12話 ついに防具だ
さて、金は手に入った。これで武具が買えるぞ。露店のお姉さんに教えてもらった武具店は、西の小広場だったよな。プレイヤーズショップなのだろうか。
「まあ、行ってみりゃわかるか」
西の広場に足を踏み入れる。初めて来たけど、人が多いな。西の森に最も近いからだろうか、プレイヤーの数が南の小広場よりもかなり多かった。そして、目的の武具屋なのだが……。
「あれだよな、たぶん」
すぐに見つかった。なにせ、露店の屋根から長い槍が突き出してるし。遠くからでもメチャクチャ目立つ。他の露店とは明らかに違う外観だ。
「あの、ここがルインの武具店ですか?」
「おう、そうだぜ! なんだい、どこかで俺の話を聞いてきてくれたのかい?」
「はい、アリッサさんに、ここの場所を聞きまして」
「アリッサ嬢ちゃんの紹介じゃ、無下にも扱えねーな! 俺はルインだ、よろしくな!」
ルインは、声の大きなドワーフの男性だった。勿論、プレイヤーだ。
「あなたも、早耳猫のメンバーなんですか?」
「ほう? もうそこまで知ってるのか? おう、そうだぜ。鍛冶担当だ!」
アリッサさん商売上手だな。どうりであっさりと情報を教えてくれたはずだ。まあ、構わないが。ドワーフってだけでも、無条件で凄腕鍛冶師に見えちゃうのだ。ドワーフの安心感半端ないな。それに早耳猫のメンバーだってことは、元βテスター。その腕は十分信頼できる。
俺も詳しくは知らないが、βテスターは正式版でもかなりの優遇がある。最低300ポイントのボーナスに、βテストでの貢献度によってさらに様々な特典が加算されるとか。
強い武器などを引き継ぐには相当なポイントが必要らしいが、第三エリアの武器などを引き継ぐだけでも十分なアドバンテージだし、スキルなどを引き継ぐことも可能らしい。
「防具が欲しいんです」
「おお、そうだよな。兄ちゃん――」
「ユートです」
「ユートは防具付けてねーからよ、驚いちまったぜ」
「色々あったんですよ。それで、ローブ系の防具はありますか。あれば杖も見たいんですけど」
「おう、まずはローブだな。ここいらがそうだ。予算はどれくらいだ?」
「一応5800程です」
全部使うつもりはないけどね。
「そうか。ただ、金出せば強い装備が手に入るってもんでもねーんだ」
「装備条件ですか?」
「おう。知ってると思うが、装備品には装備するために必要なステータスがあってよ、上位の防具ほど、必要なステータスが上がるんだよ。お前さんのLvは3だろ?」
「はい」
「例えばこれは5000Gだが、基礎Lv7からしか装備できねーんだ」
鑑定でLvが分かるからな、ルインは残念そうに首を振っている。因みに鑑定は、レベルと職業が分かる仕組みになっている。名前は名乗り合った相手じゃないと????と表示される仕組みだ。
「じゃあ、これは?」
4500Gのローブならどうだろう。
「ああ、それは少し重くてな、腕力と体力の合計が12必要だ。どうだい?」
「……無理です」
「まあ、どう見ても後衛だしな。そうだな、こいつなら装備できると思うが?」
ルインが進めてきたのは、1900Gの、青いローブだった。
鑑定してみる。
名称:アズライトのローブ
レア度:2 品質:★4 耐久:100
効果:防御力+9、水耐性(小)
装備条件:腕力2以上
重量:1
「へえ、いいですねこれ。特に軽いのが良い」
初期装備だった銀糸のローブには及ばないが、結構良い装備だ。NPCショップにあるローブと比べても、明らかに防御力が高い。それに、重さも軽くて有り難かった。
装備には重量という項目がある。これの合計がプレイヤーの腕力と体力を足した数値を超えてしまうと、敏捷と器用にマイナス補正が付いてしまうのだ。なので、腕力と体力が低い後衛職にとって、装備の重量は非常に大事だった。
名称:銀糸のローブ
レア度:3 品質:★3 耐久:100
効果:防御力+24、魔法耐性(小)
重量:3
名称:ローブ
レア度:1 品質:★5 耐久:100
効果:防御力+6
重量:2
どうしようか。もう少し防御力が高い方がいいな。例えば一部だけ鉄を使っているローブとかはないのか?
