酬とポイント交換リスト?」
イベント個別報酬は、サーバー順位1位で2万Gとボーナスポイント2点。サーバー貢献度1位で2万Gとボーナスポイント2点。村が無傷のボーナスで、「アルフの村への通行許可証」がもらえた。
通行許可証は、町移動用の転移陣でその場所へ移動をする際に、通行料がかからないというアイテムらしい。ということは、転移陣を使えばあの村にまた行けるのか? 後で確認しに行ってみよう。
ポイント交換という物はそのままの意味で、イベントで稼いだポイントを、様々なアイテムに交換することが出来るらしい。
「ほほう」
個人ポイント交換リストと、サーバーポイント交換リストの2種類があった。サーバーポイントの方は、サーバー順位やサーバー貢献度などから算出されたポイントらしい。10500ポイントとなっているが高いのか?
内訳の詳しい理由も色々と表示されているが、項目が膨大過ぎて、全部は把握しきれそうもない。高ポイントがもらえた項目をピックアップしてみると、守護獣1の解放、守護獣2の解放、神聖樹1の復活、神聖樹2の復活、少年少女の救出、村の損害度0などが上がっている。
順位発表の時も思ったけど、個人ポイントが高い人間が居るサーバーは、サーバー順位が上がらない作りになってるってことだよな。
「個人ポイントは……凄いな。この武器とか超強い。3500ポイント必要だけど」
他にも強力な防具や、スキルスクロールが用意されている。俺には全く手が届かないけどね!
「何か使える物はないか……? 戦闘用の道具ばかりなんだよな……」
結局、MPが+3される頭装備扱いのピアスを300ポイントでもらい、800ポイントで孵卵器の錬金に使えるアイアンインゴットに。余ったポイントは初心者用マナポーションに変えておいた。まあ、こんなもんだろう。
本番はこっち、サーバーポイントの方だ。
「ほほう。こっちは生産系のアイテムとか、パーティで使えるテントとかが揃ってるな」
個人ポイントは戦闘用、サーバーポイントはそれ以外用ってことなんだろう。
こっちはほぼ全ての項目が選べる。中には特定のスキルを所持していないと選べない限定のアイテムなどがあったので、選べないのはそれだけだ。
まず気になったのは、スキル持ち限定の項目だな。当然、テイムスキルのページもあった。
従魔用のエサとか、武器なんかもある。剣を装備できる従魔とかいるのか? 少なくとも俺には必要ないな。
さらに項目を確認していくと、良い物を発見した。
「卵に孵卵器か」
やっぱりあったな。だが、名前だけの表示だ。蜜蜂の卵というのはハニービーの卵だろう。蜜熊はハニーベアに違いない。他にも、栗鼠の卵など色々ある。
説明もアバウトで、『ハチミツ大好き、蜜蜂だよ!』とか『森の友達、栗鼠さんだ!』とかそんな表示しかされていない。
あれか? 何が生まれるか分からないワクワク感を楽しめとでも言うつもりか? この遊び心はいらないわ~。
下の方に行くと、超高ポイントが必要な卵があった。赤虎の卵、風狼の卵、土竜の卵である。虎、狼が4000、竜が5000必要だ。説明文には、『猛々しい炎、赤虎の卵』としか書いてない。風狼は『風を操る魔狼、風狼の卵』、土竜には『大地の申し子、土竜の卵』だ。やっぱり分からんな。
うーん、どうしようか。5000も必要ってことは、かなり強いモンスターなんだろう。虎に狼に竜……ここは断然竜だろ!
いや、竜だよな? 土竜って……。でも、虎、狼と来てるんだ、モグラは有り得ないよな?
「あ、もしかしてグラシャラボラスに関係あるのか?」
グラシャラボラスの使徒は犬と猫、グラシャラボラスは竜に変身した。一応、狼はイヌ科、虎はネコ科だ。となると、土竜は竜だろう。考えてみたら、虎、狼よりも高ポイントの卵がモグラな訳がない。
他に少しポイントが低い卵もあるが、第一候補は土竜の卵だな!
「うーん。他には何があるかね……」
お! 農耕スキルを持っているプレイヤー限定のアイテムもある。
「ほうほう。始まりの町の畑の権利ね。あ、苗木と種があるじゃないか!」
紫柿の苗木、白梨の苗木。種は、白トマト、群青ナス、キャベ菜、ソイ豆、の種がある。
この辺は絶対に欲しい。苗木が500ポイント。種が200ポイントか。計1800ポイントだ。
ここでも断トツで高ポイントの謎アイテムがあった。その名も神聖樹の苗。6000ポイント。いや、わかるよ? 神聖樹。でも、その苗木って必要か? 悪魔の弱体化と、回復能力だ。畑で必要ない能力だろう。果実が取れるみたいな話もなかったし。
だが、ここでしか手に入らないのは確かだろう。ポイントも高いし。用途不明だが。
しかし、この苗木を選んだら土竜の卵は取得できない。さすがに竜の卵をやめて、謎の苗木をゲットする気にはなれなかった。神聖樹の苗木は諦めるしかないだろうな。
「他はどうしよう」
土竜の卵で5000。種苗類で1800。残りは3700である。リストを色々と確認していくと、面白い物を発見した。
「秘伝書? 3000ポイントね」
どうやら転職時に特殊な職業を選べるようになるアイテムらしい。テイマーの秘伝書だから、テイマー系の特殊転職ってことだ。
2次職のようだから、俺はもう直ぐ使えるな。
転職先はコマンダーテイマー。なんと連れて行けるモンスの枠が、5匹から6匹に増えると言う職業だ。その代わり、2次職でありながらステータスの伸びが悪く、1次職とあまり変わらないらしい。コマンダー、つまり指揮官てことなんだろう。今以上にモンスター頼りになってしまうな。
「まじか~」
もしこの職業に転職した場合、今後レベルが上がっても俺は雑魚のままってことだ。レベルが上がれば、俺の雑魚さも少しはましになるって思ってたんだけどな~。
だが、モンスを連れて歩ける数が増えるというのは非常に嬉しい。戦力的な意味でも、可愛いモンスたちに囲まれると言う意味でも。
俺は思い切ってこの秘伝書を選択することにした。今後取得できるチャンスがあるかもわからないし、俺の雑魚さは今に始まった事じゃないからな。
土竜の卵、紫柿の苗木、白梨の苗木。種は、白トマト、群青ナス、キャベ菜、ソイ豆、の種、テイマーの秘伝書。これで9800だ。
残りの700のうち500で始まりの町の畑を1つもらうことができるな。もう上限に達しているので増やせなかったんだが、このボーナスは上限に含まれないらしい。しかも所有畑の隣接地を選べたので、かなりお得だったと思う。
残り200はまだ持っていなかった、睡眠草という草の種に変えることにした。これで全部使いきったぞ。
「よし、決定っと」
押した瞬間ウィンドウが輝き、賞品をインベントリに送ったというアナウンスが流れる。見てみると、確かに全てのアイテムが入っていた。
さらに畑もキチンと追加されている。
「よしよし、手に入れたばかりの作物をすぐに植えられるな」