「無理だな」
「お金ですか?」
「それと、ステータスだ。鉄は重いから、普通に作ったら重量が相当増える」
「なるほど。貧弱な後衛には無理だと」
「お前さんは、特に貧弱だけどな」
「そうですね!」
「おい、自分で言っておいて、落ち込むんじゃねーよ」
「すいません、つい」
「まあいい。で、鉄を使った装備だが、軽くしようとすると、今度は料金が跳ね上がる。6000Gじゃ到底足りないな」
「わかりました。諦めます」
男は諦めが肝心だよね!
「そうしな」
「じゃあ、どうしようかな」
うーん、やっぱり防御力の低さが気になるが。
「だったら、これはどうだ?」
「靴ですか?」
「足防具だよ」
名称:硬革の靴
レア度:1 品質:★4 耐久:120
効果:防御力+5、毒耐性(小)
装備条件:体力3以上
重量:1
「いいですね! おいくらですか?」
「1100Gだ。これはプレイヤーズメイド品でな。毒耐性が付与されてるんだ。だから少し値段は張るな」
「うーん、でも、軽くていいですよね。これ」
「だろう? 今、腕力と体力の合計はいくつだ?」
「5です」
「はっはぁ。低いな」
「ええ、まあ」
「となると、これなんかどうだ?」
名称:ブロンズネックレス
レア度:1 品質:★2 耐久:100
効果:防御力+1
重量:1
「まあ、普通の最弱アクセサリだが、アズライトのローブと革靴を買ったら、こいつをサービスしてやるよ。あとこれも」
名称:杉の杖
レア度:1 品質:★2 耐久:100
効果:攻撃力+3、魔法力+3
重量:1
「いいんですか?」
「アリッサからの紹介だしな。それに、そいつは木工初心者が作った試作品だ。素材も西の森の入り口で採れる最低素材だしよ」
西の森の入り口? 俺も行ったことがあるが、あそこで木材なんて穫れたか?
ルインに質問すると、伐採というスキルが必要だと教えてくれた。採取物には対応するスキルが無いと、採取ポイントさえ発見できないものがあるらしい。
だとすると、オルトは鉱石を手に入れられるのか? 採掘を持っているし。地面を掘るのにちょうど良いくらいにしか思っていなかったが、かなり良いスキルだったらしい。
今度鉱石堀りに連れて行こう。
「じゃあ、お言葉に甘えます」
「がははは。そこまで恐縮されると逆に心苦しいな。初心者装備よりはましって程度だしよ」
「十分です」
「そうか?」
「はい、なにせ今使ってるのはこれなんで!」
「これって……。木の棒じゃねーか! おいおい、実は色々縛りプレーしてる上級者なのか?」
「頂いていきますね?」
「お、おう」
ルインが何やらブツブツ呟いているが、気が変わる前に杉の杖を装備しちゃおう。ふっふっふ、これで木の棒から卒業だぜ!
まあ、所持金が一気に2850Gになってしまったが。なんか俺、金遣い荒くないか? 所持金の上下が激しすぎる気がするな。
「また稼ぐか……。そうだ、オルトをギルドに連れて行かないと」
特殊クエストをこなせば、経験値も手に入るだろうし。早速、畑に戻ろう。
名前:ユート 種族:ハーフリング 基礎Lv3
職業:テイマー 職業Lv3
HP:18/18 MP:25/25
腕力:2 体力:3 敏捷:5
器用:6 知力:7 精神:5
スキル:採取:Lv2、使役:Lv1、従魔術:Lv5、調合:Lv2、杖:Lv1、テイム:Lv1、逃げ足:Lv1、農耕:Lv1、料理:Lv1、錬金:Lv1
装備:杉の杖、アズライトのローブ、硬革の靴、獣使いの腕輪、ブロンズのネックレス
持ち物:携帯食×24、簡易調合セット、簡易料理セット、簡易錬金セット、蜜団子×4
浄化水×9、食用草★3×2
傷薬×2
所持金:2850G
所持ボーナスポイント:2
称号:白銀の先駆者
所属ギルド:冒険者ギルド:獣魔ギルド
使役モンスター(1/3):ノーム
名前:オルト 種族:ノーム 基礎Lv5
契約者:ユート
HP:22/22 MP:26/26
腕力7 体力5 敏捷5
器用9 知力11 精神9
スキル:育樹、株分、幸運、重棒術、土魔術、農耕、採掘、夜目、栽培促成ex
装備:土霊のクワ、土霊のマフラー、土霊の衣
畑:薬草★2×2、毒草★2×4、麻痺草★2×4、陽命草★2×2、傷薬草★2×6、食用草★2×1、
緑桃の苗木
 




